:: ゆずまる ::

ゆず100物語？

樹齢200年、樹高20メートル、根っこ20メートル、世界でたった2000本

No.

雑文・乱文タイトル

掲載日

～70	70まで	2006/06/27
71.	ドレッシング	2006/09/05
72.	200本限定	2006/09/06
73.	爛柯	2006/09/07
74.	香りづくし	2006/09/08
75.	ふるさと	2006/09/09
76.	柚子	2006/09/10
77.	７	2006/09/11
78.	サーブ・トス	2006/09/12
79.	バルサミコ	2006/09/13
80.	秋たけなわ	2006/09/14
81.	…	2006/09/15

オマケレシピに続く

81.…
…うむ、…もう済んだか…

80.秋たけなわ

２００６年の夏は柚子物語を書いてきて、後半はパソコンを見るのが嫌になってきて、気がつきゃその話しになっていた。
このタイミングでこの数字80というのもなかなかキリがよい。１００に未練が無いわけではないし、この調子で達成することもできないわけでもない。また誰もがコイツはこのぐらいの打率で100ぐらいは埋めるだろうと思って頂ければ十分である。
予め予定していたラスト２話を封印して、あと、２０を書き足すことはまた気が向けばいつでもできる。といって明日からやるかもしれないが…
柚子馬鹿の中で、中途半端の達成で開放されるより、達成したくないという本音なのか、潔く見せたいのが本音なのか…　全編、柚子馬鹿オリジナリティなんぞまるでない。学んだこと、自分で咀嚼したこと、己の理解の過程を一つの集大成として恥を曝したということだ。
本編のすべてを神様に捧げる。　

擱筆

追伸
あ、そうだ暖めた柚子をアイスにかけて喰うのもいい。
スープやソースの素に柚子を入れてもニコちゃん顔である。
…あ、ちょっと照れるけど皆様、やっぱり止そう。
ごはん、ごはん、アレ

79.バルサミコ

柚子馬鹿、馬鹿だから一人で騒ぎを大きくするが、判りやすく他の国を例にとって考えてみる。バルサミコである。

バルサミコ酢というのは特筆すべき酢である。
その歴史、風味、デザイン性、社会性、売り方、製造に至るまで日本の農業に対してよい示唆を与える。古くは貴族の不老長寿の薬として、また媚薬として、鎮痛剤から薬用効果があるとして重宝された。サラダ、肉料理からアイスクリームデザートに至るまで使われる。そして安価な工業品と熟成に12年以上かけたものとを市場がチャンと理解して受け入れ、100ｃｃが数百円から高価なものでは数万円まである。仮に100ｃｃが3万円だとすると、一升瓶が60万円近くになるわけだ。
タカガ酢なんだから、柚子馬鹿にはそんな無ちゃな値段をつける度胸はないが、日本全国一品種になる馬鹿馬鹿しさに比べれば、爛熟とも云えるそこまでにしたバルサミコの努力は大したものである。量産品と貴重品をちゃんと共存させている点など見習うべきところは多い。量産品が希少品を批判するというような馬鹿なことは起きないし、何も考えずにいいものを滅ぼすようなこともしない。
。
農家がその是非よりも、右へ倣えで一斉に変わったように。旧来の土地への執着と世襲制の根強い壁があって、本音と建前を使い分け出る杭を叩く。昔よく言われた論みたいであるが、農業にはまだこういう世界が色濃くのこっている。隣と挨拶もしない都心と対照的である。ただ間違いなく農業の分野も現状の体制から規制緩和に匹敵するようなことが起こる。

やがて農業の法人を認め、企業の参入を認め、土地の扱いを緩和し…ということが、必ず起こる。一方企業の場合は、柚子馬鹿のように柚子屋として柚子専門に考えを深めていくスタイルをとっていない場合には、○○が農業に進出した、薬剤メーカーが農業に進出した、あるいは巨大な企業がゆず果汁を利用した製品を考えて多くの農家を傘下に入れた…、この企業が環境の変化に耐えながら例えば30年続けて柚子を購入してくれる保証もなければ、安い産地が出来ればそちらに移る可能性もあるし、すぐに撤退されて農地がめちゃくちゃになってもどうにもならない。
。
また、企業の側にたてば、ある一箇所の産地だけで取引している場合、本社機能が全部東京に集中していて地震災害で麻痺するのと同じで、気象変化によって収穫できなくなった場合には大きなダメージを受ける覚悟もいる。安定した食料の確保という建前の中で難しい問題が先送りされてきた分野である。ここらは人口に膾炙したありきたりの内容だ。日本が少子高齢化になっていく今の状況と、農業のそれとは酷似していてどうやって行くべきか。
柚子馬鹿の場合は自分ができることから行動に移しただけであって、しかも昔からの柚子をやっているだけでる。”実生ゆずという”ものが社会にでるにつれて、同業者の嫉みは凄いものがあるが、これは甚だ見当違いで、これらがどれだけ業界を活性化させ、柚子の価値をたかめているかを考えなければならない。他の柑橘に比べてどれほど柚子が商品に入り込んでいるか…。そのことが重要である。実際には、柚子馬鹿が消えても別段世の中は困らないだろうが、本格的な農業の自由化を迎えるということは柚子馬鹿どころの話しでは無くなるという覚悟や将来像が果たしてあるのかどうか。柚子というものを―ひいては地域の農業をよくする方法をチャンと理解してもらいたいが、スーパーでの競争と違って競争の少ない農業関係者にはなかなか伝わらない。柚子馬鹿、人の傘でなく、己の枯木のカンバンと分野を独自につくり、物凄い摩擦の中灯篭の斧のようなことをやってきたので、身体を張って、己のリスクでやっている。拙いこと甚だしいのは承知だから必死であるが、これらの内容と志で勝負している―（柚子馬鹿の志が高いとは云っていない）。助けてくれー所詮は柚子馬鹿、屁みたいなものなのも承知である。

世間が煩いので憶測を制限したいが、今しばらくコツコツやるしかないわいな。量産品をつくるとかつくらないとかそういう見方でなくて、どうして農家が農家のために、いや自分が欲しいものを造ろうとしないのか。自分の好きなものを守ろうとしないのか。農業は参入されてから変わるよりも、自分が旗を振って協力を仰ぐ方がスムーズな筈である。自分が食べたいものを自分が好きなものを自分がやりたい事を素直にやろう…。
毎日書いている悪影響で悪循環であるし、青二才の分際で内容が不十分だし、フラフラになってきている。こうなることをある程度予測しつつはじめたことではあるが、本当に反省をしている。書くの止めるべきか、100まではやるべきか…、

78.サーブ・トス

大豆が納豆に、豆腐に、醤油、豆乳、味噌、大豆ハンバーグ…と形を変えていく中で、大豆の和紙、大豆石鹸、大豆チョコレート…のようなマイナーなものまで、おそらく朝から晩までありとあらゆるものに大豆を入れてやろうとやったのが居る筈で、歴史や慣習の中で優れたものがのこって来ている。

是非を問わずに、事実だけを眺めて、
今の携帯端末の頑張りは凄い。会社ならメールから文章整理、見積もり、発注作業から在庫管理等等パソコンで行い、凄い会社になると年に何十億の売上げがありながら、ペーパレスを進めて年間の文具費が100万円を切るらしいし、行き帰りの電車では携帯メールなのかゲームなのか、映像なのか、情報なのか見続け、改札口では携帯を定期代わりに使い、家に帰ったら家族団らんもせずに、オンラインゲームにネットオークションに、株、ブログ…　生活のシーンに見事に入り込んでいる。
20代以下なら、CDレンタルなんかせずに殆どダウンロードであろう。
背景には儲かるという欲や面白そうという好奇心があることが想定できる。同じように、テレビを一日何度見るのか、冷蔵庫を一日何度開けるか。と比較すればよい。

客の要望がサービスになると”見込んで入れていこうとする場合”と、これがプラスになると思いますよと”売り込みまくって入ろうとする動き”のどちらが多いのかといえば、間違いなく馬鹿にされながら鉄砲を撃ちまくったものや、喰えないものでも喰うぞと蒟蒻から河豚を喰ったものの中から残って行くだろうとおもう。

こういった、朝目が覚めてから寝るまでの流れと同じように、物の流れもあって、例えば宅配便。荷物以外に郵便物から名産品の購入、旅行の荷物と宅配便の受付は至るところにある。最近では機密情報処理サービスまでやっている。製品は店頭に並び、人間は乗り物で移動する。自動販売機でタバコに飲料を購入する…　これらの物流。で、ここにもネットが入って来て、アマゾンドットコムにネットショッピングに宿泊の予約、チケットの購入、カーナビ…。流通を変えて行きそうである。
ちょっと違った分野に、絵画展、美術展などがあるが、これも情報の告知、コンサート内容をCDに落としたもの、ネットの中継などがある。
携帯に代表されるＩＴは歴史こそ短いが、小麦から、うどんにパンに、ピザ生地まで造りそうな勢いではある。

一方、本当にほしい情報がどのぐらいあるのかを考える。
気持ちのこもった会話や、深い思索、それらの応え、美味いぽんず、おいしい料理、五感で感じ取る感覚、ドキドキするような胸の高鳴り、素敵な言葉曰く人間と人間の関りあい。こういうものを求めようとしても今は十分に得られまい。未知の絵を描くこともできない。例えば人形町に富貴豆があって大変美味しい。ここは製造数に限りがあり、来店以外に絶対販売しない、宅配もない。製品の種類は限られているが繁盛している。完全にネットもテレビも新聞も拒否しているような会社である。関らない人は読まなくてよい、喰わなくてよいという割り切りである。

ネットの側は情報技術として放っておいても、ありとあらゆる生活シーンと人間が関るコンテンツを取り込んで行こうとするだろう。本音か嘘かわからないブログではあっても、世論調査よりは精度が高いとすれば、毎日のブログ情報を全部収集する企業があれば、今の内閣支持率はおろか、梅干の種に対する意識までかなり深く収集できるということも起こるだろう。もうやっているに違いない。いい悪いではなくて世の中その方向へ動いている。ネットによって生活スタイル自体が無意識に変えらて行きそうな気配である。ネットは普通の人のちょっとしたゴミを物凄く積み上げて、ちょっとした専門家なら軽く飲み込んで的確にミサイルを撃ち込もうとするのだ。うちの柚子、あっちの柚子、村おこし、そういう発想していると恐らく駄目だろうとは想像できる。そういう場合じゃない。

自分のコンテンツ、自分の姿勢、水道ひねってもすぐには出ないものを持っている側が、唯一無二のものを持っている側は、これにどう対応すべきか―これはなかなかの思案のしどころである。一つ云えることはネットとは無関係に、ぽん酢の技術を深めていくことはできるし、ネットでは柚子はできない。ネットによる共感と同じ空間で得られる共感は違う。情報を得て目的が的確に得られてもそれら複数を同時に満たせるような技術と表現力がなければそれを持つ製品を超えるものもできない。ネットにでてこないものも扱えない―ここは重要である。ネットに対抗するにはネットでないと駄目だろうとも思う。なら、コンテンツを持ってる側がネットをうまく活用するぐらいの気概いるのか…さっぱりわからない。面倒はいやだ。

今日は不完全に限る。
あ、ネットは平面だし、まだ柚子の香りは伝わらない。そうか。

77.7

これ先日出た話。次の果物どれだけのイメージが湧くか、パイナップル、バナナなら大丈夫でも、すだち、かぼす、だいだい、こなつ、ぽんかん、はっさく、ぶんたんを絵に描いてくれ、いや違いを説明してくれ、そこまででなくても想い描けるか？となったら駄目だろう。20代前半で、ミカンを食いすぎたという経験のないどころか、果実によっては自分で剥いたことがないというのも居るそうだ。何を喰うのかというと、ジュースにゼリーにヨーグルト、ドロドロしたのだそうだ。”りんごをかじって血が出ませんか”もカジラナイのではしょうがない。

トマト、や胡瓜、メロンにスイカ、のようにとある程度”形”をそのまま料理にするものはイメージに残る。柚子の場合は、茶碗蒸しにゆず、”いい香りねぇ”という気持ちはわくだろう。冬至に柚子湯、季節感のあるものとして、果実が思い浮かばなくても柚子はまだ踏みとどまっている。レモンもレモンティーがある。朝起きて寝るまでの間の生活習慣と簡単な行動の中にどの程度そういうものが入り込んでいるのかというのは重要なバロメーターである。小麦、ジャガイモ、大豆、トウモロコシ、それに米。偉い。見事に形を変えて溶け込んでいる。

柚子なら柚子の製品化のあり様、人間の生活との関りあいの方向性の方が、美容や健康という切り口による製品化よりもずっと影響が大きい。単に”旨いぽんず”をつくるだけでは”ぽんず屋”としてはよくても”ゆず屋”としては不満がのこる…。
”枯木ゆず”への興味はあのテロがあったころの話しで、今はぽんずの製造や柚子馬鹿に対する取材の方が多いことはあり難いが…。
内容が不完全で酷いという認識はある。
因みに、催事に出るときは本舗ゆず家兼敏といい、仕事ではカネトシという。

何が云いたいのかというと”村おこし”というような発想、”ＩＴ”関連、”新事業新製品開発”というような発想ではないアプローチ、なんだかわからない。その発想を認めようじゃないかというような発想……なんだかわからん。
とりあえず、ドレッシングがカリフォルニアに行く。
この内容を陳謝します。

７6.柚子

うとうとして、アップし損なうところだった。
ある事実を批判するときに、それが常識で起きていることならば、常識的に対処すればよいし、その事実が常識外のことだと判断すれば常識外で対処しないと面倒なことになる―というのが基本。これに個人の是非と個人の好き嫌いはまた別のはなし。これらを無意識に混在している場合が世の中ほとんどで。面倒だからこういう愚痴は止そう。世間で「癒し」に関る批判が多いように思う。「癒し」の表現の数々に、非常識の癖に常識面しやがってという批判なら妥当だと思うが、非常識を承知でそれを好んで買う客が多い事実にむかってケシカランと相手をすればある意味認めたことになるから、はっきり”嫌い”というか、違った処理がよいのではないかと柚子馬鹿思う。さもなくば俺の料理を喰えというべきではないかな。だから柚子馬鹿うちの柚子を喰えと正直に書いている。普通の客以外を相手にしないのならそれまでだし、相手にするなら、現実には常識ではないものを求める客が居る、それもかなり居るという事に対して、”何をするか”という部分がある…。もちろんそれ以外のもろもろあるのが前提としても、個人的には誤認ではあっても柚子馬鹿の存在意義の多少はあると思いたい。で、この発想は商売人の常識的発想からはおそらくかなりずれているだろう。

ラップ料理というような別のはなし。
シュシュシュシュ、ヘイスープ、　　　　　　…　いぇーい。
シュシュッシュ、お待ち　トロ　　　　　　　…すごーい。
シャシャシャ、寿司の食い方を教えてやる、　　　…右手ー、左手ー。
シュシュシュシュ　はい　あわび　　　…しあわせー。
シャシャシャ　よっ　キャビア　　　　…もっとー。
判り安い料理がいいか、　　　…当たり前ー。
当たり前とは凄いな。
止めようかな、　　　　　　…まだー　だめー。

舌鼓をうつ。ニヤッと笑ったり、心のなかでほくそ笑んだりというのから程遠いこの客の反応は、落語で言えば、お客の紅羅坊現象といえるかもしれない。客の側に柔軟性と即応性があるように見えて、実は料理が何でもいいような反応なのだ。ところがである、僅か30分の料理の間に、質の高い料理を落とさずに、ラリーを制してその反応を微妙に変えて行く物凄いところに幸運にも居合わせ肌で経験したことがある。

昨日あるビルの最上階で出たことで、
「癒し」ということばで満足できなくなったら次はどんなことばになるのだろうか…という話題が出た。車のことで、石油や車社会の恩恵を重要視しなくてよいのならば、さっさと電気自動車を実用化すればいいのに。

以前茄子の煮付けを書いたことで補足。虎ノ門”つる寿”でいままで喰ったことのないような茄子の葡萄煮が出て、あまりの美味しさにダシを問うと、親切に鱧だと教えてくれた。その繊細な包丁と味のしみこみ方とトロけ過ぎない煮込みは忘れられない想い出であった。逆上がりが出来た日のようにあとから思えば、そんなことに夢中…というのが青春だとしても、あの茄子は忘れないだろうと思う。その料理を指摘したときの柿沢さんの瞳が忘れらない。一度暖簾を収められたそうでもう食べられないんだ…。柚子馬鹿信用があれば、あいつが云うことだから何かあるに違いないと判断されるだろうが、それがなければ調子にのってと云われるだろうから一言書いた。

まずは、柚子をば、お召し上がりの程を。

７5.ふるさと

小学校の時に詩を百篇暗記させられたが、てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。(安西冬衛) を思い出した。ラッシュアワーというタイトルで、改札口で指が切符と一緒に切られた（作者調査中）は印象的だった。ほしかれいを焼く匂いがする…というのではじまるのがあった…気になるが全部思い出せない。そういえば干し納豆というのをはじめて食べた。恥ずかしながらユズバカ、家族全員納豆をしらぬ１０代であったので納豆をまわりが食べ初めて取り残された。日本人でないような気がして何度もチャレンジするものの得意とは云えなかった。今日は喰えた。いや旨い。柚子を振りかけてみたかった。干し納豆との出会いである。ご馳走様でございました。干し納豆を喰えた男アリケリ。ありけり…詩人といえば、島崎藤村の初恋も小学生では意味がわからなかったが、ふと思い出した。

まだあげそめし前髪の
リンゴのもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
リンゴをわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

我が心なきためいきの
その髪の毛にかかるとき
楽しき恋の盃を
君が情けに酌みしかな

リンゴ畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまうこそこひしかれ

冒頭の命がけでわたる”てふてふ”の詩のタイトルは春である。てふてふには恐らく負け戦のような発想ではなかろう。渡ったはずである。陸と陸の繋がりを確かめつつも渡ったはずである。渡れなければユズバカ隠しだまを用意して団扇に扇風機で応援する。北方領土に山ほどのてふてふを送ろう…。てふてふにとっては海峡の認識も違うかもしれない…。高島屋さんの来年春の通販にも載せて頂く事になった。柚子馬鹿会社始動のころデザインを全部無料でしてくださった恩人がいる。今日の柚子チョコレートのデザインがいい。はやく多くの皆様に恩返しができるようにならねば…。

７4.香りづくし

たまにはレセピを書く。柚子馬鹿よくやるのは香りチャーハン。材料はあるものなんでもいれる。味付けは要は香りのするものを沢山いれる。
今日やったのは、熱々のフライパンで、葱をごま油で香りを出して炒め、柚子を軽く振りかける。あと卵と残りご飯を加え、煉り胡麻（ペースト）を気持ち多め、豆板醤、軽く塩コショウ、食べる前にパルメザンチーズをふり掛けて喰う。香りだけでお腹が膨れる。オープンセサミとやってみるよろし。オーリーブオイルと柚子果汁を合わせて塩だけ、これ何にでもあう。シンプルイズベスト。生姜と茗荷を微塵切りして柚子をつかった酢飯は絶品。鰺で握るとよい。お稲荷にしてもいける。味噌汁に柚子数滴、これ旨い。
しらす、大根おろし、もずくにはそのままの果汁があう。タカノつめを少々いれて鏑や南蛮漬けも好きだ。さあ料理。
しお汁にはネギと柚子があればドント来いという気分になる。チョコレートが溶けたときには僅かの塩と果汁を加えて柚子のフリーズドライを戻して加えたゆずチョコもいける。刺身のおしたじにほんの一寸柚子を加えるとたまらない。スッパづくしで梅干をかるくほぐして果汁を加えご飯にのせ、好みでおかかと醤油、氷水を加えた茶漬けは旨い。海老のてんぷらは塩もいいけど柚子もいい。
お世話になってる盛本さんからソウダ鰹に青柚子散らした写真と鯖に柚子果汁を送ってくださった。こりゃたまらない。風呂吹き大根、柚子味噌もいいが柚子果汁も旨い、炊いた湯葉にほんの少し柚子を垂らして喰うのは贅沢中の贅沢。豆腐、厚揚げ、おでんにも大活躍。なますはいうまでもない。ナスの見事な煮物に出会えたら幸せ。
ナマステ。

７3.欄柯

柚子がいいのは、ホッとする部分と、ある意味ビックリさせる酸味の部分が一緒にあるの魅力。壮大なハリウッドよりも小さくても細かで緻密なものの魅力があるのと同じ。甘味と香りのホッとさせる部分と、すっぱいと苦味が共存しているというのはいい。会社の近くに細雪を執筆の谷崎邸がある。この連想はほんの一部の方に判っていただければ満足である。この辺りが専門家とお客様の違いで、お客様は野菜全体から柚子には柚子の役目と、胡瓜には胡瓜、スイカにはスイカとメロンにはメロンの役目を期待する。別にそれで悪くないが、そういう発想からは青柚子を楽しむというのはなかなか生まれない。同じ柚子のなかでどう違うのかに拘らないといけない。全部ある種のハリウッド映画になってはつまらない。複数のミルクからあるミルクを選ぶのか、ミルクは少々の違いはどうでもいいから一種類あればいいやとされる違いであって、この違いはその業界にとって大事なことなのだ。
柚子なら柚子に興味をもって頂ければ、こんな製品はどう？こういう楽しみ方もあるし、毎年の面白みもあるよということが出来るのだが、そこに入ってこなければどうしようもない。柚子馬鹿無理やり引っ張り込もうとしているのかもしれないが、んー。いやそういう役割が今とっても必要なんだけどね…。

家族の夢が一軒家に自家用車に…という時代と、喰いたいものが遠慮なく喰えて、個人中心の一種のホテル住まいがメインになって来たときに、人間の体質や精神的な問題がその速度についていけるかどうかなどは考えないとしても、その方向が豊かなのかと問うてみると、柚子という食から考えるとちょっと厄介である。

柚子馬鹿時を忘れて夢中になっている。これほど有り難いことはない。
結局、柚子もそうだけど、尻腰がつよくないと楽しめない。

７2.200本限定

ここしばらく書く気がどうも湧かない（起きないじゃない）だけだから気にしないで頂きたい。面白くないよ。太陽系を表現した組曲「惑星」が気になって調べてみたら、作曲当時は発見されなかったこともあって冥王星は存在していなかった。ホルストは偉いもんだ。

製造して来て思うことは、お客様は濃い味を好む傾向が強い。その背景に添加物があることは間違いない。最近は多少変化してきて甘味の抑えたもの、塩を控えたものを好む傾向にある。いい悪いは云わない。二番ダシはもったいないぐらい旨いし、うちでもダシを取り終わった昆布で佃煮をつくるとこりゃ旨い。製品化しようと思ったぐらいである。賞味期限も短いし、継続して造るにはいろいろ厄介なことがあって実現はしていないが将来的にお分けしても良い。
話しは変わるが柚子アイスに挑戦していたころ、例によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス…の違いがあったが、調べていて面白かったのはバニラ、チョコレート、抹茶が飛びぬけて男女の差はあるが、キャラメル、小豆、ストロベリーが来ていた。柑橘は人気がなかった。ジェラードとかシャーベットは別ね。

松田美智子流200本限定ゆずぽんずの宣伝を少々。
松田先生はレシピを隠そうとしないのが凄い。柚子馬鹿も同じ発想なのであり難い。が、全部出すのはもったいないし嫌だから、買ってみたいなと思うところだけチラッとお見せすると、ニンニクや茗荷、生姜……、といった薬味を細かく刻んで漬け込む。冷蔵庫にいれて何度も継ぎ足しして使える。
無添加で手造りするという方向は素材の処理と製造方法が決め手になる。10月11日から17日まで玉川高島屋の地下に出品させて頂く。松田先生ファンも弊社のお客様も楽しみにして頂きたい。
製造が忙しい時期ではあるが、少しだけネットでもご紹介できるかもしれない。いや、そこに来た人しか買えないようにしようか、ちょっと思案中。

やっとわかった、
柚子馬鹿やっぱり無意識に歯医者が苦手なのかもしれない。

７１.ドレッシング
宣伝。柚子ごしょうドレッシングとストレートタイプドレッシングができた。今月から順次店頭にならぶので見かけましたらよろしくどうぞ。130ｍｌと250ｍｌである。
宣伝ついでに二子玉川で、松田美智子先生のイベントに参加させて頂くこととなった。賞味期限は短くなるが、熱をかけず、薬味をたっぷり用いる松田流ぽん酢の準備をしている。大学を卒業するとき是兼さんがギボンのローマ帝国衰亡史のペリサリウスの項を贈って下さったのを思い出した。限定品の正式募集の準備もしなくては。プレオーダー分をもう少しで締め切ります。要するにサッパリ書く気が沸かない。猫の眉毛もだんだん染込んじゃってるし。鬚でも描こうか、尻尾に国旗でも結び付けようか、面倒は嫌だし自分に正直でいたいし、会社の軽四は故障するし、製品の賞味期限の問い合わせもあるし、印刷会社は失礼だし柚子は相変わらずの香りで案外ホッとする部分があるんだと気がついた。古くなったゆず果汁をインスタント珈琲に入れて飲むのは柚子馬鹿くらいかもしれない…

７０.ネット

冷麺を喰った。冷麺を喰うと上野毛の吉華の先生がうちの実生ゆずぽんずで即興で造って下さったことを思い出す。製品化したもので取り上げてないものに柚子味噌、ゆずアイス、ゆず一味、ゆずドリンク、入浴剤、限定品、ドレッシング、ゆず茶…
ウチが協力したものに、ゆずゼリー、ピール、くず湯、酒、カクテルベース…気が向いたらまた書く。一頁ぐらいネットについて触れなくちゃということで書く。それはそれで醍醐味はあるのだけれど、醍醐味変換しそこなって大ゴミと出るし、誰だったかミッションインポッシブルを変換しそこなってミッションインポ渋るという馬鹿馬鹿しいのがあった。

今だって車の運転席にセンサーつけて制限速度オーバーすれば自動的にデータで通報され、飲酒を検知すればエンジンがかからないようにするぐらいならスグにでも出来るだろうに。だけど酒を飲もうとした瞬間に飲酒量や健康状態を判断してキャップが開かなくなったり、割ろうと思っても持ち上がらなかったりしたら本当に狂うだろう。三島由紀夫が何に書いていたのか忘れてしまったが、戦争の最前線で相手との距離が判り、相手の次の玉の装填時間が解り、引き金を引く平均時間がわかり、荷物を背負い拳銃を構えながら突撃する際のランニング時間も判った場合に、論理的に突撃して失敗する確率を導きだすことができる。ほぼ100％だめなのにそれでも突撃することを可能にしたものは何かというような考察があった。で、それは何かというと、丁度時間となりました～。丁度時間となりましたという台詞ほどプロセスの重要さを感じさせる言葉もない。

柚子馬鹿随分昔はフャミコンやパソコンのソフト、縫ぐるみを造っていたことがあるし、最初の配属は技術課であった。ま、昔のことはいいや。
井戸端や、リビングルームがなくてもホログラフみたいにその人が現れて同時に複数とリアルタイムの会話ができるようなこと―。そこで、テレビが見られるとか、携帯電話が定期券や財布の代わりになるとか、家電に入れこんで情報の収集ができること以上に、ＷＥＢ2.0や掲示板、ＳＮＳの将来に対して凄さを感じるのはそっちである。エライことだ。パソコンやネットを完全に拒否するのも物凄いが柚子馬鹿にはそんな度胸はない。これから３０年以上頑張るとすれば嘗てのテレビがそうであったように無視できない。３０年かぁ…。”再チェレンジ”というスローガンを一番喜んでいるのはアメリカだったりして…。時間や場所ってなんだろう、というような時代が来るかもしれない。

６９.猫

９月に入って急激に忙しくなってといっても、もともと柚子馬鹿別段定休日という発想はないのだが、早めに書いて置こうかと思っている。といいながら出張の時間となりました。今日は時間がないので、柚子馬鹿の猫の疑問。

1、どうして仕事を始めると机の上に来るのか？
2、ミカンを嫌がると聞いたのに柚子の匂いを嫌わないのはウチだけか？
3、お腹を出して手を足を延ばして寝るようになったのは馬鹿になったのだろうか？
4、なんで水飲み場の水を飲まずに花瓶の水を飲むのか
5、尻尾の反応は無意識か？
6、猫は人間の言葉をどのぐらいわかっているのか
7、猫の寿命を倍にするにはどうすればよいか？
8、猫にペーソスは必要か？
9、この間ママチャリがこけるのを観たが、赤ん坊が”にゃー”と云ったように聞こえたのは気のせいか？
10、猫にはどんな手品がよいか

アロマ+漢方+美肌という方面から柚子も注目を浴びて、銀座のポーラのお店も青山にあったときからの古いお付き合いでゆずのドリンクを使ってくださっている。ちょっとしたお散歩、プール、読書、風呂上り、秋には温かくして飲むとよい。
松茸にも。

６８.料理

常識というものは基本的に疑ってかかったほうがよい。
常識と非常識で収まらないものは今回考えない。その時点で多数を占めているものが常識となるのだから、今の少数派が将来の多数派になることや、ちょっとしたことをキッカケにまた変わるなんてことこありえる。完全なる常識は面白くもなんともないからメディアが取り上げることもない。柚子の料理もそうで、どこかのレストランや、どこかのレシピが評判になり己がそれを美味いと思えば、それを評価し自分も並べばよいし、それよりもこっちがいいと判断すれば”いやいやこっちのほうがいいんだよ”と云うまでだ。そういうものがなければ、己が造って行くしかないわいな。だから柚子家の柚子馬鹿は柚子とはこういうもので、こういうものを残し、味わい、いういうものいいんだよと延々と書いているわけである。そういうものがなければ造るし、今の己にその力がなければ、和洋中の料理の先生に学び、時には非常識からさらにそれを逸脱することもやろうとしている。あたりまえのことだけど、スーパーに並べることを前提とする製品は、造りたてが旨いとするよりも、例えて云えば１ヶ月たって、冷めて、料理と併せたとき、旨いということをやる。それを無添加でどこまで表現できるか、手造りでどこまで挑めるかということで凌ぎを削っているわけだ。

判りにくいかもしれないが、簡単に書くと、常識に対して常識でやりとりする場合、非常識にたいして非常識で受けて立つ場合、常識に対して非常識で対応する場合、非常識に対してクレイジーで対応する場合…
ビジネスの世界というのはその常識に雁字搦めになっていることにまず気づかない。それでもって自分の感情や自己都合を肯定するときにその常識を用いだす。己が無理をやるときもそれを常識の範疇で説明しようとする。
自分の舌がよいなどと、何が根拠か知らないが狭い地域の狭い経験をもとに己の狭い常識を押し付けて、それが遊びでもなんでもなく”凄いだろう”と思っているのは始末に悪い。人間と人間がやり取りするということは本来それら全部をひっくるめてのはずなのに…

もう一つ。良心。これは己に対して忠実であるかという意味である。だから処世術と良心は対立することもありえよう。しかし、非常識やクレイジーさと良心というのは別段矛盾するものでも何でもない。己の良心と絶えず戦いながら自己を入れ込んで行くものを仮に芸術と呼べば現代においてこれほど必要なものもあるまい。あと人情。
そういえば、家族ほど複雑な場所はない。論理的に家族の対立を対処すれば不要と認識して抹殺するという行為は一面これほど合理的な行為もなかろうが共同体としてみなが安定して生存するのを常識とし、それを是としなければ自分の生存も脅かされて仕方がないのなら、抹殺した奴を常識外として切捨ててルールを強化して常識で処理するならそれが非常識に近くなるぐらい強化するしかないだろうし、常識外で処理する方法だってある。いろいろな世界で、ギリギリのところの歯止めが外れてしまったのか、しまいそうなのか、まだ大丈夫なのか。柚子の世界に置いては枯木ゆずは大事な大事な歯止めなんですがね…。
ぎゃー。

６７.試し種

あるときひたすら柚子の種を数えていたことがあった。ずっと数え続けてエデンの東までですから。よく書くなぁ、とかいいながら書くよ。もう10年以上前のことである。そのころの資料を取り出せる場所にいないので記憶を頼りにいうと、多いものでは４０近く、すくなくても２０個はあったと記憶している。そいがその、柚子は種がとっても多い。柚子の種を数えているときは余計なことを考えない。そいから青柚子を輪切りにすれば、まず種の断面図ができるはずだ。種をフリーズドライにすると繊維が立てになってしまうから、フリーズドライの製品にするには使えない。

種といえば化粧水の話を書く。
造り方はいろいろあるが、柚子馬鹿の経験で書く。準備する種には二種類の方法があって、一つはヌルヌルの状態を用いるもの、もう一つは水洗いして陰干しして用いるもの。消毒した瓶にその種を入れ、ヒタヒタになるぐらい焼酎を入れる。使う焼酎はもっとも度数の低い２０度のもの。因みに梅酒のようにするなら３５度。で、これを冷暗所に2週間ほどおいて、ま、気分でもっと置いてもよいが出来たものをガーゼで濾す。このままヒビ、アカギレに使える。
糸瓜水やアロエ水ならなおよいがこれを薄めれば化粧水となる。
種は二回ぐらいなら使用できる。

喰うには種は苦い。黒焼きにして煎じるというのも知ってはいるが、あまりやる気がしない。35度で飲むほうが体によいはずだ。

種をとって今年仕込む化粧水。来年の話をするんだい。
まぁいいじゃありませんか。

６６.まだまだ

柚子馬鹿を知っている人は知っていると思うが、諦めるということがない。人生辛抱の為所が幾重にもある。その凌ぎの快感もある。柚子馬鹿前進あるのみだ。皆様の一層のご支援をお願い申し上げます。

６５.竜巻

柚子馬鹿会議というのがある。柚子馬鹿の社会人になってからの成長過程の全てを実は知っている先生が折に触れ開いて下さった会議である。本来は、もっと後に書くべきとは思うが、御礼を込めて書かねばならぬ。柚子馬鹿火災の直後から蔭に日に励まし続けて下さった、情熱と発想の天才ドラゴン先生がいらっしゃる。情熱と行動力でシンクロし、真逆の発想で柚子馬鹿が頭で理解できても身体で理解できないことも多く、その都度矛盾を抱えながらどれほど成長させて頂いたかしれぬ。震災を支えて下さった三澤社長と同じように火災の泥沼から将来を展望して下さった。先生の励ましがなければ火災を乗り越えての柚子馬鹿は居ない。柚子馬鹿メディアの師にして、真逆の師。時に真逆の発想を、それもシャワーの用に柚子馬鹿の能力では処理できないほどの教えてくださったことで柚子馬鹿の自我を目覚めさせ中庸を諭して下さった、Ｏ.ドランゴン.Ｓ先生への恩義と感謝はやはり記して置かねばならぬ。逆もまた真なりと気がついた。ここにこっそり書かせて頂きました。先生、柚子馬鹿まだまでありますがこの辺りにおります。

贈ってくださった詩。

柚子の木は
根も柚子なれば種も柚子
枝も葉も柚子
花も実も柚子

感謝

６４.青

こい緑の青柚子が、初冬には黄色から濃い橙色へと色づく。ピンポン玉ほどの柚子がテニスボールぐらいになり、殆んど汁がないものがたっぷりの果汁に成長する。たった３月であるけれど、この差を味わえる果実はすくない。松茸、秋刀魚に並んで柚子季節はほぼ誰でも推定できる数少ない果実である。こんな柑橘は他にはない。柑橘の王様だ。

夏場の柚子シャーベットは本当は黄色のイメージから緑のイメージにすることが通である。果汁と皮を併用してやると料理が一段と引き立つ。いま落雷して、一瞬停電した。やれやれ書き直しだ。当初と全然違う内容となった。たらたら書き続けているけれど、まだまだ止める別けにはいかぬ。どちらかというと青柚子はひっそりと使うもので、あまりメジャーになっては困るのでサラサラッと書くに限る。

ラー油にフリ柚子だけで喰う餃子は美味い。酢も醤油を好みで足していけば違う風味を楽しめる。一味にフリ柚子の焼鳥、塩とフリ柚子で天麩羅夏の贅沢はない。夏に黄色のゆずをどうしても味わいたいなら、砂糖煮にして保存する。
青柚子は酸味と苦味に偏る。やはりメインは黄柚子であるし、胡瓜が苦手な人はちょっと嫌かもしれないが、手に入ればぜひ試してもらいたい。青柚子の一箇所に本の少し傷をつけるだけであっという間に香りが広がる、その瞬間こそ醍醐味である。

今年の夏は柚子馬鹿にとって贅沢すぎる十分すぎる夏だった、珍しくテレビつけたり、あれまた雷が鳴っている。
表の雨はどうだろう
くらくらしてきた。仕方がねえ芋でも食うか。

柚子馬鹿の壁紙をほしい人はどうぞ。

　謝謝悠

６３.行方

うちの父の足には焼夷弾の痕がある。絶対に戦争について語ることがない。触れようとしない。果実は触れれば触れるほど持ちが悪くなる。青柚子などは触ったところが黒くなり易い、皮が厚い実生ゆずはそのあたりが強い。カリフォルニアで今ぽん酢が善戦しているという話しが届いた。ホテルカリフォルニアＶＳよさこいか。村の鍛冶屋が好きだ。関係ない。

殺菌方法や搾汁方法、収穫方法というものは工夫して進化させればよい。杉桶樽仕込みのような醤油と同じ、ヒノキの手搾りは汎用品にはできないがそこに対する爛熟という見方はある。ベトナムにとって製法が工夫されてもニョクマムが無くなる事がないように、工夫して競ってやる部分と、大事にする部分と、バランスをとっていく部分を区分けしないといけない。「桃栗三年柿八年柚子の…」は残すべきだ。現代人が欲している”ほっ”とする香りも残すべきだ。日本人として大事にするべきものを取捨選択して工夫することと、効率と売上げ一辺倒でもう戻れない状態にしてしまうこととは違う。小学生に株や英語を教えることと、赤とんぼを歌い、体力を養い、共同生活を営むこととは趣旨が違う。いい製品というのは多くの対立する矛盾を同時に抱えているものである。

ここ連続５回不思議なことが続いているのが、たまたま並んだ停留所のすぐ後ろにまず会えるはずのないお世話になった人が立っていたり、その電車のそのドアのその場所にあの先生と巡りあったりとこれが偶然なのか、実はそういう偶然が物凄い沢山あるのに気がついていないだけなのか。
”ヘンな本”という本に次のようなエピソードがある。この世には信じられぬような偶然がいくつもあるのだ、それを知るだけでも、諸君の頭脳は進歩する。遠藤近吉という人がいる。結婚した。花嫁の名前が近原遠子。この結婚届けほど、「遠くて近きは男女の仲」という真理を思わせるものはない。「行方」（なめかた）と読ませるのだが、この家で生まれた男の子に「不明」（しらず）とつけた。ひどい親もあるもんだ。そのご十数年、「行方不明」君は家出したまま、ほんとに行方不明になってしまった。健在なら、もう結婚適齢期。結婚式場の案内はさぞ混乱することであろう。「新郎、行方不明」ときちゃあね。…
有名な著者のプロフィールを読んで物凄かった。他人に迷惑をかけっぱなしの柚子馬鹿は爪の垢を煎じて飲まねばならぬ。初めて知ってぶっ飛んだ。己の人生に命がけである。それで居てそういう部分を小指の先ほども見せない。高い学歴をがあるというのは論理と知識で常識に雁字搦めになることであるから、逆でバランスを取ることができなければ真の知恵者になれぬ。

この百物語、行方不明か、ドンドンヒャララ…ドンヒャララ…

６２.純粋

参った。なんとかパソコンの前にはたどり着きなんとかアップする状況をつくった。
とにかく書いたという事実だけの日だ。
物事素朴に考える、本当にスキで選んだ道ならばそう簡単に横道にそれるということはない。ということだ。

多少時間があるので、前回の続きを手短に書くとその製品なら製品が売れなくなったときに、それでもそれをやろうという部分があるのだとしたら、それを大事にしてまたチャレンジする意味があるということ。で、その部分をなくしてしまって造った製品が売れてるうちはいいが、売れなくなったときに屹度駄目になるよと感じる部分。
柚子なら、価格や見た目、味、品質そういうもろもろの思いつくものを取り去っても、それでもなにか残る”余韻”や要素があるとしたら、それ程大切なものはないだろうと思う。残さなきゃならない柚子のいい部分、日本人に根ざしている部分そういうものをちゃんと残せるか…というのが大事なことだ。その意識があれば解決の道もあろうが、なくなれば、柚子に関していえば、”全部柚子と呼べばいいじゃないかという抵抗勢力的政策”を言い出すのも時間の問題だと思うが、そうなったときに”柚子自体がやがて駄目”になるという危機感を…　なら別に柚子でなくてもいいじゃないか…。
常識の範疇でいくら切り替えてもそれはどちらかというと処世術じゃないかな。処世術が大事なことは言うまでもないし、それ故の凄さもあろう。実際は、一つ道をやり続けることが非常識を含みどれだけの切り替えを実は必要とするのか、そのことにチットは気がついてほしいものだ。残しようのないものは仕方がない。何を残すかという視点を云っている。処世術は個人のバイタリティと能力が中心ではないかな…。型がないものは伝授しにくい。枯木柚子には伝授可能な型がある。型があれば類型が可能だ。その型がなくなったら、こりゃ形無しだわな。
時間内いつもながらの不完全で失礼を致します。

６１.マジック

明けましておめでとうございまして、本日も相変わらず…
柚子は眺めるもんか、眺めるにしちゃいい香りである。
恵比寿に5050（フィフティフィフティ）というお店、業務店で古いお付き合いのお店である。久しぶりに訪ねた。昨日の「松田美智子流ぽん酢」を用いた素麺の旨かったのなんの。冷製トマトのカッペリー二なんてぶっ飛ぶ。
素麺、冷麺、キュウリ、ゴーヤ…柚子はあうぞー。

どうも出張の成り行きでパソコンにアクセスできない恐れがあるので、一寸だけ書いておく。祇園味幸さんの近く、京都は南座の向かいに一銭洋食屋さんがあって、そこでちょっとした名刺サイズのもので少々エロティックな手品カードと呼んでいいのか、を見つけたとき10年前に川崎利明先生が京都から持ってきたと仰ってたのはこれであったと見つけた。このカード”猥褻”と感じられた時代があったはずで、今はとてもとても…。こういう風に書くとそのカード知らない人はサッパリわからないと思うから、ご自身にとっての猥褻な絵に仕掛けのあるカードをイメージして頂ければよい。柚子馬鹿感じるのはエチケットをうまく守っているエッチさであるように思う。

いくら旨い料理でもやはり毎日食えば何れ飽きる、自己の側に感動を生み出す力がないとその間隔は短かろう。あれ、米があるか…、いや、まぁ、で、柚子を爛熟させて行くとして、何を重要視するのかというエチケットに関しての愚考を巡らせようという思いつきである。続きはまた。

６０.商談

パソコンに向かったらもう１０時３０を過ぎた。急がないと。
今日は松田先生の教室でエプロンを付けていた。そのことはまた後々書かせていただく。有難い日でありました。

今日は昔の商談、いや愚痴か…を書く。
もう何年前になるのだろうか。四国最王手のスーパーマーケットでの商談のことである。丁度さぬきうどんが全国的にブームになる直前の高松であった。あるテレビに放送されたのを切欠にそのスーパーの常務から商談のお話を頂いた。実際は問屋さんの尽力もあったのではないかと思う。その問屋さんは今は合併してしまった。そういう種類の商談が少ないころで、プライベートブランドの依頼を当時の常務さん直々であった。今よりさらにずっと、全然、全く売り上げのないころで正直嬉しかった。採用されれば四国全部に製品が並ぶ。しかもＰＢであるから安定した取引が見込める。で、依頼通り、4種類、瓶やラベルも含めてある程度のパターンを工夫し二度目の商談に望んだ。

商談日の商談ルームの入り口に、オーダーメードスーツの申し込み受付をやっているのに少々驚きながら、取引先一社二十件ゼロゼロ△□の電話申し込みキャンペーン申し込みの前を通り奥へと通された。常務直々である。ゆずばか今の100倍ぐらい血の気の多い時分だ。
いきなり、「御社のテレビで出た”枯木ゆずぽんず”あれでいい、あれを20％以上安くしてラベルだけ変えてくれたらいい。」と云われた。電話に続いて二度目の商談でイキナリノお申し越しに面食らった。それなら最初からそう云ってくれればそのラインでの検討もできたろうし、お気持ちは有難いが弊社には手に負えないと云うことも出来た。気を取り直して、サンプルの依頼を頂いたのでその趣旨で今日は4種類のぽん酢を造って来たのですから、味ぐらいみて頂いて、拙ではあるけど説明にも耳を傾けて頂けませんか？すると「何を？」口ごたえしたことに腹を立てたらしい。曰く”みる必要ない。””依頼されて作ってきたのだだから味わえ、”、”うるさい”
一点俄かに掻き曇り、”飲んだっていいじゃないかー”とぽん酢を試飲カップに注いだ瞬間、”いらないといってるだろー”と同時にぽん酢が飛び散って、机に散乱。常務と二人ぽん酢まみれになりながら、”いいから帰れー”に、日本人的無言の圧力に屈せずと「論理的におかしいから、折角造ったもの置いていくから味だけでも…」と油を注ぐ。「もって帰れー」「ガシャーン」「ドクドクドク…」、向こうも「ガシャーン」「ドクトク…」…もったいない。柚子ぽんずに罪はない。
もしその後ＰＢなんて造っていたら後が思いやられるからむしろ決裂してよかったと思っている。震災後今より気分が滅入っていた時分の話である。以来、その会社には行っていない。常務さんのその後もしらない。勿論地元に取引先もそこそこあるが、それ以来四国のスーパーの営業をする気持ちがあまり起きない。もう一回ＰＢをなんて洒落っ気はないだろう。云ってくれりゃやるがなー。うちの製品そのままラベル変えることはできないが…。

先日も全国に幾らか蔵元をもっているお酒の会社。神戸の蔵元の担当者が柚子の入った酒を造りたいと、最初乗り気でない柚子馬鹿に散々営業するので、ならばとアイデアをいろいろ足してやり、アドバイスもし、サンプルも提供して試作品に協力し、取引条件の提示までさせながら…。その後駄目になりましたとも、御社のゆずは高いから他にします、というような挨拶も全くなしでもう来なくなった。来たときは御社の柚子でないとと云っておきながら、従来開発していた市販のゆずでやているようだ。自然消滅か…。会社に面接を申し込むだけ申し込んで当日来ないのも居る。聴けば多いのだという。まだ常務のほうが理解できる。愚痴である。こういう種類のことを書けばそれこそ山のようにある。自分に対して忠実であることは必ずしも”商売”に対しては熱心でないと映るかもしれない。そうじゃないと思うが…。新宿の伊勢丹という会社。うちがＰＢを、ＰＢをさせて頂いている。柚子馬鹿の会社火事の連絡をしたとき、売り場に花が咲くように製品で一杯にしてくれた。

早朝、昨日テレビ局から電話を頂いたと母に云ったら、”受信料の支払いまだだった？”と云った。そうじゃなくて取材の話といったら笑っていた。

59.販売

その昔、一生懸命働いて貿易摩擦というの生んだ。
してみりゃ、働かないほうがいいのかね…。
あたりまえのこのなのだけど、製品を店頭に並べたときにすでにあるメッセージが嫌でも含まれる。曰く「買ってくれ」。
その上売れるもののトレンドを調べて製品に組み込む。出来上がった製品は、買ってくれ、買ってくれ、買ってくれ、買ってくれ…。そういうの柚子馬鹿欲しくない。現代のように製品や表現が多様な時に”模範的な解答”があるとは思えない。現実には己の勝手な思い込みや行為を相手が誤解するということの連続でないかと思う。答えなんてないんじゃないかな。勿論そうでない部分があるはずだという前提で書いているが、その前提はあまり信用できない。

柚子馬鹿目下ある意味修行中であって、ギアチェンジするのは先になる予定だから硬いことを、ありがちのレシピを書いてればよいのは百も承知である。後半狂うといったとおりになってきて…身体によくない。程程のことを書いて自分を誤魔化そうと思う。

国家という言葉が疑われ捨てられ、家族ということばが疑われ捨てられ、勤勉、出世も疑われ捨てられ、愛も、今なら、セレブ、グルメ、旅が入ろうか。その言葉の中にいよいよ”殺人”まで入るとしたら、つまり「殺人事件中継番組」。もしもあったら、いや想像することは止そう。不倫現場鉢合わせ番組ならあり得そうだ。沙汰の限りということか。

ならカツテ捨てた言葉をあさって来て、家族を、国家を持ち出すことで、歯止めが掛けられるのかと云われて少しの望みがないわけではないが、”望みなんてないよ”と決定を下してくれれば、むしろスッキリして馬鹿馬鹿しいことに熱心になって楽しい滅亡の仕方なんて方法もあろうに。今のところ柚子馬鹿、柚子の山がある限りあきらめる予定はない。これもしかしたら”貧乏人の発想”というのかもしれない。

青柚子の皮をおろして来よう。
枯木ということばチョッピリいいとは思いませんか。
青柚子欲しい人はご連絡頂ければお分けします。
今日はこれで逃げよう。

58.余韻

昨日は喜寿のお祝いだった。その余韻が残る。
枯木柚子の醍醐味、極意の一つといっても良いか…やはり「香り」である。
それはどういう種類のものかというと、”ほっ”とする安らぎとでも云うか。

趣旨をさきに書けば、現代において”安らぎ”を与えてくれるものの重要性を強調しておきたいということ。柚子馬鹿飽きてくると、いや飽きなくてもか…結論を先にする癖がある。この100話、柚子馬鹿にとってヤラナイト収まらなくなっているからやっているようなところだ。要するに、ギリギリのところを一寸突っ込んで書こうとしているので、一種の遊び感覚に近い部分もある…が、仮に金が山のようにあってもやっているとは思う。柚子に関して言えば極論すれば、いい製品をつくってりゃ人格なんぞ抜きでいいじゃないか、むしろ複雑な方が、常識的でなくてもいいじゃないかという感覚が書いてて強くなってきた、と云えば経済界に置いては誤解を招く恐れがある…。おまえ云ってることが違うじゃないかと云われるかもしれないが、そうじゃない。枯木なんて従来をひっくり返すものをやってきてつくづく、小泉さんの”言葉だけ”をかりれば”抵抗勢力”に近い商慣習の壁を知っているということかもしれない。逆に本当に”変”ならいいものは造れないのじゃないかな。で、人格を云々し、一般論を持ち出した途端にタダの馬鹿になり、もしその破廉恥さに対して「偉いだろ」のような発想があったなら救いがたい馬鹿となろう。環境問題は家族問題だろう、食い物の残飯をドームに集めてカラスを一網打尽だ、などと一種のユーモアでの柚子家ごときのささやかな挑戦であって、これが問題提起になればよいし、ならなきゃ、ただ100話埋めているだけである。埋める部分には自分が自分との格闘という部分もあろうか…。埋めるだけになると思ったらさっさと止めようと思う。毎日書くというのには飽きるが書くことだけなら幾らでも書ける。どういうことをやろうとしているのかは最期に多少わかるようにするつもりである。自分の文章に自分で解説をつける馬鹿も無いが、そのあたりが柚子家の限界であって特殊な空間も特殊なキャラクターも何も確立できていないということだ。

で、そうか、”ほっ”とする香りの話しだった。
歯医者で随分可愛らしい少女がニューズウィークの表紙を飾っているとおもったら、なんと殺人事件の被害者だという。もの凄いものだ。現実は想像以上にグロテスクである。また、脱線した、

人間はもとは猿だから樹や緑を観ると喜ぶんだと伺ったことがある。パソコンのモニターよりは縫い包みの方が”ほっ”とするか。癒しというのではない。
柚子馬鹿にとって、男女同権と親元離れて一人住まい、キャリアを積み重ね、おおらかさの伴わない頭の良さを安売りする女性より、一円でも安いものを買い求めてしっかりと家庭を守る姿を見るとホッとする。こういうことを書くとまた反論をくうだろうが、もしこれを古いというなら古いものは”ホッ”とさせるものがある。クーラーでない打ち水にも、席を詰めてお互い座るシーンにもホッとさせるものがある。

茶碗蒸しをあけた瞬間の包み込むような雰囲気、食後の余韻を満足させるシャーベットなど、その香りが時間や場所を越えて特殊な空間を演出してくれる。
近頃柚子をなんでも利用すりゃいいという製品が多い。別に悪いわけでなく、他の柑橘が多いなかで柚子が用いられているのは結構なことだと思う。けど、最近のゆず製品は高級感やイメージを利用して売れると判断してやっているものが多いんじゃないかな。100％用いず、ほんの数％や混合使用で柚子をうたうものもある。売れていれば柚子馬鹿トヤカク云う筋合いではないが、柚子を安売りしちゃいけないと云いたい。ポテトチップや機内ジュース、煎餅など、柚子馬鹿が書いたようなことを少しでも頭の片隅に置いてやっていると思えるものは少ないように感じる。いい悪いではない。枯木柚子という素材を使えば、フレンチでも中華でもそこに日本人をホッとさせるものを造ることが可能になるように思う。

この席にこの場所にいるんだという感動と同じように、この樹の柚子が長い年月の中で醸しだすものというものが与えてくれるものは何も味ばかりではない。今日四谷のミクニさんから柚子のご注文を頂いた。フレンチ界で、天才シェフはデザートでなくメインに初めて枯木ゆずを使って下さった。知名度のない柚子家に1時間裂いて気さくにお話し頂いた日のこと、その年のクリスマスメニューを決忘れることはない。
先日お店で、ジュースはありますかと聞かれて、てっきりドリンクのことだと思い5倍希釈のものだけですが、と応えてしまったが、よく考えるとフレンチでジュースと云えば果汁のことだと気がついた。（この場をおかりして果汁あります。）また脱線だ。

ニューズウィークの表紙なんぞに絶対になるもんじゃない。
え？100万年たっても無理？そりゃそうだ。

57.残暑

残暑お見舞いを申し上げます。
今日はズバっと身内のハッピーバースデーであります。
それを記念してというわけでもないが、まったく新しい製法の柚子ごしょうを開発した。製法の論理をまとめて出願を試みた。そこそこを纏め試作品が出来上がったというレベルであるから店頭に並ぶにはまだ時間が掛かる。従来の、塩の工夫、皮の加工、手間のかけ方、熟成というものとは全然違う方向から攻めてくるこの柚子ごしょう。新しい調味料になる。今はこれ以上書けない。

今年も10月18～24に横浜高島屋、25～30に大宮高島屋さんに出展させて頂くこととなった。柚子も青玉といってもまだピンポンだま位だが9月後半になると多く出まわるようになると思う。青玉はなんといっても香り、摩り下ろして使う贅沢さである。贅沢といえば古くなったぽん酢を再生するいい方法に日本酒を入れて熱を加え、カツオを加えてダシを取ったり、梅干の皮や、唐辛子を多めに加えて辛みぽん酢なんてのもよい。

前からの大きな課題が返品の再利用だ。
食品の再利用というのは大変に難しい。判りやすくいうと返品されたものを賞味期限を短くしてラベルを貼りなおして出荷するというようなことは出来ない。賞味期限が短くなったものを店舗で値引きして販売するということぐらいである。ビールやお酒、醤油などそれぞれどうしているのか機会があれば是非教えて欲しい。実際ゴミとして捨てられるのがほとんどではないかと思う。柚子馬鹿には再利用に関する知識が全然足りない、頑張って使うが個人の処理能力には限界があるし･･･である。柚子馬鹿ケチである。昔聞いた話では、マクドナルドではつくって何分か経ったものは客に出さないと聞いたが、出せなくなったものの処理はどうするのだろうか。安全性からいえば無料でもあげられないから捨てなさい、となっているのだろうか。3日間ゴミを出すのを止めて、ある地域の全ての生ゴミをドーム球場かなにかに入れておけばカラスを一網打尽にできそうな気がする。ゴミを出すのは人間なのだ。今日はさっぱり駄目ー。再利用に関してはまた日を改めてゆっくり書く。
お祝いしてこよう。

56.煮詰

「議論が煮詰まった」の煮詰まるは議論をし尽くして結論の出る状態という意味なのだそうだ。ＪＲ西日本の普通列車のモニターを眺ていたら出てきた。脱線するが、ＪＲ西日本の普通列車には最先端の車両が導入されるように思うが気のせいなのだろうか。

前回正直自分でも無理があるなと思いながら書いていたのだが、その原因が判った。押し付けがましいのだ。大体柚子馬鹿に人格云々する資格がない。が、書いてしまったものは仕方が無い。で、柚子馬鹿ならどうだということに突っ込んで考えるに早い話が、要するに、手短に言えば、自分が信用できると思うか、思わないか、面白いと感じるか感じないかの要素がどうも強いように思う。こう解釈すれば多少しっくりくるのではないか。人格から製格を結び付けようとするあたりも多少無理があったようだ。しかしある一面の本質があったに違いない。あなたはいい人格してますねと云われたらむしろ不気味に感じるが面白いねなら少々安心感がある。そこそこ煮詰まった。

少々軌道修正して柚子の話しに戻ろう。
色のことを書く。
柚子果汁はキレイな黄色に近い黄緑色からだんだん茶褐色になり最後は真っ黒になってしまう。並べて比較したことも勿論何度もあるが、毎回の製造サンプルを取って景色のように見ているのだが、大体偶数月ごとに色の違いが比べて判る。といっても比べなきゃわからない。搾りたてと賞味期限寸前ならお客様でもほぼ判る。けど製品としては問題とは考えていない範囲である。色が大きく変わって見えるのは9ヶ月から10ヶ月頃で1年以上も置いていると黒ずんでくる。塩を入れた場合と熱処理した場合でも細かな違いがでるが、柚子馬鹿の製品としての許容範囲は6ヶ月である。恐らくこれは市販されているゆず果汁の中で最も短い。

香りも徐々にエナメルっぽく変化してくる。柚子のことを知らない人のクレームで一番多いのがコレ。異臭がするといってくる。人間は納豆、ヨーグルト、キムチといった発酵食品と肉や卵の腐敗をある程度本能で区別できるそうだが、柚子の場合冷蔵庫に入れているものであればまず大丈夫なはずである。色でのクレームは殆んどない。異臭のついで色をおっしゃることはある。人間腐敗に関しては鼻の方が敏感なような気がする。
類似して最も多い質問が賞味期間にまつわる質問で正直ウンザリするぐらい受ける。売り場に立てば半分ぐらいの人に聞かれる。仕事上仕方が無いが、結論を云えばご自分で決めてくれといいたい。建前としては開封前の賞味期限はラベルの通りである。それ以上は云えない。美味しくというなら出来るだけ早くである。保存も使用の仕方も違うお客様の状況に対して会社としても立場上もそれ以上のことはやはり言えない。保存料や着色料を一切用いず、冷凍果汁も用いず製造しているのである。参考程度に書けば、搾りたてと殆んど変わらない状態で楽しみたいなら二週間程度である。開封して冷蔵庫で二ヶ月ぐらいは十分美味い。100ｍｌを味噌汁や香の物、サラダ、焼酎に使えば普通そんなに経たずに無くなる。他社で1年で売ってる柚子も沢山あるのだ。

ただ一点、柚子果汁の上部には香りの成分や皮の成分が分離している。使用する際にはこれを一様にするのだが、開封後キャップを閉めずに開けっ放しにしていたり、水滴が落ちたり、また随分長い間置きっぱなしにして居た場合、その部分がカチコチに固まって極まれにカビが生えることがある。これは目視するしかない。香りで瞬間で判るがそれは柚子家だからで、一般には見るしかないだろう。通常の使用で6ヶ月以内にそういうことになることは絶対とは云えないがまずない。
判断の仕方としては分離部分が固まって少々傾けても果汁が混ざらない時は怪しいということになるが、柚子馬鹿の経験では2年以上置いたものに稀にある程度だ。2年ぐらいのものは平気で使うし、万一腐っていても、下の部分は柚子馬鹿個人的には平気である。（重ねて云うが柚子馬鹿個人であって一般的には適切な保存で賞味期限以上のことはご自身の責任でお願いしたい。）それに、子供のころからの経験で30年以上一度もそういうクレームはない。賞味期限に関してはうちの場合はほぼ三倍の期間のデータの裏づけをとっている。つまり6ヶ月のものなら安全性に関して18ヶ月大丈夫という裏づけをとる。味、色、香りなどを勘案した「製品」として結局短くなっていく。だからお判りのように賞味期限を過ぎてもある程度は大丈夫だろうと想像できると思う。後はご自信でご判断してくれとしか云えない。糠床と一緒で、うちのような無添加手造りのものは冷蔵庫を空けたら元気かと声をかけ香りを嗅いでやり瓶を軽く傾けてやれば柚子も喜ぶ。父がクラシックを聞かせ始めて、工場では毎朝毎晩一升瓶で冷蔵庫に眠る柚子に音楽や落語などを聞かせている。

近頃は量販店でも賞味期限管理が徹底されていて、賞味期限が1/3経ってしまったものは入荷が認められないし、残存期限が1/3ぐらいに成ると返品されることもある。うちの場合製造から二週間以上のものが出荷されることはまずない。

一度お年寄りの方から2年前の柚子なんだけど冷蔵庫に入れっぱなしで大丈夫か？という電話を貰ったことがある。柚子馬鹿ウケちゃった。で無料で交換してあげた。その柚子はもちろん全部柚子馬鹿のお腹に入れた。

最期の最期は十円玉をキレイにするとか、肌に合う合わないをご自分で判断してお風呂に入れていただきたい。いい柚子湯になるぞー。もしも、明らかに買いすぎて6ヶ月以上保存することがあらかじめ予想できる場合には、ラップか何かでキャンディのように小さな玉にして、冷凍しておくことをお勧めする。
柚子に関してはよっぽどのことが無い限り使ってもらいたい。

55.みぞれ煮

みぞれのしろの氷菓にゆず果汁をかけると旨い。
大根おろしを用いたみぞれ煮にゆず果汁はピッタンコである。

さて、製品の評価は顔でするものだ。ということを書く。
人間の場合も同じで顔で評価できるものである。美男、美女という意味ではない。こういうことを書くと顔なんて皆違うのだから大きなお世話だという方が必ず現れる。では選挙において何を基準に投票しているのかを逆に問う。ハッキリ云えば人品が少々…と云うのは表現として問題があるから顔を理由にするのである。顔なら比べ易い。顔がいいということを翻訳すれば、己の見識と経験を根拠にして判断するに、人格や了見が顔によく現れるという知恵を持ち、その顔がその時点でいいと思えるということだ。だから、極端に云えば、別に瞳でも背中でも仕草でもよいのである。あれ、そうか、キャラクターや生き方が面白いというのもあるか、まいいや。若干趣旨とは違うが会話でもよい。当然時間が経って変わることも、見損なっていたということもあろう。

議会制民主主義に関して、ある者の能力を一般民衆はいかにして識別するのか。学問（西部邁著）によれば、それは候補者たちが示す「人格」（見識と経験を総合したもの）について優劣を判定することを通じてである。あっさりいい切れば、代表者の人格についての判断能力は（その生活体験からして）優れているが、政策についてのそれは劣っている、それが代議制を是とする根拠だということである。

真似て、製品でいうところの人格を仮に製格と呼べば、その製格を購入者は判断して購入すべきである。それが本来のブランドだ。製品にとって議会の役割を担っている場所は量販店、百貨店の売り場である。専門家として政策や内容に関して観る目を持った仕入れ担当者が、直接顧客が購入するという事実以外に評価を入れて製品を採用し顧客に適切な伝達をするところに、大いなる流通の価値がある。
丁度そいう観点から牛肉輸入に関わる流通やメーカの対応を追って観ていると面白い。
しかし、情報技術の発達や、データ事項を巧みに編成すれば、民衆の「議論」を世論に組み込めそうに思えることもある。市場主義の危険性はこの辺りにあるように思える。自社の為に政策されたテレビコマーシャルの展開具合が製品採用に大きく作用する。これは直接の住民投票や国民投票に政治的決定すべてを任せることが技術的に可能であることと同じだ。企業は基本的には個別利益の追求者と見るのが妥当であるならば、民衆が共同利益を守るためには、スーパーを議論するにたる場所にする必要がある。この点に置いてインターネットは今のところまだ量販、コンビニ、百貨店に敵わない。

車や住宅に保険などディーラー制では基本的に同じブランドしか扱わない。その場合ディーラーはメーカーの圧力を市場において代弁する傾向が強くなる。自社ホームページもその可能性が高い。一方、百貨店や量販店は実に多種多様である。ＰＢの扱い方、品揃えの仕方など、個別の製品の製格、会社の社格を何がしかの「顔」で判断し比較できる。店主自ら催事に行けば客は「私が金を出して買うのに値するか」という目で見れば良い。専門家は素人に対して、専門家にしかワカラナイ部分のプライドをしっかり守るゼネラリスト足らんと欲するべきで、その現場を共同体として捕らえると共同体ほど現代に置いて重要なものはないように思える。如何でしょうか？
顔で判断するのと同種の発想で云えば、「個人の自由」を価値として持ち上げて、家を蔑ろにして好き放題の人生を歩むものは少々品良くしてもらいたい。環境問題の本質は共同体という発想の低下、つまり家族を二の次三の次にするところにあると思う。共同体の最小単位である家族の複雑さを克服できなくて国を、地球環境を問える分けが無い。それとも、家族の問題を処理できなくても金や地位があれば環境問題は処理できるというのかね。と考えると環境問題はどにもならないという背筋のゾッとする方向が見える。逆に言えば個人を主体にした社会の発展を云う場合、共同体をどのように構築していけばよいのか、どのような家族像、国家像になるのか？柚子馬鹿には想像できないから、一つ専門家の方教えて頂きたい。

今日ぐらいお父さんのために買い物に行こうじゃないか。

え？乱暴だ？
ウひゃ…祭りだ祭りだ…

54.柚子が走る

わけのわからない話のその２である。
原稿用紙10枚程の内容と仮定しよう。ある企画や案を提出する場合を考える。三澤社長のお話しからヒントを得た。人間”却下”にどの位耐えられるのだろうか。この場合批判を批判と感じない場合は省くことにする。ルールは簡単で、理不尽だろうが屁理屈だろうがある想定された回数、批判の理由を述べ却下する。却下された方はそれに耐え続け改良を加えて行くのである。批判の側の人間はあらかじめ決められた回数に到達するまで兎に角批判と却下をし続ける。逆の側はひたすらに改良し続けるのだ。できるだけ合理的であり共感できる理由で批判する。無理だと思ったら何でもいいから理由をつける。改良加える側も同じである。

あなたなら何回耐えられると思いますか？
恐らく普通の会社員なら5回が限度だろう。よく頑張る人で10回か。100回ならどうだろうか？200回は？（因みに柚子馬鹿枯木ゆず100話を書いている、あ、関係ないか）100回になると殆んど腹が立って「もう辞めたー」というだろう。

ルールを逆にしよう。
兎に角褒める。面白くなかろうが、気分がのらなくても褒める。褒められた側はさらに気分を良くして改良する。ある想定された回数に到達するまで褒めまくる。但し合格はその回数に到達するまで決して出さない。
300回を想定したとき、批判するのと、褒めるのとどちらなら出来そうですか？極端にいやあ両方してもよい。175回目の褒め言葉は寒気のするようになるであろう。185回目の批判はほとんどユーモアになるであろう。1975回目の褒め言葉1985回目の批判を交わす頃には、批判なんだか褒め言葉なんだかわからないけど笑顔になっているかもしれない。

一方、
このルールが知らされていないとしたらどうするだろう。
辞めたーというチャンスはいくらでもある。その理由もいくらでもある。

一歩踏み込む
ある物でも事件でもいいからあって、
感情や欲望が明確になっておりその感情や欲望を肯定するためには、論理的だろうが非論理的であろうがある想定された回数を達成しない限りその感情を否定されるというルールがあったとして、肯定する方も否定される方も理屈をつけないといけないとしたときに何回耐えられるだろうか？

他方
このルールを知らされていないとしたらどうするだろう。
辞めたーというチャンスはいくらでもある。その理由もいくらでもある。

さらに踏み込む。
同様にしてある一定の回数、相手にとって常識と思える対応をしてはいけないというルールにする。されたほうは何があっても受け入れるという対応をしなければならないとする…

「あのね、こうやってズドーン、ドスーンと書いているがね、どこにもまだ柚子が出て来ないが、それが問題だわな」
そのうち柚子が帽子被ってあるいてる。

え？ブツブツ云うな？
ま、事業案なら10回では軽く駄目だろうな。

なんだか判んなくなっちゃった。

53.製品

わけのわからない話を書く。
みなさん平和って大切ですねー。いったい戦争とはなんなんでしょうね？あなたにとってお金とはなんですか？幸せについて改めて考えさせられますね。こういう表現を良く見聞きすることがある。

同じ性質の言葉で「どうでしょうなぁ」という表現を考える。この場合どうでしょうなぁと云いながら右手でマルを出しているような場合は考えない。関西独特のこの表現は殆んどの質問の応えとして、また会話として成立する。
何色が好きですか？それは梅干の種ですか？宇宙人は居ると思いますか？商売の調子は？今のはボールと違うか？…山のようにある。
イエスでもノーでも、さあネでも、ワカラナイ、知らないでもなく、どうでしょうなぁ…なのである。ニコニコ笑いながらこの言葉を用いて居ればまず敵をつくらない。むしろ相手のひとり相撲で含蓄あるオジサンねと云われるだろう。

ところが会話としては成立しても、内容的におかしな場合も割にある。例えばお幾らですか？Ｍサイズはありますか？容量はどのぐらいですか？子供が食べても大丈夫ですか？…これまた山のように考えられる。

この辺りにひとつ製品化の性質を見つけてみようと思う。
そう、製品というものはある一つの決まった考えの結論、つまり原料、単価、容量、品名、価格…の集合体であるということだ。お客様は買うという行為を通じてその製品に対して評価を下す。「製品」というものを通じてキャッチボールが始まるわけである。要するに、製品としてこのようなラリーを成立させるためには、「俺はこう考える」に対して「なるほどそうか、気がつかなかった」「それはそうかも知れないけど私はこう思う」というところに踏み込む必要がある。もちろん製品によっては会話そのものに時間がかかる。また「どうでしょうなぁ」の使い方によってはそこで会話が止まってしまう。表紙タイトル柚子について、内容一行「どうでしょうなぁ」でおしまい。

一方ここに立ち入らないで、要するに即興性とキャッチボールを無視する方法があって、過去一定の評価を得た製品を繰り返して行く方法である。「売上げ」に頼る方法とも云える。また他人に頼るのもあって俺はそうは思わないけどお客様がそう造れというから造ったというもの。ＰＢなんてのがそれである。けど、普通に売れるという事実を得るだけでも実は大変なことには違いないと思うが…。
怖いのは、これらだけに頼っていると売上げが落ちてきたときにどうしてよいか判らなくなってしまう。反対側では、世の中9割がそういうけど、実はこういうものっていいもんだ、という製品（もの）は滅多に出来ない。消えていく。その上、たとえ実態が無くても売上げさえ上がれば世の中に許容されるということも起こる。

もう一歩踏み込む。
どうしてそう猫の鬚ばかり集めるの？なんで虫のコレクションじゃなくて虫の脚コレクションなの？生きるために無関係だろうよ、曰く無駄、無理、ムラ…
今、柚子馬鹿サインペンで猫に眉毛を書くことに生きがいを感じている、というのは冗談だが、いったい製品とはなんでしょうね？

え？
「どうでしょうなぁ…」

52.五臓六腑

夢をなぜ見なくなるかというと、見ても仕方ないんだと無意識に決めてしまうからだ。夢なんぞ見る必要がないというのは置いといて、お金がないから、時間がないから、人が居ないから、無謀だから…いろいろな理由で頭から切り捨ててしまうからである。年齢が高くなればなるほど制約が多くなればなるほど”夢”という言葉から遠のいていくかもしれない。夢ならタダでなんでも可能だ。ぐっすり寝たせいで、三澤社長から伺った夢の話しを思い出した。行動に移すことを考えに入れれば少々複雑になろうが、夢を見られる、語ることができるというのは凄いことである。夢を見ることが楽しいことも、むしろつらいことも、つらいのが楽しい夢になることもある。盆が過ぎると何だか秋の香りがするのは不思議だ。秋の味覚に柚子は大活躍である。嗅ぐだけで楽しい柚子をつくらねば。

松田美智子先生のことを書かせていただく。柚子馬鹿頭が上がらない。
夢のスタートの頃、ヤケクソという表現は良くないから”我武者羅”に百貨店を巡っていた頃のこと。地下の食品売り場で試飲して頂きながら説明をしていた。果実を手で搾りながらである。恐らく取材の合間を縫っていらっしゃった松田先生にお客様と思った柚子馬鹿はいつもの調子でやっていたのだと思う。でもすぐに、この柚子のことを評価して下さった。震災直後ほとんど知名度の無い頃の話である。
頭が切れて、カッコいい、颯爽としていて気品がある。あまり書くとヨイショみたいだが、本当に柚子馬鹿頭が上がらない。実にさり気なく。その”姿”は火災があろうと、柚子馬鹿がどうやっていようと全く変わらない。

先生は何も仰らないが、柚子馬鹿の受けた取材やご注文の数々のどれほどが先生の発信か判らない。柚子ごしょうの開発をはじめいろんな場面でお世話になっている。柚子馬鹿もだが、むしろこの”枯木柚子”と”両親”を想って下さっているのではないかと思う。直接云うのは苦手なので、密かに茲に感謝を記して置きたい。食の専門家で最初に評価して下さったのは松田先生である。この柚子馬鹿が枯木柚子と両親から”そこそこ合格だな”と云われる時が来たら恩返しになるかもしれない。こりゃあますます長生きして貰わなければならないや…。そうか、”柚子と人”というテーマで書いたら幾らでも書けることに気がついた。が、例によって行き当たりばったりで書いていく。もう11時少し過ぎだ。5年前、ある食の学校の卒業記念のテーマに使って頂いたことがあった。テレビ、料理、テーブルクリエーター、編集者と学生の為にボランティアでその道のトップが集まっていた。その空気が大変に楽しくて柚子馬鹿ずっと記憶にのこっている。あの日は確か雨だった。これじゃあ感想文じゃないか…であるが捻くれたことは書かない。感想文以上に書けないのが先生の凄さである。

お世話になっている方数知れず、そういうこと一つ一つを大切に、大切に…。いつまでも、遠くへ、いつまでも…　五臓六腑にしみわたる。

51.ABCD

送り火をたいて来た。
小泉さんが行ったと聞いた、いい悪いは知らないし、いろいろ批判もあると思うが、悪戦苦闘している柚子馬鹿にとって、「公約を守った」という一点だけでいい響きである。
ここ数話、柚子馬鹿己に嘘をついている、いや違う、自分で自分が解らなくなっている。これも違う。原因は自分では判ってはいる。兎に角一般論を持ち出そうとするあたり、唯の馬鹿になってきている。それじゃいけない。プライドは命がけで守るものである。大切に大切に心の中にしまっているものを大切に大切にしなくちゃいけない。柚子馬鹿取りあえず自分の本能を優先させることに決めた。草津の湯でも治らないである。書けば書くほど泥酔状態になりそうな予感がするので、困ったときはレシピか。どうすりゃいいのか、負けてたまるか思案橋。
あーアムステルダムに行きたい。
今日は熱くて参った。バチがあたって、蚊には刺さられるし
手を切って錆で血を出し…

柚子を飲んで身体を中和させないと…
今日は反省をしよう。

50.ブルーラグーン

ハードルとフラットについてだった。
どうも最近、ハードル・参入障壁、本音と建前、年功序列というようなもののメリット感じている。ところで、ウチの会社の朝礼は凄い、いや酷い。柚子馬鹿風のむくまま始めて気のむくまま終わり。社員の発言に無駄があったり、メモの準備をしていなかったりと、駄目だと思ったら勝手な判断で己のことを棚に上げて平気で凄い言葉を並べ上げる。それこそ、停電、暑さ、アルバイトの家庭の問題に至るまで全部そいつが悪いんだという気持ちにさせることもある。最も触れて欲しくないところを平気で掴めば、己の失敗も全部曝け出し、放送禁止用語までのいいたい放題である…、要するに己のことを棚にあげた会社である。理由は柚子馬鹿それでいいと判断しているからだ。
昔、火災までは完全にフラットでやっていた。何が言いたいのかというと、企業にとっては、建前があれば、余計な配慮をしなくてすむかもしれない。己の修練とお客様のことにできるだけ神経を集中できる。いきなりチームを組まされるとしばらく互いの配慮が必要となるし、長時間やってるとくたびれる。尤もそのプロセスこそ実は大変に重要ではある。ただ、習い事なら月謝を貰っているから当人がこなけりゃれまで、それはそれで誰にも迷惑はかけない。（ここに己に大嘘があることが気がついた。一般論を出した時点で柚子馬鹿ただの馬鹿になる。真意は組織は了見であると思うということである。）一般の企業の場合はそうもいかないので、組織という型にハメル方が楽でもある。悪い意味で使われる官僚組織でなければほんとうはどっちでもいいとも思う。関心がなければなかなか奥には進めないのだから、結局代表者が勝手に決めればそれでよい。ルールは単純な方がよい。例によっていい加減である。

はなしをネットに戻す。感覚で感じていることだから論理的に説明できないのだが、一番思うのはフラットになんでも表現できるということに対して、ハードルが掛からないということは、己が己に言及するという行為が簡単に可能で、しかも他人と共有しないものを自由にできたとすれば、その発想は「犯罪」に近いものではないか…ということである。本質的な芸術的な行為と犯罪の行為に似ているような部分があるような気がして来ていて、その歯止めがないものは怖い。行為が正当とみなされるには根拠があるべきだ。その根拠がしっかりとしていれば権限が宿る。すると慣習の親玉である伝統がないと己が不安定で不安定で仕方が無い。自分が解ってないことを書こうとするからますます分けの解らない文章になっていく。いや判ってはいるのだがなんだか解らない。えーい。それを振り子と表現しようと、輪郭と表現しようといいのだが、ネットで自由に書けるという全うな理由はなんですか？
その作法を考えるか、自ら義務を貸すか、とりあえず、己を曝け出すことと、歴史と慣習にその根拠を求めようとしている。我ながらよく己の馬鹿さ加減を曝していると思う。若者は大先輩に学んだことを心に体して、大胆かつ細心に適切な言葉遣いで実践することが必要と思う。言葉はもっとも高いハードルだ。
テレビと同じく現代で無視できないのがインターネット。要点を云えば、インターネットを田んぼの中でやるような発想が必要だと思うということである。
非常識が、いやもっと凄いものが大切なんだという自分がいるのだが、蜘蛛の糸に絡まりそうである。青い珊瑚礁の夢でも見よう。

もう晩飯喰って寝ちゃう。

４9.フラット

海外に行って解る三つ目のことは、海外ではある意味短絡的と非難されても国家＝政府と理解していたほうが腹が立たないということである。ところが日本人の歴史、より具体的に慣習として考えれば国家＝政府と言い切れないように感じる。むしろそうでない部分を大事にするべきではないかともう一人の自分が語りかける。毎度思い付きで即興で書いているので「国家」について誰か教えて欲しい。郵便切手を民営化しようとしまいと国家観に無関係であるというのは日本人の凄いところだと思う。”国家が個人に対して死を命じられる根拠は何か”、あーまたこういうことを書きはじめる。あのね、毎日書くという行為は日記にしておかないとエライ目にあう。狂う…。ワー。
柚子馬鹿基本的に無宗教である。いや己の中に、拠り所になるものはしっかりある。神社仏閣、クリスマス、なんでも来いである。ガンジーの旅でラマダン中のモスラムを冷やかしてマクドナルドに連れて行ったぐらいである。正確にいえば、マクドナルドを出した時点で断られると思っていたのだが、仕事と宗教に忠実に行動したモスラムの判断は見事であったこと、彼の見事な対処が柚子馬鹿悪いことをしたと気づかせた。

海外でタクシー乗ったときによくやるのは、お金が判らない振りをして15,000なら10,500と支払って降りてくる。血相を変えて追っかけてくる。ま、冗談である。戦争に関しては歴史のプライドを守って死んでいった人のプライドを守りたいという気持ちが強い。もう止そう。いいや。柚子馬鹿風の向くまま気のむくまま、フラッと出かけて一人になれる場所があるから何とか持っている。己を客観、違うか淋しいと感じ取ることで幾分安定させているのか玉手箱である。男には隠れ家が必要かもしれない。柚子馬鹿”自信”という発想がない。自分を信じられますか？といわれたら自分ほどワケノワカラヌものはない、けど自分を信用するしかないわいな。要するに達成感を求めようとする自分と、それに共感を与えてやるかやらないかで迷う別の自分との格闘みたいなもので…、こ、これね、悪い傾向になって来ていると自分でも判るのネ、予想通り後半戦は支離滅裂の目茶目茶になりそうな気がしてきた…。

ああ、そうだ柚子だ。柚子の営業のことと、フラットな世界のことを書こうと思ったんだ。
仕事を始めたときに一番歯痒く思ったのは自分が良かれと思ったものを、直接容易にお客様に問えないことだ。随分と時間がかかって始末に悪かった。要するに店舗に並べてもらわなければ始まらないのである。当時はバイヤー（仕入れ責任者）の云うことがよく判らなかった。関東ならハッキリと駄目といってくれても、関西だと遠まわしで根本のところが判らないと、何度修正しようと駄目なものは駄目である。要するに純粋に製品の良し悪しを問う土俵に到達するまでにクリアせねばならない無数のハードルがある、絡み合う。ある土俵で自由に発言できる資格というものは決して容易には獲得できない。兎に角、歯痒い思いをした。その上最初からすぐに解ってもらえない”枯木”を使用していたから余計だ。こちらがいいと思うものほど商談で却下される確率が高かった。イッソのこと、世の中矛盾だらけなのだから矛盾を楽しむと割り切った方がよいというぐらいである。そういうことができるようになるプロセスと考える。そこのとこで間違うと金さえ儲かりゃいいじゃないか、ということになってしまうだろう。ネットを、乱暴に三つ分けると、一つは内容を伝えようと表現に苦労しているもの、次は効率よく販売し儲けようとやっているもの、最期は、自分の不満や存在の共感を求めようとしているもの。ハードルのある世界では、最初のものが中心となり本音と建前が生まれる。フラットな世界になると、後の二つが欲望と一緒になってドンドンと押し出てくる。

当時パソコン環境整えるだけでも一台50万円以上、数分間のネットの通信料が100円近くするような時代であった。ネットもウィンドウズも無いMS-DOSの時代である。直接ネットで表現できて直接お客様に伝えられるという時代が来たとき、やる気になり、戦っていけるような気持ちになった。それらを前提とした上で、近頃ハードルって案外いいものじゃないかと思うようになった。

カップめん喰ってこよーっと。

え？それ違う…それはヌードル。
続く、ツクツクホウシ…♭

４８.A Couple of Swells

西部新宿駅の辺りから、ヒルトンホテル、第一生命ビルからセンチュリーハイアットの前を通り、ワシントンホテルを曲がって甲州街道沿いを南口。歩け、歩け、南へ北へ、東へ西へ、歩け、歩け…、第一生命ビルに通っていた日が蘇る。どんどん、歩け歩け、港の見える丘～まで、熱さで卵も殻から孵れば、龍の鬚も掃き掃除か。誰か熱を吸収するアスファルトを開発してくれないか。道路も煙る。汐留めに、東京駅の北側、新宿の高層ビル群に南口、来るたびにどんどん変わる。凄い。もし東京で、日本でオリンピックがなされるなら、無責任に野次馬で云えば、規模の大小や勝ち負けでなく、訪れる世界の連中に、世界のメディアに、「こりゃ日本には敵わない」と恐れ驚き、立ちなおれないぐらいにテクノロジーと文化の歴然たる差を見せつけてやれば10年、100年影響する外交になりはしないかと、暑さにイカレタことを考える。スポーツマンシップを貼らなければ。
寝違えたようだ。

もしもこの炎天下に柚子果汁を持ち歩けばどうなるかを書く。
搾りたての柚子なら100％噴出す。一升瓶の王冠なら、ポンっと小高い音を上げて飛び、そのあと、液が噴出すはずだ。栓をするときに王冠を扱うのは気持ちよい。しかし、柚子の世界では金色、銀色の紙をコルクに貼ったような王冠は次第にみなくなり使い捨ての樹脂キャップになってきている。もっとも一升瓶を扱うこと自体が減っている。”一升瓶”そのものの生産量は最盛期の半分ぐらいというが、紛れも無く日本サイズのオリジナルだ。因みに中身を一気に空ける時、ボトボトとするのは素人で、片手で首のところを固定し、お尻の部分を小刻みに回転させてやるとスパイラル状に一気に噴出してくれる。子供時分この栓を指だけでよく空けていたが、200本ぐらいすると爪の皮が捲れそうになったものだ。液を噴出させないようにするには、前にも書いたか、塩を入れるか、熱殺菌するか、冷凍してしまうかである。枯木ゆずに対しては、やはり一番美味いものを喰ってほしいから、搾りたてを熱処理せずに販売したい。それには温度管理をキッチリする必要がある。これまた書いたようにボトルとキャップには小さい会社の限界があって絶対にもれないという方法がなかなかない。そこで仕方なく、催事での直接販売と取り扱いをチャンと説明頂けるところでしか今のところ販売していない。手持ちでは持っていけない製品である。輸出にもこのままでは不向きである。例えばエレベータが絶対壊れないと思っているのと同じ　で、最近こそ減ってはきたが、幾ら赤字で注意書きをし、また首からぶら提げても、”瓶に入っているもの”は洩れないという固定観念のあるお客様が多い。冷蔵品にもかかわらず玄関や床の間に置きっぱなしにして液漏れをし、酷いときにはペルシャジュータンの買い替えに壁紙の張替えをしてくれと、とんでもないクレームを頂いたこともある。何度止めようと思ったかしれない…、そういうものでも良いと云ってくれる方に100人でもよいからと思ってはじめた品であります。

そこで、厳選枯木ゆずという製品があり、熱処理をしている。そのぶんだけ美味くない。けど接木の柚子に比べれば遥かに美味い。しかし、これが枯木だと思っては欲しくない。売りたくないけど知ってはほしい。扱える店舗は増やしたい、心情的にいろいろ複雑に絡み合って、結果、売りたくないのほうが55：45ぐらいに柚子馬鹿の中で勝利してしまい、1万本の限定ということで今は落ち着いている。一万本以上売りたいとおもったらホワイトラベル（セカンドラベルとして気に入らなければ賞味期間内、製品と交換で全額返金を受け付けている。）として増産する。買いたいなと思った方は成城石井さんと三浦屋のサンロード店とイカリスーパーに訪れてもらえば手に入る。これを焼酎に入れるとよい。サイダーにも。ある瓶屋さんとたまたま話して居た時、彼が力説していたのは、今の殆んどのラムネの瓶は玉の入った部分がキャップに完結してしまっている、ので、あれはサイダーであってラムネの風上にも置けないそうで、その意見には大賛成だ。そのときにフッとよぎったのが小林秀雄だったか違ったか、”ラムネ氏”のことが教科書に載っていたような、想い出したよぉ…な。これまた調べたら更新する。
今日は8月13日である。

柚子果汁。
素敵な瓶に素敵な帽子、それに傘、
世界中の街を色とりどりに…

47.雷

盆休み。盆休みなのだ。だから書きたくない。
で、盆休みである。
凄い雷だった。雷は大好きだ。雷の心意気である。
えーい。やっぱり書こう。

でね、お盆と柚子。料理の話を書く。
試してもらいたいのはトウモロコシに柚子をかける。旨いし、柚子のビタミンＣとトオモロコシの成分とで確かいい効能があったはず。調べたらまた更新する。
苦いものをまろやかにしてくれるので、ゴーヤの炒め物に合う。ソウメンやお蕎麦の汁にも会う。キュウリと蛸の酢の物。苦味をまろやかにして甘みが引立つ。茗荷を加えるのは好みか。キムチチャーハン造るときにキムチに少し柚子を加えるとよい。トリワケ旨いのは、柚子を効かせた稲荷寿司である。柚子はゴマとの愛称も抜群である。シャンパンに柚子もお勧めである。生ハムに柚子をかけてもよい。広島のミクニシェフのお店のオープンの時に、この組合せで頂いたことがある。

いや実は、帰省ラッシュに逆らっての東京であります。うん。朝ご飯を想像しながら新幹線に乗っていたという訳であります。ま、柚子家ごときが書くことではないけれど、靖国神社の問題。「死なば仏」なんだからどうだっていいじゃないかといいたくなる。ただ、素人にとって判らないのが、国益の対抗軸がなぜ国際関係になるのか、しかも、そこに靖国が何故関係するのか、論理も意味もよくわからない。いや無理を感じる。柚子馬鹿無知である。下衆の勘繰りに云えば、戦争、平和、Ａ級、合祀、歴史云々を焦点にしているように見えるだけで、意図的に戦略的に解決させないのなら別としても、６０年も解決できないわけがないので、例えて社会一般の例の如く「金」が関わってるとしか思えないのだが…。…そういっちゃいけないんだと云われてそうかと思い直した。一方で、中国も韓国も自国のエゴで云ってるのだとすれば、柚子馬鹿無責任であるからいい加減に、井戸端会議で云えば、常識外のところを真剣に考えた方が早いと思うがなぁ。もう解決しないことに決めちゃうとか、参拝の資格を日本語のしゃべり方によって決めるとか、「…何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。

話は変わるが、冬至の柚子湯のラベルの仕事で、花見に酒盛りに温泉マークという柚子馬鹿には絶品のものだったのだが、やはり周囲の反発にあった。あまりにも馬鹿馬鹿しくていいと思ったのだが、それを押し通す筋合いのものでもなかったので優しいものにした。いずれにしても、柚子湯の出荷回復の取っ掛かりにしたいと考えている。これで何％ぐらい回復するのだろうか。

天気予報に降水確率△％、帰省列車乗車率◆％、100％果汁、支持率％…
99％という表現は、その99に意味があるのか、100に出来ない言い訳があるのか、で、自分の名前を製品や製法につけたがるのと同じで。品名も数字も本来了見である。二人に一人は立ったままと云うのは電車側は嫌がるのかもしれない。

ところで、帰りには新幹線に乗る前に東京駅を想像して気になっていた”深川めし”の弁当を試して見るつもりである。おなかがゴロゴロしてきた。

46.柚子しぐれ

学生時代に柚子しぐれという製品をつくっていたことがある。ゆずの皮の砂糖漬けを細くしたものに雪のように砂糖をまぶした和菓子である。神田和泉屋さんで確か扱って頂いたことがある。拙ではあってもまた違った想いの篭もった品であった。

夕立や忍ぶ恋路の蝉時雨

蝉時雨想い出抱いて旅を行く

お酒一樽柚子の実こめてそそぐ香りを絶やすまい

うれしくて　たのしくて蝉時雨

千本の　皮にどしゃぶり柚子しぐれ

だーるまさんがころ…　あ、アレ

45.アイ・ソー・ザ・ライト

猛暑である。太陽が明るすぎる。
今年の柚子は去年より黄色にオレンジに染まりそうである。紀伊国屋文左衛門の心意気か。中国は広い、マカオもそうか。
香港からいけばフェリーに乗って割合近い。
柚子馬鹿売り場で何人か熱心なお客様に出会うが、その中の一人、あまりに一生懸命”ロブション”、”ロブション”といってくるので、それほど熱心に云うのなら凄い人なのだろうと当時、ロブションのロの字もフランス料理も知らなかったが、例えて、マグレと云われるのが嫌だから、という了見もあって、思い立ったが吉日とフラッと行くのが柚子馬鹿である。聞けば当時日本に最も近い場所で本人が鍋を振るう場所はマカオのリスボアというホテルしかないと聞き直接柚子をもっていった。流石の人物でありました。見事な、鳥肌の立つような持て成しを頂いた。そう、リスボアのオーナ夫妻も人物であった。その時のプロセスを極端にいえば10本でいいから製品にして残したいと思って日本に帰ってみると、関係者いろいろ複雑で面倒になって、…柚子馬鹿考えながら走るサッカーよりもジットしててたまたま来たボールを蹴ったら入っちゃったという方が好きである。ま、冗談はともかく、その後の紆余曲折は書かないが、お蔭で無事になんとか製品化したものがある。三越のギフトカタログで購入できるはずである。

昨日と今朝とたまたまつけたニュースで北京の特集をしていた。これまたもう10年以上前に柚子のルーツを探るために訪れたことがある。昔一緒に仕事をしたゴンさん、龍の下に共と書く日本にない漢字である。龍という字は誰でも用いられる字ではないと本人は云っていた。北京大学出身なので、文献を含めて柚子のルーツを探るのを少々手伝ってもらった。あ、そうかゴンさんと一緒に動いたのは上海だったか。まあいいや。コレ見たらゴンさん連絡してくれないかなぁ。柚子馬鹿公園で爺さん相手にボーっと碁を打ったことを思い出した。結論を書けば所謂柚子は中国で見つけられなかった。漢字だけでいえば、鬼柚子のようなグレープフルーツのようなものが出てくる。
気がつきゃ、パッパで四十五話である。

旅に集めた蛍はいざり灯　主を帰さぬ屋形船　

44.狸

ニューズウィークに世界の動物園＆水族館ベスト50が載っていた。柚子馬鹿にとって世間の騒ぎ方とは全然違う意味で旭山動物園に対して想いが深い。動物を特殊や普通に分けようとする発想がそもそもエゴで、「ゴリラがゴリラで居られる場所」、手元にないので若干違っているかもしれないが、これらの文章を読んでいるとイチイチ表現が妙で面白い。一位がロンドン動物園。シンガポールのナイトサファリも入っていた。やっぱりである。けど台北は賛成である。ニューズウィークは正直柚子馬鹿には少々残念な記事ではあった、が、仕方はない。その国の人間、動物、自然の位置関係がもっとも色濃く出る場所の一つである。

柚子の山々月淡く、広い田んぼも一跨ぎと、母から聞いた昔話を書く。
田舎の夜は暗い。震災のときは夜がこれほどに暗いものかと感じた。月の明るさに対する思いは深い。町から一里、二里、イザ故郷へと、歩いて来る道中のいい伝えである。
提灯一つで真暗、暗い、それは暗い。とっても暗い。ずーんと暗い。その道をお婆さん歩いて来ると、絣を着た小僧さんがお婆さんを観て風呂に入っていけ、どうぞ、どうぞ、といったという。すぐに狸だと覚り小石を投げて”こら狸”と云うと消えてしまったそうだ。別のおばあさん、だまされて、風呂に入って気がつくととっても臭い狸の厠だったと続く。

おじいさんが、家のすぐ近くまで来ると、別のお爺さんが団扇片手に涼んでいるのに出くわした。田んぼの遠くを指差したので観ると、無数の光が飛んでいたという。で、なぜかこれは狸のヨダレなのだという。

おばあさん、今度は河童に出くわした。河童曰く相撲を取ろう、相撲を取ろう、というので取ったらしい。何もしないと河童に負けてしまうのだが、手に唾をすると河童に勝てるのだそうだ。

その村から戦争に行ったもので誰ひとり命を落としたものは居なかったそうだが、戦場で、もう最期と覚悟を決めたとき、”我はそなたの氏神であるぞ”と矢面に立って救ってくれたという。で、その寺の釣鐘を軍が持っていこうしたのだが、”金峰寺帰ると鳴りながら寺まで戻っていった…。今でも”天狗が出ると云われ、夜中に一人で決して行ってはいけない。

出稼ぎで木を伐りに大勢が集まった話。飯場（はんば）をつくり、飯炊き婆が居て、仮設の住まいを作り、仲間と共同生活を営む。休みの日は魚を取って過ごし、それを燻製にして居た。なぜか一匹、一匹、と日ごとに燻製が減っていくので、誰かが盗むと噂を立てられ、顔つきの悪いのか日ごろの行動が不審なのか疑いを掛けられた。よほど悔しかったのだろう。真夜中、汚名を返上すべく彼はじっと監視続けた。するとメシメシ、と天井付近で音がしたかと思うと、ハシの方から手がガチャン、ワーっと出たかと思うと、ん、燻製を掴もうとするやいなや、待ってましたと持っていた包丁でズバッと腕を切り落とした。ギャーといったか、うっとつまったか、フニャフニャといったか。その血の痕を追いかけてみると山猫であった。彼は汚名を返上し、口笛が響いたとか響かなかったとか…。

動物と人間との物理的、心情的な境界線、いろいろあろうが、「河童と相撲を取るときは唾が決め手になる」、一つこのあたりの人間と動物の了見を認めようじゃないか…。

43.柚子茶

だんだん面白くなくなってきている自覚もあるので、柚子の話題で終始する。支離滅裂になっていくのをこれでも随分抑えているつもりである。以前、皮や果汁が有効に利用できれば、柚子や柑橘業界にとっては大変メリットがあると書いた。そこでゆず茶について書く。

いい加減がよいという判断で、ゆず茶とはゆずジャム（マーマレード）のことである。で、これは韓国の伝統料理でユジャチャといって、年間を通じて貴重なビタミンＣやクエン酸を効率的に補給できる保存食である。造り方は簡単で韓国の高速道路沿いの売店で売っているものは砂糖と柚子果実を1：1の割合で使用し、ジャムにして瓶詰めしている。百貨店や空港あるいは日本に輸入されるものはこれにハチミツが入っていたり、本来、柚子丸ごと種もサジョウも一緒に使用するところを部位を限定してつくった高級なものが多い。これをロシアンティーのようにお湯で割り、冷やし、またカクテルに使う。

これまで2度韓国に行っている。一度は柚子の栽培の現状を見るためにチェジュ島近くの最南端までソウルから高速バスにのって高興という地域の農協を視察した。もう一度は日本の抹茶がブームの頃に百貨店や市場を観てまわった。農協に行ったのは10年近く前になるから、今では事情も変わっているだろうか。当時、果汁の生産はほとんどなく、これから日本への輸出を考える段階だと云っていた。柚子は接木だけで、日本では許容されていない種類の農薬が使用されており、実生の柚子は一本も見ることができなかった。それに、町中普通にゆず茶があるかと思っていたが、なかった。むしろ、今の日本のほうがゆず茶がよく売られているように思う。ウチの柚子ドリンクの繊細さを味わえば韓国ゆず茶なんてぶっ飛ぶと思うが、沢山のゆず茶が日本でウケているというのは事実だ。不思議でならないけどそういう事実があるんだから仕方がない。当時の果実の価格は日本の7割ぐらいであったか、輸入されている果汁は安く1/2から1/3程度という。けど水っぽくてどうにもならない。ゆずキムチなんて旨いと思うけど、そういう料理はどの程度韓国にあるのだろうか。恐らく、冬至に柚子湯に入り、桃栗三年柿八年という諺にまで浸透するような文化との結びつきは弱いだろう、と行って、見て、農協と農家の顔て判断した。その日、銀の皿でテーブルが埋まるぐらいの接待を受けたが、柚子の料理はなかったように記憶している。日本人ならこれでもかと柚子料理を出すに違いない。料理はあるけど出さないと判断していたのなら侮れないが違うと思う。10年経っているし記憶も曖昧である。尤も韓国宮廷料理における柚子の使用方法など調べたわけではないから、…そうか機会があったらやってみるか…、柚子の料理への用途は日本に比べれば少ないだろうと感じている。ただ、ファーチェというゆず茶にクコの実や梨やりんごのスライスを浮かべて冷たくしたデザートがあって、はなまるマーケットという番組の取材を受けたときに、柚子馬鹿の知人のつてで出会った先生に教えてもらったのだが、これは美味かった。ココナッツミルクでもいいかもしれない。ヘルシーで涼やかで肌にもよくて女性にお勧めである。

お客様から聞いた話で、大手の居酒屋チェーン店にウチの柚子ドリンクを一本も出荷していないのに写真にはウチの園や母親の写真を長期間使っているたと聞いた。現物を見てないし、世話になっているし、ぽんずは使って頂いているし、ま唯の噂だろうと思う。柚子馬鹿物事そんなに知らなくてよいという判断もある。
仕様書を提出しているところから情報が流れて、四国のダムを止めて村おこしをしていたある団体にボトル、パッケージから名称までそっくり真似られたこともあった。

ジャムは素晴しい食品だと思うが、柚子茶に関しては柚子馬鹿にはどうしてもさほど美味しいものに思えない。それは柚子を知っているからなのだが、生産者から云えば、ゆず茶のようなものが売れればあり難い。マーマレードとして柚子茶を考えるとは緩く水っぽくならないギリギリの仕上がりが旨いと思うが、ならウチのドリンクに柚子の皮のスライスを浮かべるほうが良い。うーん。要するに砂糖50にゆず50でワッと造るのがいいので、手間をかけるのは趣味程度に考えていれば良いのではないかと思うのだが…。柚子馬鹿よく判らないと云っているだけで、造り始めれば柚子茶の素晴らしさを列挙するようになると思うが、ま、その程度の柚子家である。

どうでもいいじゃない、柚子茶つくって売れりゃいうことないんだから、
あ、そうかそこまで気付かなかった。

そのうちテーブルをぽん酢まみれにして決裂した商談のことでも書くか。

42.非常事態

毎年この時期になると柚子馬鹿送り火をしている。伊丹空港が見渡せる小高い山の上に何百段の階段を登り、9歳のときから今のところ一度も休まずにやっている。年に一度ぐらい、有事、平和、戦争などについて多少考えることがあっても良いと思うが、柚子馬鹿程度じゃ判らない。
昔、海軍に居た先輩に口頭試問の噺を聞いたことがある。「有事における事前報告と事後報告についての考えを述べよ」という趣旨であったか。戦争に直面しての授業での噺、尊敬する教授の唾がノートに飛んで、そこにペンで印をして◎◎先生の御唾と書いたというから当時の先生の権威と緊張感が伝わって来る。この先輩自力本願の超人ですべてを克服していく生き方に、凄いとは思うが柚子馬鹿には無理というか解らない部分が多かった。

平和の問題は難しいから、自分の精神に置換えて考えたときに、心が”平穏”であって、葛藤がない状態＝戦争がない状態が”平和”であるとするならば、己の精神において平和を言い続けるということは臆病であるか、卑怯であるか、もしくは葛藤を伴わない最初から無限の思考停止状態を言うことにならないか。解脱している超人は別として。どうも暑さのせいで余計なことを書いている。
柚子馬鹿”頭”では理解できても心情的に理解しにくかった人に「ガンジー」という人がいて、もちろん偉いとは思っているが、侵略に武力を用いずに不服従を唱えるという自己犠牲と精神力の極致を実践したという、あまりの非常識さに興味を抱いてガンジーの家を見に行ったことがある。どうもガンジーは偽善者ではなく本物であった。しかしとても日本人には無理だろう、以上にはなにも判らなかった。世に偉人数々あれど、頭では理解できても心情的に、感覚的にも違和感がないという偉人には滅多に巡り合えないとしたもので、もし巡り合えることがあったならば唯一無二の神様である。
柚子馬鹿一番苦手な行為に見直しという作業がある。文章の見直しが兎に角嫌いで、と書けば愚痴になる。ただ、15日の度に原爆落とされた”日本が悪いのだ”と、見直しさせられるのは御免だ。”原爆落としやがって”、というならまだ分かる。
あれ、何を書いているのだろう。噺は変わるが、世界の動物園ベスト50をランキングした雑誌が出たと人伝に知った。少々興味があるが、おそらく共感できるランキングではないだろうという予測を立てている。

柚子のドリンクを用いて夏を涼やかに過ごす方法を書く。
まずは、寒天に柚子を用いる。牛乳寒やくずきり、ところてんにソースとして使って欲しい。かき氷やスイカにいい。冷酒や焼酎、冷たい水で薄めても良い。
クエン酸とビタミンＣが多いから肌に良く、元気がでるから毎朝のヨーグルトにソースとするのもお勧めである。旧くなった柚子は少々勿体ない気もするが風呂に入れて入ると心地よい。柚子の香りは世界に二つとない日本の誇るものである。
心地よい香りと心地よい旨さは少々気分を平和にしてくれる。
経験上、海外の人に柚子は判らない。
ここ一番のときは果汁をそのままコップに空けて一気に飲んでスッパイを入れ、素とし、
香りに酔いしばし時を忘れる。

41.灯り

夏の蛍。震災の中心部に御影公会堂があって野坂昭如さんの”火垂るの墓”にも登場する。母は昔蛍を捕まえて、籠がなかったのでネギ坊主の坊主の部分を逆さにして籠にしたという。高知の安田川にも蛍がいる。自ら光る蛍は偉い。

家庭では白熱灯系の暖かい色合いの方が好きではあるが、店舗だと蛍光灯の固めの明るさが中心で、製品化するときはどちらに焦点をおくのかと云われれば、心情的には白熱灯でありながら蛍光灯を意識してつくるということか。量販店などでは瓶の下一寸ほどは値札に隠れてしまうので専門家のデザイナーさんの水面下の苦労はいか程かと思う。ウチのホームページももっといい写真を使わないといけないということはよく判ってはいるんだけどネ、

うん。取材を受けるとよく写真の提供を求めらる。この前も兵庫元気印という毎日新聞社（神戸支局編）から云われた。新聞のときは記者さんが撮影した写真であったが本にするときは別途二枚を求められた。柚子の現場の顔、製造の顔、製作・営業の顔、もろもろあるのだが、結論を云えばあとでみて自分が恥ずかしくない写真にしたいと思い、選んだのは出来るだけダラシナイ写真であった。出来上がった本を見ると見事に代表取締役さん全員がスーツにネクタイ、もしくは白衣や製造スタイルに帽子ばかり、三輪車に麦藁帽子は柚子馬鹿だけであった。
そういうことが頭にあったので、ある方のお宅を訪問するのに東京恵比寿に行った時に恵比寿銀座という商店街で、待ち合わせに30分時間があった。そこでたまたま出逢った写真館を観て、八月にクリスマスの雰囲気もあり、思わず飛び込んで写真を撮った。この写真いつ使えるのか…柚子馬鹿こういうタイミングでもないと撮れない種類の写真である。Ｔシャツの若手経営者がテレビに出てバッシングを喰らうのは何故か…である。ただ、そういうことではなくて、俗に親しき仲にも礼儀ありと、心情的な距離にむしろ反比例するように襟をただしてしまうという気持ちがある。柚子馬鹿捻くれているのかもしれない。それを”畏れ”というんじゃないか。豊作を祈り、ご神木に注連縄をしたり、と心情的な思いの距離に反比例して、物理的な距離、敬意を畏れ敬い奉る行為として表現することは重要なことで、思いつきで恐縮だが環境対策に注連縄運動なんていいかもしれない。けど、最後の一本と形だけの言い訳の注連縄になってはもう遅いし意味がない。ゆず家という稼業では、いや今の柚子馬鹿には三輪車に麦藁帽子が限界なのである。それを打破するには、己のものの見方と人生を恥を覚悟でブツケテ行くしかないと思うが…
さて、この柚子馬鹿、雁字搦め、雁字搦めを後先考えずに突き進むのであります。

40.フリーズドライ

全国的に土曜日である。
お客様に売り場で教えてもらってヒットだったのが、柚子の皮をお茶に入れるのみ方である。ゆずのフリーズドライをほんの少し緑茶や紅茶に入れると優しい香りに包まれる。侘びに対する知的好奇心を楽しむにはよい心地良さである。肉体的に疲れているのに精神が書け書けというので負けてたまるかと書いている、選挙と一緒で勝たなくちゃしょうがないという一語につきる。

フリーズドライというのは凍結乾燥のことである。フリーズドライにも確か協会があったような気がする。様々な乾燥方法を試すのに大学や農業試験場などで、乾燥の方法をいろいろ試したり教えてもらったりした。そのころの紆余曲折をいろいろ書くことはしないが、最終的に落ち着いた方法で今のウチのフリーズドライが完成した。複数の粒の大きさを混在させ、また乾燥させるにもかかわらず、わざと予め柚子果汁の含有率を増加させたり、またそもそもの皮の表皮とサジョウ（白い部分）の分量を工夫するなど手間をかけている。料理の専門家、ケーキにゼリー、フレンチから中華、これほど便利なものはない。ガーゼに包んで風呂に入れたっていい。クナイプというドイツ製の入浴剤はなかなかよかった。独逸といえばミュンヘンか。ミュンヘン、札幌、ミルウォーキーは確か緯度が近いビールの産地で、ビールにチョッピリフリーズドライいれても面白い。柚子馬鹿いろいろあってミュンヘンと聞くとブロードウェイを連想してしまう。

隣にアメリカ人が越してきた。雨の日に借りに来た傘と一緒に”ありがとう”と物凄い香りの石鹸の心遣いを受けた。アメリカ（むこう）の話題でもりあがり、そのうち入り口で二人でどういうわけかアイーダのメロディをハモッていた。柚子馬鹿独り者ということもあるし、土佐の田舎や工場や会社とどこででも寝られるから家は住めれば、そこそこ都合よければそれでよい。以前嫌々押し付けられた猫だったが引受けた以上仕方ないと猫を理由に引越した。引っ越すたびに無駄が省かれて段々セコイ家に引っ越す傾向にある。その上あまり整理整頓ということをしない。尤も、集めているものや、大事なものはキッチリとしているが、我が会社の机周りなんぞ見事に快適な環境になっている。台所はそこそこキレイにしているか。夜中にフラッと会社に行ったかと思うと、工場に行ったり風の向くままであるが、考えようによっちゃあ寝られる場所が４箇所もあるのだ、柚子馬鹿金持ちである。穴の空いてない靴は2足である。買えばいいのだが捨てられない。穴が開いて、底が外れて、水がしみてそれでも捨てずに履いている。雨の日にあるくと、水と空気が抜ける音がして、それで走ると、クチャ、クチャっ、クチャっ、チャチャチャチャチャ…という音がして楽しい。物凄い台風の日に鰺のフライ定職を食べに入って座ったところ、天井からポタっ、ポタっと頭に水滴を受けたことがある。そのまま喰っていた。愉快で、嬉しくて。ご主人が気遣って下さったが移動せずにそのまま食べたのを思い出した。最近できるようになったのが靴下を脱ぎ散らかさないこと。チャンと裏表をしてまとめるようになった。柚子の山は地下足袋に限る。
寺詣りでもしてこよう。

39.組織

徳川家康が人生重荷を背負うて行くが如しのようなことを云ったというのが残っているが、重荷を背負うのが好きだったのではないかと冷やかして観たくなる。荷は軽いに限る。勉強や努力という言葉も同様で、例えばＣＤ関係者が熱心にＣＤを聴きまくっていれば仕事熱心で努力家となるのだろうが、経理担当者が家でＣＤを聞いていればそれは道楽と云われる可能性が高い。ので、荷は軽くして努力や勉強はしないに限る。

柚子家というよりも事業を営む者という側から考えた時に避けて通れないのが組織である。人間二人集まれば組織ができる。解り易く組織なんて要らないんじゃないのかという乱暴論から、組織のメリットを考えると、明らかに云える事は、ある程度のルールが決まっていて、明確な目標がある場合には組織があり、戦術なら戦術を共有している方が圧倒的に効率的である。また組織がないものと組織がしっかりしているものが戦えば、しっかりしている方が勝つ。ところが組織の目的が不明確になっていたり、士気が低下してくると組織のデメリットが目につくようになる。後ろ向きな事を論うことが目的ではないから控える。

昔の組織は丁稚、手代、番頭という了見を中心にしたような組織であった。曰く彼ならこうするだろう、こんな事するわけがない、これはこうしなくてはならぬという判断を含めて人的な繋がりがあって、今言うマニュアルを超えた細やかなサービスがむしろ前提で、「はい、只今」「お待たせいたしました」という気持ちよいやり取りがあった。
成功という定義でも、わが町新宿という本の中で、渋沢栄一の「余が処世主義」の談話として紹介されているものをそのまま引用すると「金持ちになるのが処世の最大目的で、あるように説く人もある。即ち手段方法は何でも良い。金を溜めて成功しなくてはいかぬ（中略）といったような傾向が見える。（中略）うっかりすると世人の見識を惑わしめ、方針を過らせるようなきらいがありはせぬだろうか。（中略）賭博的なことをやって一千万円儲けた人も成功であるとして、両者を一様に持てはやすが、余は成功の解釈をこんな風にするのは大不賛成である。…」柚子馬鹿よく解らないが、著者は「垢は人間の幅」だとして、「軽荷主義」を掲げ、「行不由径」という大きい流れに沿うて素直にながれるだけでよいとし、「新しい発想や構想が生まれても、必ずこれに反対する議論が起こる。旧い感情も手伝ったりする。そのため、折角のアイデアも潰され、実験も挫折する。先見も仇になる。結局なんにも創造されないことになる。これはお互いの星の潰しあいみたいなものだ。小細工で道草を食っているのだ。そうであってはならない。…小さな排他性のないところを特色としたい…混然たる本元の一気湛然として自然に充つ―無漏の法―。」と結ばれるとこまで読んで、おぼろげに輪郭を垣間見ることが出来たような気はする。正直書けば解らない。因みに柚子馬鹿「タカノフレッシュターミナルビル」が完成したときに生まれたようだ。その本から３０年以上経っている。

キャリアアップという言葉が持てはやされて転職が合理的だとされる傾向にあるという。問題が起きたときはマニュアルがあるかないかが真っ先に槍玉にあがる。
例えば受託専門のメーカーがＡ社もＢ社もＣ社もＤ社も請け負って微妙にレシピを変えてつくる。それなら、販売力とブランド力を捨象した時（ちょっと乱暴か）、委託する会社の存在意義はどこにあるのだろうか。ところが受託専門なのにオリジナリティーを強調されたのでは依託する方も迷惑であろう。いい、悪いは一切知らない。一方の方向のみから真面目に見せかけて論じる単細胞でもない。”人間”が手におえないほどに時代が早くてリスクが増加している証拠なのであろうか。すでに会社組織に入ってしまった者は感じてもなかなか行動に移せない。柚子馬鹿ただ己が感じたことを大事にしたいといっているだけである。それとて何もできない。他人から言われずとも、ときが来れば人間は行動するもので、その時に大きな流れに沿ってある世であってほしいと願うが、その”プロセス”を”人生”を何から学ぼうとするのか。人生の師を自分自身が請うたとき、かけた時、己の人生の勝負が始まるようにも思う。

曝しながら、タダタダ舞い上がってでも、荷は軽く、いや軽重に依らず勝負を挑みつづけたいと思うということ…。

あれ、愚痴か。いや恥を承知で解らないと表明しているのかもしれない。
暑い日が続く。昼寝がいいか、んー単純もやだし…、だによって、暑い時は暑いときにしかできないことをやろう…。

38.ドレッシング

新幹線で帰ってきて一寸と一服中であります。
去年浜松の辺りから長い道中、谷から谷そして山と長閑に長野まで行く電車に乗ったことがあった。機械的な声で「先頭から一号車、二号車、一番後ろが三号車」というヌケたアナウンスに呆れながら、目の前に灰皿があったので吸い始めた途端に後ろの家族連れから「禁煙車です」とおこられた。新幹線なら灰皿があれば喫煙車両と相場が決まっていたので今度はこちらマヌケであった。三両しかなけりゃ、別に「先頭から…一番後ろが」とアナウンスするまでもないと思うが…。

食品の表示にも、このアナウンスに似た妙なものがある。実生活の感覚とはちょっと違うような基準が割合にあって直接関係しない分野になると柚子馬鹿も推測では判らないものが多い。例えば、あるものが☆％以下だと□△と書いてはいけないという具合にである。

微妙な違いということで、最近ドレッシングを造ったこともあり、ドレッシングとぽんずの違いを書く。その「違いについて」質問もしばしば受ける。
ハッキリといい加減に云えば殆んど一緒だ。親切に言えば、鍋をメインにできるものがぽんず、サラダをメインにできるものがドレッシングである。
蛇足で、ドレッシングには油を使ったものがある、（むしろ多い）がぽん酢にはまずない。正確には、ちゃんとＪＩＳ規格上は定義づけがされていて、ドレッシング、ドレッシングタイプ調味料など幾つかの分類があることを指摘して置くがここの趣旨ではない。早い話が、好みのぽん酢買ってきて、そこに香辛料とオリーブオイルでも足せば自家製ドレッシングが出来上がる。これは「ぽんず」なんだから絶対に「ドレッシング」に使っちゃいけないんだよ、なんて会話は流石にないと思うが、笑い話にならないケースもありえるような気もする。ようは好きなように使えばよい。その意味ではぽん酢にマヨネーズ入れたり、ドレッシングにカラシを入れる人が居ても別に不思議でもなんでもない。柚子馬鹿個人的にはマヨネーズは極力使わないようにしている。
ところが、中身の境目は微妙でも、ジャンルが変われば、瓶の形状、ラベルの色合い、キャッチコピー、価格や容量、見事に変わってくるから面白い。食品のなかでもこれほど際立つのはぽん酢とドレッシングではないかと思う。ぽん酢が現代調味料になったという意味は、鍋以外の用途にも便利と多くの人が使い始めているからである。

ウチが今度発売するのは三杯酢ベースのシンプルなタイプと柚子ごしょうが入った辛いタイプの二種類、どちらもノンオイルである。ぽん酢やドレッシングに対する柚子馬鹿の姿勢は以前に書いた通りであるが、分業が進む世の中、受託専門のドレッシングメーカーやぽん酢メーカーは多い。そのあたりのことを本当はいろいろ書いてみようと思って始めたのであるが、気分が乗らないのでまたにすることにした。
脱線して、全日空さんの自然派健康倶楽部というカタログで限定のぽん酢とゆずごしょうを秋冬と展開させて頂くことになった。随分勇気ある紙面構成で柚子馬鹿恐れ入ったので―少し宣伝である。

柚子馬鹿この１０年腕時計を持ったことがない。携帯は持っているから時計機能を持っているのと同じか。ただ、留守番電話を設定をしたのは３年ぶり２ヶ月前である。携帯が苦手で滅多に出なかった。それじゃ仕事にならんと思うのだがどうしても正直苦手である。携帯音痴なのだ。
そういや、尼崎の脱線事故から１年以上になるのか。
１昨年、親子で東京から寝台で１２時間かけて帰ってきたのだが、
たまには長閑に時間をかけて移動するのは贅沢でよいものだ。
星が降る降るどんこう列車

37.一週間

種子の話し。
種子や皮には栄養が多い。香りの成分も豊富だ。
売り場でよく、肌が綺麗ですね、と云われる。そうとは思わないが、柚子のお蔭ですと云っている。実感としては効果はあるかもしれない。この枯木柚子の生命力を考えると悪かろうはずはないとは思う。
で、どういう経緯かは知らないが、テレビなのかな、４、５年ほど前から柚子の種を分けて欲しいという問い合わせが多い。その種で焼酎や日本酒と合わせて自家製化粧水を造るのだ。その場合には滑りのある種を用いた方が効能がある。もちろん柚子家として知っていないと駄目だから化粧水を造ってみたことも、化粧品をつくろうとしたこともある。今のところ販売できるようなものにはなっていない。将来的に興味はあるが、今は種まで販売しようという気はないので、将来的には製品化するかもしれないが、今は送料だけでプレゼントしております。尤も１１月に柚子を搾ってる時期の話しである。種だけを買うよりも果実をいろいろに利用されるのが一番ではないかと思う。
柚子の利用法などアイデアなどありましたら、どうぞいろいろ教えて頂きたい。

学生時代のことで、戦争で消滅した馬術部の復活活動が縁で、「俺にとっては西南戦争の話しをしているようなものだな」と笑いながら月に１度、多いときには週に１度、元海軍中尉で公職追放を受けた是兼さんや宝塚にお住いだった多賀谷さんという４０年以上の大先輩のお話をよく伺っておりました。授業よりもそういう先輩のお話を伺う事が何よりも楽しかった。今になって「そういうことをおっしゃって居たのか」と解ってくることも多く、失敗と反省ばかりしておりますが、今更ながら一日、一週間、一週間を大事にせねばと想うこのごろであります。如何お過ごしでいらっしゃいますか。この夏メリーさんやジェーンさんは、と想いつつあちらこちらと出張しております。

36.赤い靴

花をのみ待つらむ人に山里の　雪間の草の春を見せばや
すると犬がションベンして通り過ぎる、いや、茶の湯の歌か。茶の香りでなくちゃいけない。富士の麓に茶の香り、夏も近づく八十八夜。八十八夜の茶は不老長寿の縁起物で、あれ、、立春からだと八十八夜なら５月か。五月雨を集めて早しトリスタン、いや、…季節感目茶目茶である。柚子収穫時期になるまでには１００話を、とかいいながら、そのまま２００話、３００話とやっちゃうか…やっと奥歯の調子が収まった。一日、一年が早すぎる。

で、って何が”で”か解らないが、
東海道はＪＲ東海キオスクの新大阪駅で今売り場を頂ける話しが進んでいる。自分である程度自由に並べられるなんて嬉しい。先日、新幹線にタオル生地のハンカチを忘れた。出てこないかな。あー。白旗であります。その日は一日銀行からもらった手ぬぐいを持っていた。話しをもどして新大阪。ウチは土産物やギフトに関してまだまだ弱い、だからチョコレートをやりたいと思ったのだが、まずは、ホームページとこの売り場だけの限定品で取り組む予定であります。新幹線でのお土産にぽん酢というのもどうかとも思うし、ひとつワット、いろいろ苦心のサンタさんである。まタイミングがあればその話にも触れる。ぽん酢ばかりじゃ貰う方も困ろうというものである。すぐに脱線していけない。
どうも、最近コンビニでカカオ70％を越えるような苦いチョコレートがはやっているらしい。ポリフェノールの健康志向なのか苦味がウケてるのかよくしらないが。神戸夙川に「ん」という珈琲屋さんがあってアイスクリームを頼むと焙煎したコーヒー豆を粉にしたものをかけて出してくれる。うちのドリンクを使ってくださっていて、ここの女将さんのお米の磨ぎ音が絶品である。なぜ珈琲店で米を磨ぐのか…内緒である。

えー、皮を砂糖漬けにしてそれを細くしたピールが将来出来ればよいなぁと思う。
時間をかけてまたやっていくとして、柚子のチョコレート。販売もまだ先だが、バレンタインやクリスマス、いろんなシーンを想像して…
このチョコレートを多くの人が使って下さると
うれしけんね。

35.酒

飛行機のなかで、携帯鳴らしたばかりか、着メロが葬送行進曲だった凄い奴がいたっけ。離陸が遅れて本当に怖い思いをしたことがある。…その曲、そうかショパンか。むかし昔のその昔、多少余裕があったころ、ベトナムに行ってカルチャーショックを受けたことがあったけなござ候。もうどうなってもいいというか、そういう気分になった。酒が飲める切欠、いや多少酒の味が判る切欠である。シャンパン飲みすぎて、機内で便所に行く途中そのまま通路にぶっ倒れて気絶したことがある。全然違う席に座らせて、気がつきゃ日本であったっけ。柚子馬鹿強くない。でも上手く脳みそを麻痺させられるものを少しずつ試しはじめた。往復ビンタ食らったように酒も咽喉を通らなかった夜は館林の辺でありました。

今の時代、明日から、この仕事、この企画を中止でこっちの企画。儲からないならやめてこっち、そういう切り替えが上手くて早いほど恐らく仕事ができるとされる、これが現代だ。そういうコンセプト転換や、イメージの交換、知性での制御とは違う部分があって、その空間を埋めて、いや隔たりを、キリンの首ほど長くなくてもいいから、脳みそを麻痺させて、ラリることで、真面目に考えることの無理を処理しないと持たない。なにかの本でもよんだが、そう考えると、まったく飲まない人は普段からラリっている状態にできるということなのかもしれない。切り替えないぞとツッパテ重荷を脊負って…、素面で酔ってるみたいになってきた。日記ならまだよいが、こういう感じで毎日書くものでないと思うが乗りかかった船だ。紀伊国屋文左衛門ならば柚子を運ばねばならぬ。

父上は震災後、バラックで雨露凌ぎながら、毎日のように一升瓶の酒を煽り、柚子馬鹿の目の前でバケツに一杯吐血して、そのまま救急病院に担ぎ込んだことがある。遅れていたら死んでいた。柚子馬鹿そのバラックの屋根に自分で小さな窓をつくってそこから月を観ていた。震災なら同じ目にあった人間が多いから精神的に耐えられるかもしれないが、多くの人と共有できない辛さをもつ、その辛さはない…

会社勤め、とりわけ文明の社会では人間「切り替え」を要求される。震災にあった次の日、震災をプラスと考えようなんてコンセプトを商売ならまだしも当事者に云える奴は音痴である。ざまあ見ろといえるユーモアの方がいい。
酒飲まなきゃ、ジット一人耐えなきゃいられない、ちょっとした風の音を地震だと思う辛さ、怖さ。
それがあるから、褒められた時の身震いするような怖さを知っている。
これ自慢話である。よのなかもっともっと大変な人がいるのにである…。上には上がいるのにである…。

柚子は料理の脇役である。ま、けど酒には合う。クエン酸、ビタミンＣでソコソコ身体にもよい。上品な香りが漂う。ジン、ヴォッカ、焼酎に柚子を「酒に」お試しあれ。

34.雨

柚子と酒のことを書く。
ショパンはポーランドだったか、ああいう雪の冬の厳しい町のオールドタウンで、ズボンの裾をラッパのように凍らせて、寒さを、いや痛さをとおり越して飛び込んだ店で、塩の利いたあったかいシチュー、いやヴォッカにアップルジュースかハチミツか、そこにちょっと柚子入れて飲めば…堪らない。

あちらの寒い国では、憎らしいカラスも鳩も動物園の檻に入っている。刑務所より監獄の響きの方がよいか。肉食が温室にいたらさぞかし臭い…、というのは置いといて、

雨の響きというのは雨に音があるのではなくて、雨が何かにあたる音である。雨音はショパンの調べと云うのは小林なんとかで、こりゃ関係ない…。
柚子馬鹿お姉ちゃんと１０歳以上離れていて、姉の趣味の影響をうけた。ベルバラであり、漫画であり、姉がファンレターを書いて返事をもらっていたのがグレゴリーペックだった。ジェットストリームとかいうFMの響きも残っているが、あるミュージカルのサウンドトラック版を何度も何度も聞かされた。メイクアラフしてくれた。その青いラベルにMGMと書いてライオンが吠えてるレコードは震災とともに埋まった。

雨が降ったら傘をさし、道がぬかるめば高い下駄で、遠く後ろから傘を差し続けたい。びしょ濡れになりたい。これが文化だと思う。キャロルロンバートの…を分かつまでといった台詞…。

文明というのは、傘で解決せずに、雨をふらないようにしてしまい。道路もアスファルトで覆ってしまうのだろうか。自然の災害を受け入れるのではなくて、頭を切り替えてアスファルトで育てることを考えるということなのか。
酒飲めば何故か心も春めいて借金取りも鶯の声。鳴かぬなら鳴くまでまとうホトトギス、鳴かぬなら殺してしまえホトトギス、あの時代なら、織田信長の一年、一日の影響力から見れば、いい悪いでなくて、柚子馬鹿足軽の一生は屁みたいなものである。鳴かぬなら抱いて寝ようホトトギスという凄い句を知っている。（ちょっとちがっているかもしれないが）

話が変わるが、宗教には戒律というのがあるらしい。戒律によって情を抑えようということか。逆に、情から考えてもいいじゃないかとも思う。ただ、最近思うのはどっちも結局常識の範疇なのかもしれない。
柚子馬鹿、震災と火災と借金の山というトリプル攻撃で物凄いエゴイストになった。手前の範疇で物事を批判するものすごいセコイ奴である。借金ということで調べてみたら、あのワーグナーもドストエフスキーも強烈な借金地獄で、ニーチェは自分で自分を批評するセコイものを出したというの読んだ記憶がある。事実関係を調べてないから勘違いだったらごめんなさい。要は、そういう偉人を出すことで手前のセコさを誤魔化そうという魂胆である。
柚子馬鹿己の分を、分相応という言葉を知っている。

33.シール

キャップ、シールを書くといって忘れていた。
いいじゃないか、頭のなか瓶でいっぱいだったのだから。

柚子果汁やぽんずの観点からいえば、茶褐色などの濃い色で直接光が当たらないものがよい。ぽんずもドレッシングもそうだ。けど、見た目鮮やかな方が売れるのと、消費者が目で見て安心するから透明な方が圧倒的に多い。劣化を抑制するなら濃い瓶や陶器の方がよい。

バブルが弾け、世の中が過剰包装を止めて低価格へとシフトしていった時期。手造り枯木ゆずぽんずを売り始めた。ユズのばい菌君は結果的に世の中と違う方向へと動いた。少しでも目に付くようにと２５ｃｍという背の高い瓶を選び、酒の世界の手法を取り入れてポン酢界初の金色のシールを被せた。ラベルも柚子を連想させない白地に墨文字にした。（自分で書いただけ。）中身が見える透明の瓶が今でも主流なのに、内容重視でワザと濃い系統の瓶にした。勉強不足で25ｃｍなんて背の高い瓶を選んでしまったため後々苦労した。量販店に入るころになると、売り場の最上段にしか入らないと言われ、急遽背の低いものをつくった。現在実は高いものと低いものの二種類だ。特に指定がない限り背の低い瓶を案内しているので、高い方を売ってくださっているところがあれば古いお得意先様である。あの紀ノ国屋さんもそうだ。さっきたまたまニュースをつけたら古館さんが来週は夏休みといった。そうか、もう夏休みだ。あれ、そうか、瓶じゃないや、キャップとシールか。

えー、日本は凄いぞ凄いぞの続きを書こくと…
その一行が余計だ、判ってた人にわるいんだから、ハハー。
うん、でシールというのはストレートに云えば「言い訳け」かもしれない。
もっとも世の中ほとんど言い訳で動いている。境界線の皮一枚上は、いい悪いでなくて大概言い訳のようなものである。信号の色を間違えたから、白線を越えたから、表示を見たのに、空が青かったから…　間違っているかもしれないが、シュリンクが増えたのはグリコ森永事件以降ではなかっただろうか。客観的に使用前と使用後を特定できる仕組みである。

調味料の世界では、あれ、そうか、柚子馬鹿には当然と思って書いてきたが、シール、シュリンクと言われても判らないか…、書いてて気がついた。シールとはタバコに被せられているビニールのように薄い包装のようなもの。ボトルならばキャップのすぐ上に被せられているもので、小さな切れ目があってそれを破らないとキャップの栓が外せないようになっている。着色してあるものも多い。昔のカルピスにはシュリンクをあけると、栓抜き後に被せられる蓋が入っていたように記憶している。
最近はボトルのシュリンクをしない傾向がつよくなっているようで、ぽんずの世界ならしてないものの方が多いかもしれない。それだけキャップも進歩して来たということだ。ウチは今のところすることに決めている。リサイクルキャップといって、これまた業界の人間にしか実は浸透していないじゃないかと思うことで、ようは、ボトルとキャップが外したいときに簡単に外れるような仕組みのものがあって、これをリサイクルキャップという。使用後、瓶は瓶、キャップの樹脂は樹脂と分別しやすい。コンドームならつけるのが簡単で外れにくいものがよいのかもしれないが、調味料のリサイクルキャップの場合には絶対に外れちゃいけないが、意志をもったときに比較的容易に取れなくちゃいけない。キャップの外し方のタイプにはいろいろあるが趣旨じゃないので省く。このあたりキャップ会社の特許の嵐だ。

コーヒー屋で、最近紙コップに産毛が生えたような高級なコップにプラスチックの蓋にプラスチックのストローが刺さっている。飲み干したあと紙は、紙、樹脂は樹脂とウチにも貸し猫がいっぴき…、おっと、そっちへ行ってはいけない。
で、分別する段になる度に思うのは紙製のストローとか分別せずにすてられるものだと便利だよなー、なのだが、よくわからない。カート缶という紙のジュースがあったけど最近あまりみなくなった。コンビニ、ファーストフード、ピザの宅配、どこが一番ゴミが多いのだろうか。ゴミランキングなんてあるのかな。あのゴミ箱の本質は言い訳けかもしれない。ゴミってなんですか？ゴミ喰えるといいなぁ。大地の栄養にもばい菌が…、分解もできないものは実に始末がわるい。

あのー、環境のための募金なんですけど。
いいよ、おれ分別してるから。
…

（もちろん、言い訳じゃない部分があるということを前提に書いているのだが判る人には野暮になるし、判らない人には理解されないしで、以後省略する。）

え？いいわけするな？
コンビニさん取引しておくれー。
失礼いたしました。

32.７月２６日

今日は７月２６日の次の日でります。九州四国はもう明けて、全国的にも梅雨は間もなく明けるようだ。ピッチピッチチャップチャップランランラン。

さて、一路邁進。

ラベルの流れで、
キャップ、シール、瓶について書く。
海外に行くと、アジアだろうが東欧だろうが見事にコカコーラがある。マクドナルドもそうか。シュウェップス、セブンアップに、ミネラルウォーター、ペリエ…。
海外の瓶って結構独特でカッコいいと感じるものが多い。
で、思い出したのだが、知っとこという番組でザグレブが取り上げられたことがあった。ネクタイ発祥の地で、小高い丘の上で大砲で時を知らせる…と粋なもんだ。イタリアやドイツも近く面白い瓶や容器が手に入る。

そういう瓶をイメージして個性的な製品を造ろうと当初は誰もが思う。けど実際に取り組むと、なかなかどうして不自由だ。逆に、ほんとに個性的な瓶で製造している会社は力があるといっても良い。

日本の瓶は実に品質が安定している、丈夫でバラツキがない。一円以下の凌ぎを削っている世界で、納品時にも運送で割れない工夫や、すぐに使用できるように異物などない状態で納品される。日本の瓶は偉いもんだ。ただ、オリジナルをつくろうと思うと、型代に何百万円。製造数量も一回に10万から20万本以上は必要で小さい会社には歯が立たない。個性的な瓶をオリジナルで造ることができる会社は差別化のため独占するから、一般には使えせてもらえない。ヤマサ、キッコーマン、ミツカンその他、デザインに関しては好みも分かれるだろうが、大きな企業の瓶やキャップは、液が垂れないように、使い易く、こまかな工夫があり実に見事なものである。

なんとか頑張って、例えば酒の蔵元が数集まって費用を分担軽減してオリジナルの瓶をつくることもある。また、大手が新しい瓶を開発したり、既存の瓶の使用量が増えず売れ行きや方針変更など様々な理由から型を一般に公開して使わせてもらえる場合もある。

実はですネ、瓶は製造中止になることがわりと多い。
製造会社のオリジナルであれば中止になることも少ないが、使用するメインの会社が決まっているような場合にはその会社が使用を止めると突如製造中止になることがある。短い期間の評価で返品のリスクを伴うコンビニや製造ロットの大きい飲料分野と同じで小さな会社には「瓶」はなかなかに難しい。仮に中国で造れば随分安くできるかもしれないが、全数検査しなければ安全性が恐らく保障できないと思う。そりゃ、売値の際限がなければ小ロットで高い瓶を輸入もできようが別次元の話となる。

もしもし、かめよ、仮にですよ…思い切ったデザインをして大量の在庫を抱えたまま売れなければ大変だ。そのリスクから大手でもなかなか冒険できないだろう。日本の瓶が無難なデザインが多いのはその性じゃないかと思う。それ故、冒険しているような、買い手に媚びる方向への誇張でない、ものに出会うと余計嬉しくなって拍手したくなる。なかなか出来るものではない。タバスコの瓶にパルメザンチーズの容器、コーラ瓶の腰つき、ペリエの曲線、２４カットのグラス、マゲワッパに雑器。茶器（もっとも柚子馬鹿よく知らないが、）にまで言及せずとも、中身とは別にラベルや瓶の形状だけでも思わず自分の机において置きたくなるようなものがある。”冒険できる”といのは大切なキーワードに違いない。大手の会社に限らないが、コーラよりもカッコいい瓶で旨くて安い中身で世界の空港を制覇できないものか。日本人ならきっとできるはずだ。小ロットで安くそこそこ短期間でつくる瓶屋さんがあったら大成功するだろうに…、いや日本の瓶は凄い。例えば中国の安いのに負けるもんかである。

煽るのはそのぐらいにして、瓶を充填するときの話、一般的な充填ラインでは、瓶は洗浄、乾燥して充填する。ウチの場合は納品の瓶にいきなり充填するということをせず、手作業部分が多いからということもあるが、全部洗浄して、煮沸に近い高温で殺菌したあと充填している。製品によっては中身の温度と落差がないように充填時の瓶の温度を合わせる。限定のぽんずやドリンクはそうだ。他にもある。

子供のころ父につれられてよく銭湯へ行った。ラムネが楽しみで、勢いよく玉を落とすと泡が吹き出す。ラムネの瓶は世界に誇れる瓶だと思う…実際不便でも、リサイクルに不向きでも、心情的にはそう思いたい。ラムネを見ると思わず飲みたくなる。中身と外を隔てる境界線が瓶だ。境界は世につれか。空気や水ほどあり難いものもないがそれらに境界はない。ま、どうでもいいや…
え？カンにペットやパックが多いって？

とにかくビール瓶。万歳

31.水平線

柚子は基本的に料理の脇役である。
物事どこまで考えて本当にいいのだろうか。自ずから「分相応」。これ以上は絶対に触れるべきでないというそのギリギリのラインがあるはずで、そのバランス感覚が実は物凄く大事に思える。例えば褒められる時ほど恐ろしいことはない。だんだんテレビを見なくなっているので解らないが、「つづく」という形式のドラマも減っているのだろうか。増えているのだろうか。絶滅寸前の動物が数多くいるが、「続かなくなった」ものが多い。物事境界線が難しい。心情的に断絶してしまうと危うい気がする。柚子馬鹿ブログというメディアを用いずに自分のホームページで自分の責任で記述を続けるようにしている理由は、とはいってもいい加減だが、ブログというものはその境界線があいまいすぎると感じるからだ。そうでないと教えてくれればそれはそれで納得する。それがいいのか悪いのかは解らないが、共同体として生きていくためには最も重要なことだ。学校で起立、礼、○○の○○の台詞をいろいろ考えたときに自ずから限界があるはずだ。心情的に繋がっていれば、あるいはその人間の輪郭がとてつもなく大きいような場合にはバランスが取れる。商品名に○○○○と書いてはいけない。けど井戸端会議でそれを発散するのはOKだ。電車の中で化粧をするというのは柚子馬鹿から見ると境界があるように思えない。ブログで書いて事件を起こすのもそうだ。洒落にならない。プロ中のプロというのはその刃渡りの見事な人である。常人が真似すると真っ二つになるか落っこちる。そのためには己の境の中でまず資格を得ねばならぬ。資格を重視せず見境なく、修行せずにやると大変なことになるはずだ。ブログというメディアは「見境がない」のか「境がある」のか。ドの音とレの音には境がある。他人からみると音痴の境はわからない。高速で走る車は便利だが事故も大きい。便利すぎるものは危うい。デジタルには境がありすぎる。神経回路が己で完結しない時代が来るのはいいことなのか？国と国との境も曖昧な時代だし…気分転換も大事かもしれない。世間に柚子馬鹿という境界線を認知して頂けるか否かである。毎日書いているとこういう馬鹿なことを書くようになる。
え？この百話のサブタイトルができた？
「柚子馬鹿のいいわけ」
正解。「柚子馬鹿のセコさ」でもいいか。
こういう日はゆず飲んで寝ちゃうに限る。

つづく

30.顔

さて、今度は逆から考える。
自分で喰った瞬間に、五感が己に、己の脳みそが、感性が”旨いよ”と命じたときに、それを表示や、医者や、先生が、感じた”旨さ”を「知識で抑えなさい」「美味しいと感じちゃいけないのだよ」といわれたら、まずはきっと不快に感じるはずだ。そのネ、そう感じないで瞬時に、酒も飲まずに、心情的に断絶させて”不味い”といえるなら、ストレスがないならば、それは一種の現代病というか麻痺ではないのかな？切り替えないで肯定するために知識や知性を用いる人もまた多いか。どうなのだろう。うん。で、その切り替えを命じるのが脳みそだとすれば本能は脳みその外にあるのだろうか？どちらを意思と呼ぶのか？うーん。よくわからない、誰か教えてほしい。

論理的に乱暴を承知で書けば、いやこの場合は乱暴が論理的にふさわしいという論理を判断したとして書けば、大体動物の世界にはラベルなんぞない。賞味期限なんて概念はないだろう。
己で判断して喰うか喰わないかだけである。頼りは本能だけである。例えば健康のために「喰いすぎは良くない」といわれたとして、当人は「本能でも脳みそでも判断して「喰う」と決めても、医学的知識でそれは間違っていると危険確率のデータを見せられることの不快感がある。無条件に従わざるを得ないとすればという意味もあるか。（柚子馬鹿うまく表現できていないという自覚はある。）「そりゃ吸いたくなるよね」、健康のバランスからいって多少控えた方が他の楽しみとのバランスもあるしね、でも吸いたきゃ吸いなよ。という言い方のほうがまだ心情的に不快感は少ないか。
その不快感を機敏に切り替えたり、本能とのバランスをうまく麻痺させて欲望と結びつけて肯定させてしまうあたりに文明の怖さと凄さがあって、それなら、いっそのこと、知識や表示やルールでチャンとやるのは無理があるよと自覚してユーモアで対処したらどうだろう。本能で判断した場合なら食あたりしてもあまり文句は云わないけど、表示に委ねて判断を間違えたらきっと文句言いの人も多いだろう。なら、気持ち良さだけを求めて人間持つのだろうか？だんだん書いていて解んなくなってきた。

例えばラベルで、ジャンコードを赤くして傷に見立てたり、その上に電車を走らせようと思っても現実には難しい。また消費者に誤解を生じさせる恐れのある天然、自然、生、新鮮、健康、デラックス、スペシャルなどの言葉も制約があったり不当表示になる場合もある。商品名でも「日米安保オレンジ」「いじめぽんず」「官僚制調味料」「民主主義牛乳」「思春期ドレッシング」「見世物の食い物」…冗談ではあるがまず無理だろう。「身を捨ててこそ浮かぶ背あぶら」「ニコニコ牛骨粉」ならなんとか可能か。そういう冗談も云いたくなる。そこまで考えると売れるということから一見遠い”顔”で頑張ってる製品を評価したい。

今の牛肉の問題、もっとも別に牛肉に決めることもないが、庶民が庶民感覚を無くして、本質を曝け出さないような知性に左右されて右へ倣えしたときに、嘗てのレモンの如き怖さが脳裏をよぎる。でも、リスクばかり表示されたら食欲減退だし、売れないよな。

そういやラベルに「枯木」と書いて随分になる…。
エッサオー　茶碗酒

揺れる揺れる顔が揺れる

29.制約

昔は、製造年月日だけであった。
いまの小学生はもうそのことを知らないはずだ。製造年月日と賞味期限を併記するような時期もあり、賞味期限を賞味期間や品質保持期限と表記する時期もあった。で、今は賞味期限一本の筈である。劣化の早い弁当などは消費期限だったか。

製品の顔について書く。
でもその表現の制約のことだけを書こうと思う。デザインの世界に深入りすることは控える。一見その真反対で遠いと思えるところに”新聞紙で包んで売る”という発想があるという指摘だけしておく。

で、何を書くのかとえば、冒頭の賞味期限に代表される制約条件のことである。デザインからみれば制約条件であるが表示ルールが適切か。
他の情報が一切ないとして、中身を知らぬ製品が沢山ならべば、消費者は選択のよりどころを概観とラベルの記載事項に求めるしかない。

結論のような疑問を先に書けば「これは本当なのだろうか？」
感覚的なことを優先して書くと非常に乱暴になる恐れはある。自覚はしている。

現実に、これだけ数多くの製品が次から次へと発売されれば、「近所の漬物屋さんを知っている」に匹敵するような安心感はない。表示に頼るのも仕方ないだろう。
なら、牛肉が解禁されたとして、冗談っぽく書けば、狂う確率△％以下○○産牛肉のように、実際には最も知りたいことの表示が可能かといえばまず無理なはずである。野次馬として冷やかせば、いろいろな水面下の理由もあろうが屹度本質を突く表示はされまい。期待できまい。役人ばかりを攻める限界もあろう。

例えば、原材料などの書き方はJIS規格などで決まっていて、ここ数年でもラベルの制約が随分増えた。例えばリサイクルマークの表示。栄養成分を表示したいときは特定の成分だけではなくて一定の決まった項目全部表示しなくちゃならない。他にもアレルギー、原産地、また表示部分の文字の大きさとキリがない。
一方、その表示ルールが変わればラベルの切り替え、作り替え。猶予期間があるからその間に在庫を処分すればよいが、結局作り替えるには変わりはない。新会社法を作れば、登記費用に司法書士や税理士の費用がかかるのと同じで、ラベルの変更費用も馬鹿にならない。ま、こっちの愚痴を聞かされても困るか…。

釈迦に説法であるが、一括表示欄と黒い枠組みで表示される部分があって、名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者の順に記載され、名称と云うのは「粘りすぎる納豆」とは書かず一般的な「納豆」と記載され、原材料名は入っているものの多い順番に記載される。ゆず、しょうゆ、みりんと書いてあればその順に使用量が多く使われているんだと理解すればよい。保存方法は開封前の保存方法を書くことになっている。そこで、開封後要冷蔵と赤色で注意書きで一括表示でない場所に記載されている例が多い。これは製造会社の知恵である。電気製品のレンジに猫を入れないで下さいに近い、いや近くない、まあ防御である。

製造者名の後にアルファベットなどの記号がある場合は、住所とは違う工場で造られている証拠だ。販売者と製造者を分けて書く場合もあれば、○○料亭DA　とあれば、その料亭が造っているようにみえて、そのDAで申請登録されている会社が製造しているということ。自分の会社の工場が複数あるときに、それぞれにアルファベット（固有記号という）をふることもある。うちは自分の工場にワザと固有記号をつけている。なんとか県調味料と書かれていても全然別の県で製造していることもあるだろう。俗にこれをアウトソーシング、またPBと呼ぶ。分業が発達している分野ほど「製造」という概念も一概に云えない。手造りの定義も同様か。
元にもどして、こういう制約を全部満たした残りスペースでデザインをするのだから、随分と表現上も現実のスペースも制約をうけるものなのだ。

長いから次につづけて「えぢゃないか」

28.ゆずごしょう

帰ってきました。柚子馬鹿であります。
取り組んでいるもののなかにチョコレートとゆずごしょうがある。
チョコレートは専門でないし奥が深くて容易にできるものではないのだが、「ゆずのチョコレートが欲しい」という一心からスペシャルなサンクスもあってどうにか道が開けそうである。また折を見て触れる。

ゆずごしょう。ポン酢に比べれば競合が圧倒的に少ない分野ではあるが、市場も大きいというわけではない。九州の伝統的料理であって、土佐にはなかった。韓国産の「ゆず茶」というジャムをロシアンティー用に用いる料理があるが、この柚子茶とゆずごしょう両方とも、長い間柚子馬鹿興味が沸かなかった。面白くなかったからで、とはいうものの、４,５年前からやや流行にのって問い合わせを多く受けるものだから、造り始めた。そこそこのものはすぐできる。問題はその先ではあるが、結論を書けばそれはそれで奥深い。ま、なんでもそうか。果汁と同様皮を使うことの意義は大きい。また柑橘の場合皮には香りや栄養価も高い。本来の皮を持っている枯木柚子の特徴も出せる。

アイデアや方法を柚子馬鹿あまり隠すということをしない。いっくらでも出る、どんどん変わる、体得しなきゃ駄目だと…。ま、それは痩せ我慢としても、ん、まあ、イメージやお金を使えるという優れた人間の能力には都合の良い部分のみを単純化したり麻薬的な怖さもある。「お金儲けは悪いことですか」、また始まった…。
ちゃんと書いて置かねばと思うのは、以前に書いた庶民が大衆化するという場合の「大衆」について思わず膝を打ったのはMXテレビでの西部邁先生の講義でありました。話をもどして、多くの人が共感する美味しさを拾うことはできても、そっからゾクッとさせられるかどうかはどうも違うところにありそうだ。出張で少しだけ垣間見る得がたい経験をさせて頂いた。

でね、少し柚子ごしょうを考える。
造り手から見た柚子ごしょうの問題点は何かというと、大きく４つある。一つは青臭いものが多い。二つは塩が残りすぎているものが多い。三つは辛さのバランスはどの程度か。四つは柚子の存在感。

柚子ごしょうとは、青唐辛子を刻み、ゆずを刻み、塩漬けしたものである。青臭いのは青唐辛子の処理の問題。塩辛さとジャリジャリするのは塩漬けの問題。辛味と柚子の存在感は配合方法や材料の処理の仕方とこういうことになる。こういうことをずっと遣り続けて、考え続けてアット驚く方法が生まれた。今までとまったく違うゆずごしょう。これね、そのうちね、さっちゃんはね、夕焼け小焼けの赤とんぼでね、できたらね楽しみにね、であります。そこそこ楽しみに、出来上がったらどうぞであります。百話が終わるまでに間に合えば触れる。

従来の方法でとても丁寧に造ったゆずごしょうに関して先日カーサブルータスという雑誌の食べ比べの評価で有難いことに柚子の存在感があると全体で２位の評価を頂いた。松田美智子先生に大変にお世話になった。
何で１位じゃないんだ、ということが書きたいのではなくてその時のラベルは自分で筆で書いたものを消しゴムで彫って押したシンプルなものだったので、そういう方面でもうれしかったのだが、そのラベルに関して少々書いてみる。

何が違う？顔が違う。

27.柚子馬鹿

歯から葉、それから母、絶食でお腹が空けば喰いものの話ばかり。インプットからアウトプットまでが極めて単純な柚子馬鹿であります。
痛み止めを飲まずにおりまする。

柚子馬鹿会社をやっている。え、しってる？うんしってるよね。
本当は社会での制約が多くなればなるほど、やらなきゃいけないんだと感じる。
ここ何話か庶民庶民という言葉を持ち出して同情かってる自分に気がついた。実はちょっと違う。その違いを上手くは書けない。書けばマスコミに対してややウェイトを置いていたということか。いいや。でね、私奴、柚子馬鹿として生きるのか、所詮は普通の人間じゃないか、と云われたら、最後は居直るね。俺は柚子馬鹿だと。やはり柚子馬鹿最後はプライドを選ぶ。

例えば、神様と人間が犬を相手に仮に賭けをしていたとして、片方は信頼、片方は餌だっととして。柚子馬鹿最後は信頼を選ぶ。餌をとるようなセコイことはしたくない。賭けもなにも関係ないんだとしたらとりあえず踊れと云われりゃ踊る。餌も食えば信頼も得る。で、この世の中、何が餌でなにが賭けで、何がプライドか、しかもそれが常識という非常にどす黒いものの上にあるもんだからヤヤコシイ。その上当人は興味本位で乗らない手はないとやってたとしても、世の評価なんぞ解らない。その誘いが罠であったり、だいたい罠に限って甘い言葉でやってくる。そりゃ罠ですよーなんて来るわけがない。無意識にオレンジジュースも買えばヤンキースの帽子も被る。

会社を営んでいてその世間に通じる会社としての常識をブッ飛ばせるのか？柚子馬鹿なんでもやれる稼業なのか？といわれると、一言でいえば何にもできないということをここ数年嫌というほど思い知らされて、結局どっちでやっても火事や地震といっしょで仮に問題を起こせば、普通の人間はあっという間に逃げるネ。うん、こうやって曝け出すのが一番とおもっても、それだって迷惑な話には違いない。
柚子馬鹿を支持してくれる人は凄いんだ、こういう柚子家がいて何がわるいと居直るか…。うーむ。結局それを見極めるのが人生というべきか。

え？なに書いてるかわからない？
そう簡単にわかってたまるは洗濯物だ。ま、最終話まで行って読み返して下さい。
嫌なら読むの止してくれ。
今までに自給率を上げようと云った柚子家がいたか？常識を破って戦おうといった柚子家がいたか？行動を優先させた柚子家がいたか？さあ、みんな限定ぽん酢だ、ドリンクだ。
断じて俺は柚子馬鹿だ。人の心は木なり奇になり…

カラス対策はムンバイの動物園に見習うべし。
さっぱり判らない…

26.濁り

透明感。しぼり汁に関して書く。
ダシと同じで果汁も搾りすぎるのはよくない。ダメー。

柚子を搾る場合、農協は、一般的には籠に移す場合もあるが軽トラで運ばれてから洗浄、種と皮の分離、２０リットルのPPと呼ばれるケースまでほぼ全自動である。
実際にはキャタピラ式にしろ、ロール上のものにしろ一定の場所に柚子が通ることによって一括で搾られる。柚子馬鹿、果実の状況に応じて圧力の具合が調整できるような道具が出来るといいなぁと想う。
で、この果汁の処理の仕方には結構ノウハウがあるのであまり具体的に書くわけにはいかない。ま、そこは丁寧に作業する方がよい果汁になるということを書いて置きたい。特に、果汁を置いておけば柚子の鮮やかな色とは別にオレンジ、黄色っぽい香油と呼ばれる油の成分が自然と上部に分離するが、これをどう考えるか、柚子家の腕の見せ所である。全自動では全部一緒になって冷凍されて、それをそのまま解凍して原料に使えばまったく無視される部分である。

スイカもメロンも皮の部分に近くなれば苦味が感じられるように、苦味や香りの成分は皮に多く含まれている。苦味の代表選手にナリンギンというのがあって、鉄を嫌う。皮は栄養の宝庫ではあるが搾りすぎると美味しくない。余計なエグミがでる。そこで手搾りする場合はヒノキをくり貫いた道具を用いている。よくこの道具を譲ってほしいといわれるが譲れない。この道具の造り手もほぼ居ないのでこれからは自分で造るしかない。原理は単純てこで圧搾する。一度ぎゅっとやっておしまい。そうすると、残りの皮にも弾力が残る。この皮をフリーズドライの原料などにすると大変においしい。もっともこんなことを全部やってたらシーズンが終わってしまうので、うちの場合は限定品+アルファの世界ではある。因みにゆずごしょうの場合には搾汁後の残りの皮を使ってしまうと、どうにもならないので、専用に皮を剥く。そうか、ゆずごしょうや、シンプルで最も製造の難しいゆずのドリンクのことも、折があれば書いてみる。因みにドリンクに用いる果実は少々甘味が乗った方が旨い。本当はもぎたての香りのなか酸化しないうちに一気に搾ってその場で飲んでしまうに限る。これは我々の特権だ。

最近考えることで、この果汁の搾り加減や、出来上がった果汁の処理具合、製造の温度加減、味付けのときの味醂の最後の一滴、家庭料理でいえば塩の一ふりこういうものって結局のところ「勘」じゃないかと思う。最初の直感が大事だ。
ある程度の分量、レシピ、マニュアルが決まっていても造り手が変わると味が変わる。いくら数値を記録しても結局のところ無理な範囲がある。天分といいたくはないが言わざるを得ない分野もあるのかもしれない。１０リットルで出来ても１００リットルになるとこれまた事情が変わる。製品開発に関してどう頑張っても半年で製品を造る事は柚子馬鹿の今の力では無理である。

人間の精神状態もそうで、かなり気合を入れると返ってよくないことが多い。その昔、「気分が乗らない限り製造しません」ということをしていたことがある。できるまでお客様を待たせるという横柄な商売をしていた。震災に遭う前に道楽でやっていた時代だ。その時からお世話になっている会社が二つあって一つは神田和泉屋さんというお店。もう一つクイーンズ伊勢丹の新宿店にもお世話になったが数年前に閉めた。

あたりまえ、ワインを考えれば当然のことだが、同じ山でも、自然条件で味は変わる。接木と実生の差以外に同じ実生でも、搾り方でも、日当たりでもそりゃもう違う。その柚子を見極めて製造して、いい仕事をした、いい保存、いい作業をした、と思ってもその思いは結局自分に対する満足であって、そこを褒めてくれる人はそうはいたものじゃない。大体、賞味期間が過ぎていくにつれて吹っ飛んでしまうことであってそのあたりに限定品を止められない理由もあれば…　濁ると出来ない。

世の中は澄むと濁ると大違い…
そこに辛さがあるわいな。

25.すきなもの

出張の都合があって、前倒しで書く。

好きな喰いものについて書いてみる。

母は寿司飯が大好物だ。とりわけ押し抜きの寿司を鉄灸で焼いて食べる。
この押し寿司は大きくて上に金時豆やひのり（ふのり）を上に乗せてあるやつ。
・イノコ餅。さつま芋、里芋を蒸して砂糖を入れたやつ。粘りをつけるために古い餅をいれたりする。
・酢かぶら。柚子の香りを加えた甘酢のシンプルなもの
・かんころ餅。ほし芋をもち米と蒸して砂糖を加えてついた餅。
・自家製のらっきょうに梅干、鰺の南蛮漬

たまの日曜に天王寺に炊き出しに行っていた父の場合は
・かまぼこにす巻。これはメーカーご指定まである。
・たらこ、数の子
・ウルメ、ちりめんじゃこ
・ぜんざい、ほうじ茶
・くじら、いい牛肉、干物
・鱧の落しにお椀
・抜き大根の葉やみぶなの漬物
・ごま塩のご飯
・姉のつくった茶碗蒸し
・滑りのない立ったご飯の茶漬け

きっと、対象を６０歳以上の田舎に限らず２０００名にアンケートを取って自由に書いてもらえば、カレー、焼肉、ハンバーグにはならないと思うがどうだろうか？
庶民は旨いものをちゃんと知っているはずだ。

もしも、納税具合で喰えるものが違えたらエライことになると思うが、じゃあその旨いものをどう決めるのか、喰いものをこのあたりから攻めるのも一案か…。

え？
うん、柚子については最後のほうにまとめてやってもよいしお任せあれ。まずは、柚子のしぼり汁を合わせ酢でもよいから酢飯に使って頂きたい。

次は果汁について無い知恵をしぼる。

24.感謝

はへめひふぇおふぇふぇふぉう
え？もういい？ハイ。

誰も見ていない山の中でさえ祖父と祖母は随分距離を歩いたと聞いた。そういう時分だったんですね。
両親を捕まえて一緒になって見た映画で好評だったのが、「山の郵便配達」と「トントンの日曜日」だった。ま、そういうことであります。どうも、柚子馬鹿親の欠点ばかり譲り受けたようでありまして…。
一日ずっと雨が降っております。
雨季に耐えぬは涙なりけり…

だんだん飽きてきているというか、メッチャメッチャに書きたい気分に駆られてそれを我慢しているのでありまして、前半戦でこういう気分になるということは、後半無茶苦茶な予感がします。
ああどうしよう。今日は狂っております。北朝鮮花火大会ですか。

wa-------------

はへめひふぇおふぇふぇふぉうひゃりゃ
ふぇふぉふふぉ

事業を営む者として不適切な発言がありましたことを深く陳謝します。

23.１４度

２０代に全部親知らずが生えまして、今は四本全部なくて、
もう親知らず知らずでございます。自給率を上げましょう。いや、
今日は文体を変えてみましょう。

柚子馬鹿、子供の頃人参が嫌いでして、箸の持ち方が悪いだけでパシッっと叩き落とされる躾を受けた父の目を盗んで、ちゃぶ台の下に落っことしておりました。もちろん今は喰います。母も人参が嫌いだったそうです。曽祖父の対応が見事で、「嫌いか？そうか、これほど旨いもんがあるか、こっちによこせ。あーうまい、うまい。あーうまい、うまい。」すると母は、そんなに美味いものを度々渡すのが惜しくなって、無理して喰い始めたそうです。意思で食べる捻くれた子供だったとも云えましょうか。

柚子馬鹿、喰い方の美味い人にグルメを感じます。箸や茶碗の持ち方、かぶり付くときはかぶりつき、うっすらと香りがのった、繊細な包丁の茄子をアルペジオのような食感を弾かせる口。女性なら一口さいずもいいでしょう、父の喰い方は粋です。やはりカッコいい喰い方をしないとですね。柚子馬鹿はカッコが悪いのです。

喰い方で思い浮かびますのは、海外に行って判るもう一つのことです。どうも日本の料理は自分本位”ではない”ということです。父は小学校に上がる前の食べたい盛りに、茶碗二杯以上は無作法として許されなかった。ご飯も盛り過ぎると駄目で、そういう効率性は駄目でした。尤もふっくら適度、いや少なめにもったほうが美味しいものです。
上のものから下のものまで箸をつける順番、大皿の取り方、そういうところに厳しかった。後で想うに、楽しみを見出す要素が判ったといいます。柚子馬鹿にはどうでもいいとも一瞬映りますが、自分一人勝手に食べるというのとは少々違う”美学”がそこにはあるように思います。
お互いに気遣うということは、相手のことを想い心を砕く日本人の美徳で、客ものめり込んでこないと、深く学んでこないと、咀嚼できる眼力と胆力、器量を造っていかないと、そういうやり取りはできないとしたものです。難儀な問題です。何でも聞き込んで、造りこんで、学んではじめて分かる醍醐味を非常にさらっと、さり気なくこなすあたりに日本人の醍醐味の一つがあるように想います。「お前本気で書いてるのか？」というご質問には今日は趣向というこでご容赦ください。

”うまい”とは何か？について考えてみます。これに明快な答えを聞いたことがないのですが、答えは”脳みそである”と取りあえず柚子馬鹿決めています。それぞれの人に旨いがあっていいということにもなりますが、それだけではないともいえます。こういう質問にこれ以上書いては野暮になるし、いけないとしたものです。

一般的にうまみといえば、グルタミン酸の量で測り、甘いと書いて”うまい”と呼ばせるように甘さと旨みを中心に言われます。例えば、枯木の柚子の場合甘さで云えば糖度は１４度を超えることがあります。判る人には判ると想いますが考えられない甘さです。でもすっぱい。苦味もある。香りがほんわり漂う。その場所。空気。人間の状況。そのバランスで味はきまります。柑橘の場合は酸度と糖度のバランスだと云われます。苦味や、エグミは最初からアクだと決められているかのようで柚子馬鹿嫌なのですが、最初に酸度が強くなり、あとから甘味が乗って来るという具合です。酸味と甘味をコントロールするために、剪定をしてやってバランスを合わせるといいますが、それは柚子に関する限り接木という不自然な場合だからです。
甘くするだけなら、収穫後皮を剥いてしばらく置いておいてから搾ると随分と甘味が乗ります。こういうことは包丁を握り、製造の工夫をせねば判らぬことです。果汁なら砂糖を加えればいいわけです。旨みなら味の素を加えればよいので、なにも天然の甘味に拘る必要はないと想います。因みに、味の素は、洗濯洗剤やシャンプーと同じで少量で効果がでるので、入れすぎると駄目です。入れすぎると臭味がのこって重くなります。

エグミ、匂い、毒、痺れ、苦味、辛み、こういうものは旨いといわないなんて本当にそうでしょうか？ドリアンはどうでしょうか？納豆はどうでしょうか？山椒は？にんにくは？河豚は？青汁は？内臓は？

バンジージャンプは豊作を祈り、ツタが切れるかどうか占いを含めて、命をかけ、また男をかけた村ぐるみの祭りなんだと聞いたことがあります。食べ物も長い歴史の産物だといろいろと考えさせられます。そういうものをちゃんと引き継いで行く所に文化があって、先人達の偉業を0.1％なのか1％なのか少しでも若者は学び…
え？努力したって無駄？
ハハー

今日は夏に寒さを運ぶ文章でございました。
歯抜けお粗末でございます。

22.戦前

まだ、歯の具合が良くない。
海外に仕事で行って「日本人とはなんですか？」
海外から大切な人が来て「日本を案内してほしい」
どうしましょうか？よく判らないけど、自給率を上げよう。それは一寸置いといて、

昔話を書く。
十字架遊び、という悲しすぎる映画「禁じられた遊び」で馬に蹴られ、医者に行けず死んでいくシーンを想い出した。中学生の頃あの曲が弾きたくてギターを買った。戦前、戦中の話を書く。父の話はあまりにも壮絶なので折を見て。母からよく聞いたはなしをやや母のトーンで書いてみる。

曽祖父の大好物は、あったかいご飯に梅干を置いて、白砂糖をかけたお茶漬け。
魚の目玉の白いところ。鰯、ウルメなど干物の臓物。鮎のウルカ（臓物の塩漬け）の味噌焼き。
戦争で砂糖が手に入らなくなると蜂を飼って折々の花に放し甘味を採った。
その曽祖父は七つにして、子守に遣られ、冬の寒さのなかオムツを洗い、目の前に梨や柿があっても食べられず。

そういう苦労をした曽祖父は自分の子供それぞれに、梨の木、ミカン、柿、栗を植え、母には桐を三本植えてくれたそうだ。戦争のとき、みんなのために、その桐をキリ、キリを伐って、鼻緒にシュロを芯にして自家製の下駄をつくって沢山に配ったそうである。人の難儀を見るとジットして居られなかった曽祖父は、道をあるいて遠くに飼葉を切る圧し切りの音を聞くと、切れ味を音で察して、女一人で大変だろうとよく切れるように磨いでやり、作り手のなくなった田んぼを借りて米をつくり、水を曳くにもまず廻りの田んぼを先にして、自分は最後で夜中に引いたという。電話がなかったころは代表して電話があったそうだ。

田舎の昔は桑を植え、蚕を飼って製紙に売りに行き、男手は出稼ぎ。奈良等の山奥でソマとヒオ（木こり、そりやいかだのつくり手）を相手に林業の出稼ぎで盆と正月と田植えのときしか戻らなかった。その父の代わりに曽父（母から見て）が優しい心で近隣に接し愛情たっぷりで母を育ててくれたと聞く。

母幼少の砌、昼寝から目が覚めて、誰も居ないことに気がついた。
赤い鼻緒のじょじょを手に持って裸足で駆けて駆けた駆け出しちゃう。畑に行った。
庭の石を取り鍬で平らに均すのを見て、大人を真似するその無邪気で懸命な愛嬌に、「ヨーシ、敏は働き者になるぞー」と小さな母のために自ら造った鞴（ふいご）でとってもとっても可愛い鍬を造ってくれたそうだ。

成人してもレントゲンを撮る度に影が映り再検査を云われる母は、一歳の誕生日を迎える前に一度生死をさ迷った。町は遠く奈半利という町まで２里、安田まで３里。衰弱して行く赤ん坊を脊負って曽祖父は夜中に病院の門の叩いたが、医者は診て、曰く「入院しても無駄だ。死亡診断書を書いてやるから」と帰そうとしたが、「高知一の先生が云うならそうだろう、けど、生死はこの子寿命であるからここで最善を尽くしてくれ」。ゼロ歳の母は結核を克服した。

ずっと食が細く、ひ弱で、下肥を運んで畑に撒く作業が元で回虫のために月に二度、三度高熱を出していた。心配して何とか滋養をつけ丈夫にと、牛乳なんて買えないし、ないから、ヤギを飼い、草のある畑の畦道に繋いで夕方になると迎えに行く。毎日搾って甘味を足して飲ませてくれた。バナナが高価な頃である。母曰く「それでもヤギは臭かった。」雨の日、山羊を迎えにいったとき引張られて転んで膝を打ちそれがもとで曽祖父は神経痛で長く苦しんだそうだ。

越中富山の薬売りのものが置き薬としてあるだけ。薬も自家製。
胃が弱かったので、千振り（センブリ）という小さな草を採りに行き、釣り糸のような細い茎の根っこを２０本束ねて、食後に茶碗にお湯を注ぎ煮出してそれを毎日飲んだという。
食あたりをしたといえば、「熊の胃」を乾燥させたものを削り煮出して飲ませてくれた。
柚子は男が出稼ぎしたり、林業中心であったのを見越したそれよりも前からの先祖の知恵である。カネトシという社名の理由の一つはここに出てくる二人の名前に由来している。漢字で書けば「兼敏」である。柚子馬鹿すべてをリアルには知らない。刃を磨ぎ、村の鍛冶屋に自らなって桑をつくり、橋をかけ、薬をとり、果物を植え、牛乳も買わずにヤギを飼い、草履を造り、ハチミツも醤油も味噌も蒟蒻も作った。昔は問題を自分の力でこれほど解決していたのだ。曽祖父の大好物が目に滲む。

それでもセンブリは苦かった。

21.若葉

強火の遠火でのんびりといい加減の照り具合で魚を焼いてたい気分。
右下奥歯３分割の翌朝であります。口の中が苦い。先生の処置は見事であった。
こういうときはただ好きなことを書きたいが、いや、複雑に反応する、ま、

フロモックスは抗生物質で、エンピナースは炎症抑制、ムコスタという胃薬、ロキソニンはとんぷくであるが、ドーンと鈍く響く痛みと、歯を削ったあの音がまだ脳から離れない。柚子馬鹿歯医者が苦手であります。

処方の間、薬について考えた。薬と云うのは体内にいれて普段と違う効果を出す。だから普段の食い物ではない。きっと毎日採れば、体によくない。いやもしかしたら、身体がもっと強くなるかもしれない、うん。
農薬もそうだ。それは置いといて、ある程度苦いものを適度に取ることは体によいはずだ。とんぷくは痛いときに飲んでください、いや痛いときはもう痛いのだから痛くなる寸前に飲んでくださいである。で８時間は間を空けるのだ。このあたりイチイチ書きたいことがあるのだが、どうも、そういう気分になれない。

良薬口に苦しで、苦いものを考える。
海外いって判ることの収穫の最大の一つは、日本人は苦味に対して鋭い味覚をもっているということである。反論もあろうが、柚子に関して柚子のもつ苦味に対して的確なコメントをもらったことはまだ一度もない。あー。痛い。とんぷくは飲みたくない。

ふきのとう、たで酢、そう昔キュウリは苦かった。トマトもゴツゴツしていた。苦味をとるために皮を剥いたり、苦味のつよいヘタ部分と実をすり合せて苦味をとることを母はしていた。苦くないキュウリは美味しくない。塩もみして齧る。
キュウリの苦さが消えると青臭さが残るからその分旨くないはずなのだが、もっとも青臭さというのも旨いのだ。鮎の腸もそうか。ウチの柚子を基準に考えるとこういう展開になる。（念のため枯木柚子が苦いということではない。糖度はもの凄い、ゆずの苦味が評価できなければ柚子が判ったことにならないといっているだけ）なんのなんの今もゴーヤに青汁があるか。
ゆずごしょうという品、ここ最近ずっと取り組んできたが、青臭さと辛味とエグミと香りの格闘技みたいな製品で、塩辛すぎたり、青臭すぎたりするものはダメー。機会があれば柚子馬鹿の考える柚子ごしょう論を書いてみる。今度出すのはそこそこだよ。

辛み、苦味、えぐみ、これを活かす知恵は歴史の賜物である。
山椒に、みょうがに、しそは今頃の季節だ。みょうがに柚子で鮨を握ると旨い。酢も薬としての作用がある。一口に酢といっても、合わせ酢、緑酢、柑橘果汁、黒酢、醸造酢、合成酢、いろいろある。酢はいろいろ癖があって酸味が落ち着かないから火入れ、温度はダシと同様の重要な技術である。そのことも余裕があったら触れる。

歯が気になってどうにもならない。
葉といえば、柚子の葉っぱの形を知らない人が多い。柚子の葉は根本がキュっとしまり小さなこぶがあってその先から普通の葉になる二段仕込みである。ひょうたんの括れの位置を随分と手前にもってきたといっていいか。それからもの凄い棘があって接木の棘と比較にならない枝のような棘がある。

棘ついでに、三十代のうちに、四、五十代でもそうしたいが嫌味にならない配慮がいるだろうということで、シャカリキになって吸収しまくらねばならぬ、と考えている。
なんでも受け入れて表現するだけのものが自分のなかにないと駄目だ。年取ってからもっと失敗したりもっと吸収したり受け入れておくんだったという思いは最小限にしたい。考えてる時点で足りないんだろう…

だから本当は一生で一冊１０ページぐらいのものが書けて、世の中でも近所でも「いいわね」と云ってくれれば本来大成功なはずだ。絶対に柚子家は柚子家であってインテリ文化人に成ってはいけない。柚子馬鹿相当嫌な気持ちを克服して書いている。違うなシャカリキになってやっている。よくコンサルタント的に人生訓をたれ、連載するのが多いが、そのことの破廉恥さというか大馬鹿具合を感じないのか。ならお前はなんなんだ、という声が聞こえる。うん。事業を営むものとして求められる表現の限界がどうもあって、柚子馬鹿力がないということである。誰が（どういう資格を持つもの）が発言するかを重要視するか、全部をマスコミに委ねることに決めちまうかだろう。若者は若者らしく、田舎もんは田舎もんらしく、庶民は庶民だ。おれは柚子馬鹿だ。マスコミの衣を借りて庶民が大衆化する怖さも、逆に庶民の顔を借りるのも、コンセプトというのは麻薬なんですね。それだけに魅力がある。
世はすべからくブログ時代である。無記名の掲示板時代だ。直接手を突っ込んで見せるというのは本当は面白くて人間大好きだ。一切語らず黙々と背中を見せて死んでいくのもカッコイイ。メーキングが流行るというのは微妙に感じるが。柚子家は製品で表現しなきゃぁなのだが柚子馬鹿己に芸が無い。時代の流れにズレタリ、少数派のものは叫ぶしかないのか。黙って寝てるだけの度胸もない。で、鍵になるのは、プロセス、エンターテイメント、人間の本来、いろいろあろうがその葛藤がないと突き抜けられない。曝け出すしかないわいな。

え？言い訳するな。
ハイ。

しかし歯のお蔭で余計なこと考えずに済んだ。
これネ、考えてないとキット破滅するというか知らないうちにトンデモナイ方向へ行ってしまう危険を孕んでることだと感じる。又聞き程度で恐縮だが、ブログで書いて自ら放火するという事件や以前にペットをリセット云々と書いたらほんとに神戸でペットリセットしようとした奴が出たらしい。

じゃあお前はなんでこんなことをずっと書いているのか？

親知らずに聞いてくれ。イテテテテテ。やっぱり飲もう…

20.暑中見舞い

恐れながら暑うございまする。
一筆参らせ失礼つかまつり候。

御意。十五夜はまだに御座りまする。

無礼至極な奴だ、何と心得るかと仰らると、我が恥辱に相成りますことゆえに
一時の恥ずかしさに任せて、シンクロナイズドスイミングに牛をいれたのは我が誤り。

ご承知の通り
一番町にて行き倒れ候節は、六尺棒にて追い払われ、鯖の缶詰一つに氷一杯。
翌日独逸で倒れ候節は、銭一貫文、腸詰三本。
昼過ぎから桜の下で唯お灸。

異国の丘の雨の音。目を閉じながら、聴きながら、一両日に１００両酒、飲み干すことは無理に聴こゆとも。地獄の郵便は届かぬと、節目はあれど野を越えて鉄の兜の玉、いや「元日や神代のことも思はるる」と盛武の発句を見て、七福神参りに御座りまする。まづ、一陽来復、柚子に因み、豪商紳士の大黒参り、恵比寿麦酒にあやかりつつ、福禄寿に願をかけ、毘沙門天の相で一瀉千里の東奔西走、森羅万象。わが敗北の二字認め三途の川に落ちてでも、蘇って達成せんと脊負って参る所存に御座り奉り候。思いがけなき夏の夜に御風と祖師の利益にて、不思議と命助かりしは千軍万馬の中を往来し、刀折れ矢尽きぬとも君の御馬前にて血煙をあげ、必ずや槍先功名を挙げん。

毎日、天下広しと雖これほどの馬鹿もあろうかと
承知で書き綴れば、何事も石の上にも三度傘。常識を超える術なくこの様な素っ裸で棒縛りの１００話で御座りまする。
ああいやだ、これから横に生えたる親知らずを抜きますれば
恐怖に駆られた柚子馬鹿の戯言と何卒ご容赦の上、
全身に夏を受け一路邁進
勝手なことを云ったり書いたりしております。

皆様のご健勝を心から祈りつつ暑中お見舞い申し上げます。

２００６年夏　柚子馬鹿

19.夏

新緑、梅雨が明けて雷がなる。モクモクと入道雲。
香り天然の鮎がでて、蝉の前に夏を感じる。やわらかく煮た茄子に、味を抑えた涼しげな甘いもの、京都ぅなら鱧か。水滴がじりじりスーっと動くガラスコップ。そうめん、冷奴に団扇、みどり…。

夏が来ーれば思い出す。で夏である。

柚子というのは当たり前だが１１月頃のものである。旬を感じさせるということだ。
ね、そう柚子は一年に一シーズンだけの収穫であります。
だから、５０回程度なんですよ。
その、勝負できるのが、成人から５０年ぐらい仕事したとしてネ。
うん、一年に一度、例えば限定のぽんずを一万本造っても５０万本。
たったそれだけ。それだけじゃー嫌だよな、というのはこっちぃ置いといて。

主人が理想を職人にブツケル。
職人は己の技量と相談してその差を埋める、また驚かせようとする。
この主人の役割を現代は何が果たしているのかな…
ORという学問を学生時代に学んだが、このあたりに疑問を覚える。感覚的になって申し訳ないのだが、ORでは理想と現実とのギャップを問題認識することからアプローチが始まる。本当にそうなのかなぁ。
己が感覚で感じていることをそのまま表現されてもわからないと思うが、そう私も解らない。

結論を書けば、５０回の柚子で己にテーマをぶつけても５０のテーマしか出来ないよ。たった５０だ。　
ゆず一個さあどうする。包丁一本どうする。真っ白な皿一つ、さあもれ。白紙の紙一つ、さあ書け。

きっと、技量も発想もそのまま出るね。
言い訳の仕方がわかるね。
仕事に向かう姿勢がまるきり露呈するね。

筑摩書房坪内祐三編集　明治の文学第三巻　三遊亭円朝巻頭の一節

「銭を取りたいといふ野卑な根性や、他に褒められたいといふおべっかがあっては美い事は出来ないから、其様な了簡を打棄って、魂を籠めて不器用に拵えて見ろ、屹度美い物が出来上がるから…」

この善悪、内容を云々する資格はない。いいたいのはこの文章の奥にあるものは、少なくともORとは問題の捉え方が違うように感じる。

神様は技量を超えた眼力。
了見といってもいい。それを試してるんじゃないかな。

え？何？借金返せ？
ハハー

冷房に　悔し涙の　瓶ビール

なんのなんの

空調が　ビールがなんだ　飲んじゃった

さ、さ。

18.レモン

N議員の発言（第０４６回国会　内閣委員会　第４０号より）

今回また突如として、全く寝耳に水でございます。事務当局も知らないし、もちろん党の関係者も知らないときに、突如として閣僚懇談会でこれを抜き打ち的に自由化をされる。…
一日の余裕も与えずに直ちにこれを官報へ出してしまうというような暴挙が行われておるのでございますが、その真相と、またどうしてもそれをやらねばならぬ事由がどこにあるか、

…

砂糖の自由化だって、甘味資源特別措置法という法律を出して、これは国会で流れましたけれども、次につくったでしょう。そういう法律まで出して甘味資源の育成、保護ということをやって砂糖の自由化をやっている。自動車産業でも、特別振興法、特振法をいま出しているでしょう。商工委員会でやっているじゃないですか。ああいう大資本に対しても、政府は七十億の金を出している。体質改善をしてから自動車の輸入をしようというのじゃないですか。そういうときに、何らの対策もせずして、唐突として、

　あの当時四キログラム三百円が三円にまで落ちたんですよ。生産地から消費地へ輸送する費用もありはしないですよ。向こうは自由競争ですもの、多量に入れてそうして、そうして内地品が立ち上がることが出来ないように持ってくるのは当然じゃありませんか、これが自由競争じゃありませんか、これが半値ぐらいで止まるだろうというのは、全くの空論ですよ。すでに前にそうでなかったじゃないですか。
一個一円ですよ、四キロ三円ですよ、当時。そうして消費者価格は四十円を下らなかった。向こうは自由競争なんですから、太刀打ちできぬ日本製品をどんどん入れて圧迫して、農村の生産をこれができないようにするということは、彼らの常套手段じゃないか、それをしないだろうと考えるところに、根本的な間違いがある。
太刀打ちできぬものに対して、何らの準備なくして、そうしてこれを自由化したならば、立ち上がれぬということは事実じゃないですか。観念的に半分くらいに下がる程度にするだろうということじゃない。すでに前にもうレモンの木を切らねばならぬということでどんどん切る大勢に入った。そして生産は激減しました。慈善的につくる者はおらぬのですよ。利潤が上がらずしてつくる者はおりませんよ。農村が生産意欲を失うたときは、米だっていま少ないでしょう。農林省の米の生産行政が適正でないから、米のようなものでさえも減退しているときに、将来の見通しのないレモンの生産確保なんか、できるものじゃありませんよ。基本問題については、いろいろ議論はありますよ。そういう観点で農村はこれを自由化しても心配ないだろうということは、強弁にすぎないです。

S委員
果樹につきましては、ご承知のとおり、果樹農業振興特別措置法がございまして、これに基づきまして長期見通しを立てております。四十六年を目標に見通しを立てております。簡単に申しますと、全体としては果樹は需要も生産も相当伸びる。ただ、いままでの傾向を将来に延ばしてみますと、むしろ需要の伸びのほうが大きくて、生産がそれに追っつかないというような傾向が見られるわけでございます。農林省といたしましては、果樹の振興につきましては、この線に即して生産の振興をはかっていきたいということでございますが、現在実施中のものといたしましては、果樹の植栽なり育成についての資金関係が、まず一番基本問題でございますので、これにつきましては、農林漁業金融公庫における融資、これを漸次拡大しつつ実施しております。それから構造改善事業、これは農林省全体として大きな事業でございますが、この中におきましても、果樹を基本幹作物とする構造改善事業は、非常にウェートを増しつつは約百四地区ございますが、それに対しまして、果樹関係は百四十五地区というふうに、むしろ米よりも相当ウェートが大きくなっているという状況でございます。機械化といったようなこが非常に重要な問題になると思いますが、それが必ずしもそれに対応した造園が行われていないということで、果樹園の造成の合理化ということに力を入れていきたいということで…その他現在あるいは今後進めていかなければならぬものと致しましては、たとえば流通なり加工の合理化、あるいは輸出の促進、それから従来から問題になっております果樹共済覇業の早期実施、そういった面の推進をはかっていきたい、こう考えておるわけでございます。

　**

現実として、世の中の流れと別に、本来のゆずの価値に気づくものも、価値が判っても残そう、またそれが通用するようにしてやろうというものはだれも居なかった。

米をやめて２０年収穫のない実生をやるよりも３年で実をつける接木が、国産柑橘の拡大など等そういった期待と時代背景を受けてあっという間に広まった。柚子も柑橘の一つであった。接木で効率的に、農薬で綺麗に楽に見た目をよくして金儲けし、その苗を分け産地を増やし…俗にこれを「村おこし」という。
その役割の重要性は高い。また今の柚子の繁栄もあろう。
確かに見た目も、効率も、金儲けも大切なことだ。
けどね、善悪優劣ではない、バランスを壊し本来のゆずが瀕死の状況になったことを少々良くないといっているだけである。接木なんぞするから無理して沢山短時間に生らすから選定をしないと糖度と酸度が合わない。若者はしかたがない。盲目的に今の状況をつくった、知識人と呼ばれる指導者たちと、庶民感情を忘れて右へ倣えと大衆化してしまう時の怖さを…

いやー失礼。柚子馬鹿の分際でナマイキなことを、勘弁して勘弁して勘弁してください。あー

柚子馬鹿、崖っぷちで踏ん張って、まだなんとか枯木ゆずをやっている。

助けてくれー。
昨年は負けっぱなしでありました。
柚子馬鹿奴にございます。

17.自由化

農林水産物の国際競争力が弱い頃
日本がガットに加入し、様々な国際的機構に加入し、貿易の自由化ということを強く国際的に要請され、当時９４の自由化品目の内、七十数品目を農林資源として自由化しているころからの噺。知ってる人が多い話だご容赦の程、プロセスである。

どのように自由化されたかというと、
１９６３年にバナナ、
６４年にレモン、
７１年にグレープフルーツ、
８９年に非柑橘果汁、
９０年にはりんご、ぶどう、パイナップル果汁,
９１年オレンジ、
９２年にはオレンジジュースが自由化された。

前にも書いたようにジュースの影響力は大変なものだ。
結論だけ書けば、国内柑橘の需給に価格のクッションの根底が壊れ、国内での価格形成は輸入品の価格水準で決定されるということだ。代表的なものがレモンである。

ま、柚子馬鹿柚子以外のことをごちゃごちゃ書くこともないし、資格もない。水面下のことなど知らぬ。で仕方がないからインターネットで入手できる当時の衆議院会議録のある方の意見をそのまま記述するだけに留めておくのが了見と、あくまでそういう議事録に載っているという事実があるということで見てほしい。

と、その前に、
「これだけ旨いオレンジがこれだけ安いのはなにかあると思いませんか？」
「大きな農場で効率的につくってるからか？」
「うーん…」
「知ってるよ、農薬かけたり香料や添加物使ってんだろ？」
「いいよ俺飲むから…」
どこかで聞いた会話であるが、今これだけ農薬の制限や、有機栽培、添加物規制に表示、トレーサビリティーが云われているということは、裏から考えれば、嘗てはそうでなかったということだ。今おきてるアトピー、アレルギーとの相関がゼロだといえるだろうか。子供が居る家庭で毎日飲むジュースは気にしておいた方がよいと思うが…。狂牛病もまたしかり。正直、国産温州みかんのジュースやポンカンジュースは市販のバレンシアオレンジの鮮やかさに劣るように感じるが、バレンシアオレンジが美味しく感じるように、そうマクドナルド、スタバに、宅配ピザが美味しく感じようになったんじゃないのかね。どっこい、こっちだって鮨にスキヤキ、醤油に、焼酎、豆腐だって輸出しとる。うーん、横綱二人がモンゴルか？ってときに何をいってるんだ…というこのなのか？健康健康、美容美容って云ってやってること、実は逆なことが多いんじゃないのかね…。

柚子馬鹿今日はさっぱりダメー。毎日書いて解ったけど毎日書くと変になるね。
ワー。
手ーの平を太陽に透かしてみーれーばー♪

バレンシアオレンジを超える旨くて安い果汁が出来ないものか…。

釈迦に説法なことだけど、
将来、安全性のために輸入の基準を上げれば食糧が足りないとなるし、日本だけがいい目もできないだろうし、下げればそれなりの安全確保にならざるを得ないし、輸出してくれる国の組織がしっかりしていればまだよいが、そうでないところに食糧をお願いするしかなければ、基準は形ばかりとなりにけり。「体を売って、魂売って、喰いものを得る」ことになりかねない。守銭奴だね…。
金で買えるうちはよいけれど、喰いものが足りなけりゃ売ってもくれないわけで、そこは日本！神風がコウノトリが食糧を運んで来る、ヨっ神様。でもカラスは喰いたくない。日本人の英知、ウルトラCの技術を駆使して頭に栄養返還式ソーラー発電機つけるようになるから平気平気…

ヘイキですか…

16.ジュース

つづき

結局、出荷できないものを搾って保存したり、取れすぎたときに二束三文で売るよりは、捨てるよりはと二年後三年後を見越して保存する。高齢化で果実出荷は面倒なので安くていいから買ってくれ、などと事情も様々だが、世界貿易や業界全体という観点で見た場合、ジュースというものが価格や物量の重要なクッションになっているとことが判る。これが、これまでなかなか果汁専用、無農薬で安心で旨いものだけをつくることが出来なかった理由の一つである。
団塊世代を考えると、旬のもので良心的なおいしいものを食べたくなると思いますがどうですか？

柚子の場合「飲む」と聞くとそれだけで、「酸っぱそうー」と云うと思う。
そう柚子を飲むという発想は一般にはない。柚子馬鹿平気で飲む。酸っぱいと思わない、いや、「うわーすっぱい」と云うのはこれほど楽しく旨いことはないのだが…。ゆずの場合果実出荷がメインで搾るということは昭和４０年ごろまで殆どあり得なかった。柚子酢として瓶詰めした調味料を売り出した父の苦労が良くわかる。
ぽん酢や、アイス、キャンディ、村おこし、と様々に使われて今の栽培増加に繋がるのだ。味と香りに勝る枯木ゆずが認知されればされるほど、業界全体のプラスにもなるということだ。”何とか農法”の果実をだけをピックアップしておいしいジュースにして高く売るという動きも最近見られるが、そんな単純なものではない。その方向からだけでは、容易に構造を変えることはできない。が、しかし、行動に移し形に買え、現代に成り立つということが、やがて生産者や消費者が自分で考えて造り、購入する切欠になる、何より関心を持つという意味で支持をしている。

「ジュース」がさほど大きな価格の差のないところで流通していることを考えると現実の消費者には「値段」が購入の動機にやはり大きく作用しているのであって、濃縮還元も、100％も、香料に砂糖どっさりも、比較し考えて選択している人は少数だということだ。
アメリカでは牛乳はもはやブランドや味よりも、容量と値段がメインで多くの種類を比べるということはないらしい。そうなると極端な噺、スーパーにはりんごやミカン、それぞれ一種類あれば十分ということになり、それがアメリカ産ばかりになれば、日本のりんごも柑橘全体も打撃をうけかねない。

結局、お前は「面白い果実」を「製品」をつくることができるのか？につきる。
実際に各々やってはいるのだろうが自給率の上昇に結びつくかなきゃ”いい訳”であろう。金で買えばいいと云われればそれまでか…。
国や農協に頼るばかりでなく、農家それぞれが一般企業に負けないぐらいの努力と発想で、いい品質のものを、おいしいものを、びっくりするようなものを作ればいいのだ。食卓にレストランに浸透させればいい。現に日本の食いものは物凄く旨い。ハチミツが入っているかのような桃がある。自分たちでプロモーションやブランドも商品化も意義も考えて、アメリカに、ヨーロッパに輸出し、サンキストレモンの逆をやってやろうじゃないか。因みに縁あって柚子馬鹿サンフランシスコ１００店舗を越す高級スーパーに、またニューヨークのレストランに販売を始めた。アメリカ人よ覚悟しろ…いやいや勘弁して勘弁して柚子馬鹿口だけでそんな力はまったくない。

冗談はさて置き、
皮がメインの柚子は柑橘類の中で特殊なんだということは何度も書いたが、柑橘類や果樹という括りから観て、りんごやミカン、その他果樹栽培それぞれがそれなりのバランスを保って流通している。もしもりんごジュースがみかんの1/5になったとしたら多くの消費者はりんごジュースを買い始めるだろう。するとみかん果汁も価格を合わせなければ売れず、原料が安くなりクッションの役割が壊れてしまう。農作物はそんな関連もある。この意味で柑橘類という分類の意味がある。地球の温度が１０度上がれば世界の農作物のあり方も一変する。あーあ。
ブランドを高め値段を上げる分にはいいけれど逆をやると大変なことも起こる。一つの果汁が物凄い安価になってしまうとその作物自体が壊滅状態になるばかりでなく他のものにも影響を与える。他方でいい競争状態も必要だ。
つくづく人間の扱う数字や値段には了見が入ってないとだめだと思う。
あまり安いものは疑うぐらいの消費者にならなきゃいけない。

次は柚子馬鹿生まれる前後の池田首相から佐藤首相、ニクソン大統領就任あたりに遡る。

関係ないけど今日猫が自分で湯船に入った。驚いた。

1５.果汁

これから、うちの事情というよりはやや一般論で書く。
海外ホテルの豪華な朝食に巡り合うと、柚子馬鹿果物から喰うことが多い。一寸ずつすべてのジュース持って来ることもある。もっとも借金が多くて仕事であっても海外なんて行く余裕があったら銭返せと云われるからあまり書けない。
で、ジュース。
果汁。飲料。何が好きだろうか。
りんご、みかん、オレンジ、トマト、グレープフルーツ、葡萄、レモン水、うめ、しそ、ゆず、もも、マンゴー、イチゴ、メロン、スイカ、バナナ、…沢山の種類がある。これに牛乳、珈琲、スープ、水…と冷蔵庫が一杯になってしまう、どうしよう。

で、果肉を喰うのと、果汁を飲むのとどっちですか？という質問を考える。
正解は、タダなら果肉を持ってきて自分で搾るか、果物を喰うに限る。

これから少々消費者があまり意識や話題にしないことを書く。
○△フルーツパラーなどで、目が飛び出すほどの値段のジュースを見たことがあるはずだ。器をくり貫き、蓋をつけたり、ストローもついてくる。器だけを利用して、中身が市販のジュースならばもう少し安いだろう。因みに缶ジュースをストローで飲む国も多い。外で飲んではいけない国もある。
実際に、もし本当に甘くおいしくて見た目のよい高級で贅沢な果実を、そのまま果汁にしたと考えれば、作業手間や場所代、容器代など諸々が加わって少なくとも果物屋の店頭販売価格より高くならなければおかしい。だから高い。ブランド品の果実ならもっともっと高くなるであろうか。

市販のジュースの場合、運送コストや保管コストの効率性を仮に捨象したとしても、コップ一杯に何個も果実が入っているのだと考えればベラボウに安いものが多い。なぜ安くできるのかと云えば、大雑把に云えば果物として高く売れないものを搾るからだ。極論すれば、市販の果実として出荷できない、スソ品や、傷のある品を搾っていることが多い、ということである。スソ品は味に対してはあまり影響がないと思うだろうか？近頃減農薬なんて云われるがそれでも見た目を重視してつくられたのだから、農薬やワックスの問題だってある。一般の果実の場合は甘くおいしく造って来てのスソ品であるが、柚子の場合は、接木という味よりも皮を重視した品種改良なのだからもっとおいしくない。健康面からも毎朝果汁を飲む人はその果実の由来を気にしておいた方がよい。

万一仮に、保管コストや流通コストなどを考えて搾る手間賃も出ないとなれば、果物を「捨てる」という選択肢、そしてそれが何年も続けば、止ーめたと伐る選択肢になってしまうであろう。捨てたほうが、止めたほうがましという事態だ。よくテレビで野菜や果物を捨てている場面が記憶にある人も多いと思う。

「お天道様の喰いものは、毎年安定するとは限らない。」「自然は人智では殆どコントロールできない。」ということを基本にしておく必要がある。
でね、一般に品質が高いというが、この品質という意味は味や香りや成分がよりいいということよりも、工業品の場合、「安定」しているということが求められる。価格も量も、品質の一つとなる。無きゃ喰わなきゃいいのだし、無理に喰わなきゃいいだけなのだが、どうして乱獲するのかな…である。

果汁の保存でも、一升瓶という瓶による保存よりも、プラスチック容器の冷凍保存が主流になっているのは、より”おいしい”ということよりも扱いやすく、安定しているということが重要とされるからだ。例えば、一升瓶で冷蔵保存した果汁とプラスチック容器で冷凍保存した果汁どっちがいいかを考えると、味も香りも冷蔵の方が良いに決まっている。容器の臭いもうつらない。ところが冷蔵の場合は劣化が早い。冷凍の方はいくら技術が進歩したといってもスタートラインの品質は必ず劣る。しかし劣化の具合は緩やかだ。そう、ある時点で二つが交差する場所がでてくる。これが、酸度の強い柚子の場合二年から二年半である。効率性や価格を無視して味と香りという意味の品質だけを考えれば、二年以内なら冷蔵で保存したほうが圧倒的にいい。ワインはほとんど瓶にコルクに樽だ。ゆずは年に一度生るのだから在庫を考えても十分一升瓶でやれる。…まれに三年不作もあり得るから、バランスの問題でもあるのだが、この点でも一升瓶を中心に扱う柚子馬鹿は世間と違ったことをやっている。因みに一升瓶は重いし作業も大変だ。割れる。ビルのガラスから変えてほしい…。一升瓶もやがて消えてしまうかもしれない。

…　拾い集めて三升あまり

長くなるので次回に続く。

14.数字

１００という数に関係することを思いつくまま書いてみる。
ちょっと休憩というところか。内容はない。
人間数字も大好きで、ものを把握するのにはよい。株価は毎日変化し、今の消費税は5％であり、交通事故数は○△人で…、柚子馬鹿、数字は了見であるほうが好きなのだ。無期懲役より一度の死刑をもとめる被害者よく判る。豊かになって今更と思うが「世界一」、あと３日、２０歳になったら…、
聞いた噺で、オールドパーの酒の由来の人物は１００歳を超えて強姦で刑務所に入り、１３０を超えて改心し、１５０歳は喰いすぎが最期だそうでもの凄い。
数字で遊ぶのは面白い。先日頂いた「２０５０年住宅のビジョン」三澤千代治著から「100」という数字に纏わるものを拾ってみた。

・広大な森林地帯も数百年の間、水の供給が途絶えると砂漠化になる
・近年、北京では100メートル井戸を掘らないと水が出ない
・２００万年前の人口は１００万人、今や６０億人が地球上に住み、食糧から見て適正人口は２５億人といわれている。必ず餓死するものが出る。
・スーパーで売られているミネラルウォーターは１立方メートルあたり１２万円から１５万円もする。水道水は２００円くらいで、ガソリンより単価の高い水を飲んでいる。
・100年くらい前までは、地球が呼吸する熱と地球から宇宙に放出される熱の量のバランスがうまくとれていた。
・関係ないが、与論島は川のない島だそうだ。で海が綺麗。
・１００年住宅を考える。イギリス７５年、アメリカ４４年、日本２６年　―　これは各国の住宅の平均寿命である。
・法隆寺で実証されているように、木は１４００年ももち、コンクリートは３００年、鉄筋は１００年ほど。
・樹は元に戻るまで百年。
　―地球上の森林の割合が３割なのに比べ、日本の国土は緑豊かで70％が森林。なかでも手の加わっていない天然林は貴重で日本では６割。人工林は伐採、再生により活力を維持するが天然林は伐採すると１００年は元に戻らない。植林しても人工林は天然林にはなり得ない。柚子みたいだ。
・１００万年前のトカゲ…

１００年というものを仮に基準として考えると、人口、気温、砂漠化、耐久性、そういうものが連鎖しやすくなる。子供の食物アレルギー、アトピー、環境ホルモンといった問題と輸入農産物や添加物との関連を科学的に立証するのは難しいかもしれないが、無関係ではあるまい。

わが国の食料は、国内生産の維持と安定輸入の確保の２点にしぼられる。輸入が安定的に確保されるためには、ずっとずっとに国力が強いことが前提になる、今の話題の牛肉も、選択枝がないなら喰うか喰わないかしかないのだし、喰うふりをして他の食糧を確保する必要もあろう…よく判らない。将来「健康を犠牲にお金を稼ぐ」ことになりかねない。こういう状況下にあって、「金儲けは悪いことですか」という神経はやはり音痴以外の何者でもない。音痴なんだから仕方がない。１００年後の農業、食糧なんて真面目に考えたら狂うから、音痴にならなきゃ人間もたないのかもしれない。安価で量的な食料確保よりも、団塊の世代からは良心的で新鮮で季節感がある安心なものを本来求めるだろう。脳みそだけなら、酒で十分な筈なのだが、そうはいっても喰わねばならぬ。所詮柚子家が考えるようなことでなない、自分が喰うだけでも大変なのに、俺は判らない。知らなーい。知らない、知らない、知らなーーーい、のだけれど、ただ現実にいまのような柚子になった背景を少しだけ考えてみるか…

腹いっぱいになれるということは凄い。いくらでもあるぞー１００円で腹いっぱいになる方法。さあみんなで考えよう。

13.桃栗三年柿八年ゆずは９年で生りかかり

「桃栗三年柿八年、柚子の大馬鹿十八年」や「桃栗三年柿八年ゆずは九年でなりかかり」、梅はスイスイ、スイトテ十三年…　多少の違いはあっても、世代を超えて受け継がれてきた「ことば」であり、諺である。で自称「柚子馬鹿」となった。
「もも傷三寸、肩八寸、指は…」と良い例ではないかもしれないが、噺のサゲの部分に使われたこともある。冬至と同じで日本人の生活にちゃんと浸透していることわざだ。

柚子はそのぐらい生るまでに時間がかかるという意味である。
因みに蝉の一生をマヌケというのも失礼な話だが、随分時間がかかって世に出て来たかと思うと、あっという間短く凝縮した人生を送るのに比べ、”本来”の柚子は推定３００年と云われている。確かに松や杉に比べれば寿命は短いがそれは幹は松や杉のように弾け、ひび割れず、コケが凝縮してしまい窒息するからで、その幹は、たとえ樹高15ｍを越すものであっても想像以上に細い。（だんだん内容がツマラナクナッテキテいることは自覚してはいるのだが…。）

で、この諺、ことばだけで、事実上滅びている。滅びる寸前である。
諺の中身、ドーナツ化、空洞化、スッカラカン、ないないないんだということ知っとこう。なぜなら、現在ほとんどの柚子が接木のゆずだからだ。
接木のゆずは実が出来るのが速く寿命も短い。そう三年で実をつける。これ収穫の効率性と並んで、接木の最大の利点である。皮の綺麗な実が収益に結びついた柚子は、より甘くという味への追求がなかったのが現代柚子の特殊性ではあるが、その他の部分では柚子も（農業もといってもいいかも知れない）、より効率的に、より速くという文明の道を辿って来た。それが接木である。ただ、その綺麗と云われる実一つとっても柚子馬鹿の基準ではあまり綺麗とも、いい顔とも映らない。人間の顔もそうかもしれない。

また一方で接木のゆずは、２０年から２５年もすると収穫量が激減し、比較的短い寿命を終える。だから、一度接木のゆずを選ぶと２０年から３０年毎にまた接いでいかなければならい。結局、今の柚子を前提にこの諺を考えれば、「桃栗三年、柿八年、ゆずの大馬鹿、アレ三年？、十八年でもうアウト？」となろうか。また、柚子というのは本来耐寒性が強く、頑丈で他の木の台木、柚子自体が親に使われる程なのだが、台にもならない…。台無し。「昔の人は馬鹿よねー、そんなに時間をかけてたのねー、いまならポンと押せばガチャンとなる時代なのにねー。」と茶化したくなる。何度も云うが、その昔、右へ倣えで全部全部ぜーんぶキコク台と呼ばれるミカンに接いでしまったのだ。
よく、実生は樹高が高くなるから高齢化の進む年寄りには収穫できないからだめだ、という。確かにそういう事実もあるが冗談言うなといいたいくなる。もしも、味と香りが評価されたなら、ハッキリ云えば、金が儲かるなら、売れたならば、切らなかったろう。切らない方法を、採る方法を考えたクセにである。「よくぞ切らずに居てくれた」とどうして云えないのだろう、「ある」ということだけで意味があるのだ。
今のような状況をつくった奴らが反省すべきことである。
無意識に己の考えを全部マスコミに委ねるよりは、俺は政治は解らないけどあの人は信頼おける人格じゃないのかな、政策や、企画のことは解らないけど誠意を情熱を感じるね人だね。いい瞳してるんだ。他はなにも判らないけど少しだけ柚子の味はわかるんだ。この木は置いておいた方がいいんじゃない？という庶民感覚を大切にした方がいい気がする。文明の側の似非文化人に限って逆のタイプが多い。まあいい、俺だって偽者だ。

柚子馬鹿、この諺を守っている。矢面でやってきた。極意をしっている。
幸い実生はまだ多少のこっている。柚子馬鹿の影響もあって類型も増えてきた。
地方に行くと樹齢何年の柚子としめ縄のご神木のように数本奉っているものがあるが、そうなるともう終わり。過去のものと断絶させてしまって、現代に生きていることにはならない。確かにその思いはよく理解る。柚子の山を神が宿っているのではないかという表現をしてくださった方がいるが、柚子馬鹿も山の空気が好きで、携帯がなるだけで違和感を覚え、愛しく、アミニズム的な気分になる。いつまで居ても飽きない。保守。守り保つということ…大事だと思う。後のことは知らないが、やれるだけはやってみる。やってみよう…。

12.根

ね、ネ、ねー、ネっ
今回は焦点を風味、味と香りにシボル。
結論から云えば、朝ズバっと云えば、「柚子の味は根で決まる」。

面白いか、面白くないか、旨いか、まずいか、重要なのはその問題であって、そっから後も前も本来知ったこっちゃないのだが、人間困ったことにに、納得しないと、いや納得するために理屈を求める部分がある。判る人はここまでで判る。柚子馬鹿自体柚子をやりながらいろんな人に教えてもらった。少なくとも若者はどうも資格の獲得と立証が課せられるようだ。２０年前は柚子の良さをちゃんと説明することができなかった。いまだに下手だが…。枯木のゆず、たった一人だけ、これまでの説明を一切要求しなかった桁外れの凄い方のことはいつか…。
大変だ、Tシャツだ、テポドンだ。…以下蛇足といえば蛇足だが、いやそうか全部蛇足が。野別、地震だ、火災だ、銀行の破綻だ、事故だ、落下傘だ、墜落だ、あべかわに桜餅だ、といいながら言い訳して同情をかっての２０年という事実もあるか…。

話を根っこにもどして、
今、出まわっている一般の柚子ははっきり云えば「水っぽい」。薄いんだもん幾ら鍋に使っても・・・である。それも実生や枯木があて比較するからで、なければ波風立たなかったのかもしれない。スダチやカボスはないもんな…。
なぜ水っぽいのかと云えば、根が浅くて短くて地上を張っているからである。樹木の栄養は根っこが吸い上げるのだが、いま一般にうられている柚子の根はミカンの一種のカラタチを台にして柚子を接いでつくられている。これを接木とよぶ、ミカン（カラタチ）の根は横に這う。地表浅いから水分しか吸わない。遺伝的には確かに柚子ではあるが、栄養成分が根っこと共生関係になってしまうために、どうしても根っこの影響がでる。なぜそんな根を選んだのかといえば以前に書いた通り、見た目の綺麗な柚子じゃないと売れず、儲からなかったからだ。また日本人のみんな一緒に右に倣え、という「大衆」的性格にもよろう。念のため接木のよさもちゃんと書く。その他の問題点、歴史的背景、もまた別の機会にゆずる。キリがない。なら書くな、書かねばならぬ、いや、で、まあ…そのキリがないけど大丈夫。

一方、
枯木ゆず、実生と呼ばれるゆずがある。柚子馬鹿の好きな柚子である。愛しい愛しい柚子である。実生とは種から育てるという意味だ。
で、１００年を超える柚子を枯木と呼ぶ。
枯木はちょっと別格の存在で柚子馬鹿縄文杉と同じで「ある」ということだけでも意味があると考えているがこれまたキリがないから後にゆずるとして、

日本の柚子、本来のゆずはその性質で樹齢を重ねるほどに根をまっすぐ下に深く伸ばすから地下のミネラル分を存分に吸い上げ濃くて、バランスが良くて、香りや余韻のよいものが出来る。
でね、この表現何かに似ている。味のバランスや余韻、香り、特徴…
そう、ワインだ。だからこの話、葡萄・ワインを知っている人には割合すぐ通じる。造り手も買い手もある意味爛熟にまで高めているかのようなワインの世界は凄いものだ。けど、柚子は日本のものでそのプライドは高い。で、ウチの柚子はフランスに、またフレンチの世界に、その価値が分かるから、分かっているのか、まあいいや…そこそこ高い評価を受けている。ワインでも５０年、６０年ぐらいの樹齢を重ねたものをビエイユビーニュとして別格となる。ビエイユビーニュを訳せば古木（こぼく）である。柚子馬鹿敢えて枯木（こぼく）と使う。

最初に種をまいて発芽し、最初に伸びるネ、ね、根を直根といってこれが本来ゆずはまっす下へ下へと伸ばす。ワインの葡萄も同じだ。樹木も高さによる分けられて、低木、高木、亜高木などと例によって分類されるが、接木のゆずが3メートルに満たないのに対して、２００年の枯木になると１５メートル、２０メートルに及ぶ高木の部類になる。分類好きからみても、低木の接木と高木の枯木まったく別物なのだが、その際には柑橘という分類を優先するらしい。まあいい。

５０年なら５０年、１００年なら１００年、その場所でしっかりと根を張っていることに意味がある。ところが最近、市場のニーズに無理にこたえるために、実生と無理に呼ぶために、根っこに継ぐような人もいるがこれは根本を分かっていない。樹冠広がり、形状、根っこ、すべて繋がっている、根っこだけを分断して実生の根についでも、それは根には違いないが深い根になるわけではない。２０メートルを支えるためにそれだけの根を張る必要があるのだから、若い木低い木の根は浅くなる。気持ちは分かるが、判断で、物事の根っこを誤ると不思議な事が起きる。

細かなことを云えば、味も見た目も、農薬の問題、地形、気候、気温、手入れ、摘果後のこといろんな要素が絡んできて、まてよ農業は一般論で論じるべきではないのだが、一つだけ例を挙げると、接木で農薬を使わないものと実生で農薬を使ったのものがあれば、本来皮が厚くなる実生であっても農薬の皮の厚みに対する影響力の方が強かったりするのだが、余裕があったらそれにも触れる、
うん、まあ他の果物は知らないが、別の要素が見えなくなるぐらい、根っこが味や香りに与える影響がデカイ、ということだ。でこれは酸味や苦味に香りに甘みのバランスが評価されるワインのような味と見た目の皮に力点を置かれた発展を遂げた「柚子」だけの特殊な事情らしいということである。実際、5０年から80年の柚子を知っているひとはまだいても、それとて少ないが、２００年を超える柚子は知るものは生産者でさえおらず、柚子馬鹿行動に移すまで、その価値を見抜いたものも、残そうと行動に移したものもゼロで、俺はシーラカンスにクレオパトラを知っているといっても、実績も知識もデータもなく、同業他社や周りの足の引っ張り、ほとんど村八分的になり、多少同業者にも気兼ねし、借金にまみれ、ただ旨いという己の感性だけでは誰も相手にしてくれなかった20代…、。その時分に価値を見抜いてくださった数少ない方もいたり、いつか書ければと思うけど。ねー。

次は柚子馬鹿「桃栗三年柿八年…」という諺を本来を守っているのだということを…こうこうと…

根は口ほどにものをいい。

11.了見

出張の都合で先付けて書いていたので、実質は7/5の晩である。

今日は北朝鮮に尽きる。

知ーらない、と云いたい本音もあるが書いておくのも了見か。
柚子馬鹿無責任に書く。野次馬である。
俺は柚子家だ関係ない。

国際社会もエゴのバランスだと考える。
根っこは己の世界だけの勝手なプライドとその場その場で相手のことは聞かず、感情をさらけ出してるだけか…

ほっとくか、世間体を持ち出すか、あくまで白黒つけるか…

困ったことに問題の根っこが理解らないと、悲鳴をあげ、戸惑い、迷う分にはいいけれど、全く考えられない方向に行く危険もあり…、行けば滅びるしかあるまいし…、

昔から大家はシミッタレて胡散臭いと相場がきまっており、
リアリティを通り越した奥を見据え、
どうせ人間逃げることも開放されることはないんだし…
全てを曝け出すしかあるまいに…

あんな人間くさい国もないのだから

上がった上がった上がった…たまんなーい。

10.柑橘

日本の柚子を柑橘類、果物としてミカンやりんごと一緒に比べる先入観から誤解が生じる。素直に柚子としてみなければならない。でもその素直に見たい柚子が殆ど存在しないのではあるけれど…。柑橘類に分類されるからといって、レモンと栽培が似てるだろうだとと安易に想像してはいけない。柚子はずいぶん頑丈であるが別に乾燥地を好むわけではない。ま柚子馬鹿他のことは大して知らない。柚子のことは多少知ってはいるが、ホームページの別の場所でも書いてあるから違う書き方をしよう。

「柚子一個さあどうする」と聞かれたら？
やさしく抱いて寝る、
パパお帰んなさい、ママちょっと来てといってみる、
これじゃぁわけが解らないか…。

では、どう料理する？と聞かれたらどうか。普通にいえば、
柚子釜、茶碗蒸し、お椀、彩り、七味、がまずメイン。次に柚子ごしょう、ゆべし、柚子味噌と皮を喰うことにつかわれる。韓国ならば柚子茶となろうか。
要するに香りを彩を楽しみ、皮をメインに使っうのだ。

りんごもみかんも皮が薄く、剥いたあとは中身喰う。皮は捨てられる。イチゴもスイカもメロンも基本はそうだ。カブトムシだって皮の外から喰わない。オレンジジュースにクレープフルーツジュース、みんな果肉を喰い、果肉を搾って使う。だから如何に甘くするかとやってきた。一方柚子は皮をメイン使う。そう、ここがが他の果物と決定的に違うのだ。覚えておいてもらいたい。”旨い”を前提で見た目を良く丈夫にする発展と、見た目を前提として農薬や有機などに対応してきた改良の歴史と根本的に大きく違う。ちょっとややこしい？ただ、綺麗な皮といっても柚子馬鹿にとっては決して綺麗とは映らないが一般的に綺麗だということだ…。
ま、徐々に判るから柚子馬鹿に任せてもらうことにして、新幹線乗るから今日は軽めに終わりたい。

確かに近頃、柚子の酒、柚子のキャンディ、柚子サワー、ゆずぽんず、など果汁をメインに使用するものが増えて来ている。増えてきたということは裏から見ればそういう使い方をこれまでしていなかったということで、果汁が注目され始めたのは実はここ３０年ぐらいのことなのだ。柚子の関係者は将来を思えば伝統的な食文化や行事とこれらが断絶しないような工夫を考えないといけないのだが、歴史は繰り返す。断絶するものは断絶してしま、いやそれは困る。

ま、いいや。柚子は皮をメインとし、レモンに対抗する国産柑橘として発展しきた。実はそれがどれほど特異で如何に異常であったかはまた後で書く。高校生のときカネトシを設立して柚子馬鹿一人で矢面に立ち”常識”に逆らっての２０年である。高々２０年ともいえる。ま、気が向いたらそこにも触れる。近頃では形式的に真似をする会社、類型の商売も出てきたのであるからこれでやっと典型になり始めたということか。

ところで、柚子も漬物に使われることが多いのだが、香のものの様子が最近変化しているらしい。沢庵などは随分減って、一位はなんとキムチだそうだ。

まあいい、
次は柚子の味は根で決まるというあたりから書こう。

9.柚子

そろそろ、柚子のことを…、
正直云えば、ずっと書いているのだが世間では直接書かねば書いたと云ってくれないことも知っている。人間というワケノワカラヌものが関わる事柄に、全てを解決してくれるような安易な方法もなかろうが…。因みに面接でも質問をよく受けるが、正直云えば自分で考えろ、と云いたくなる質問が多い。いや、自分もそうだと冷や汗を書く場面も多々ある。仮に教わって頭で理解して、それができればよいが、まず出来ない、出来たとしても自分と自分で持たなくなるはずで、そのプロセスを大事にしない人に何を云っても意味がない…とは思ってはいるのだが、聞いてすぐ解ることなら何でも聞いたほうが得か…。うん。だれかいい女紹介してください…。

冗談はさて置き、柚子。
この「柚子」という漢字がいい。何故いいかは教えない。いいものはいい。
平仮名も悪くない。因みに土佐では古くから柚子の果汁を酢の代わりに使っていたから「柚の酢」という呼び名もある。柚の酢の場合、保存場所は土間。台所の下といったところか。土間は、そう土を山のようにもって、十字架を挿してある所だ…。
火や水、作業場所を別にしていた民家は実によく出来ていると思う。でその柚子酢、保存を目的にするから塩を入れる。水分活性といって塩を飽和するまで放り込んで塩分濃度高く保ち、殺菌作用で長期間持たせようということをする。で、どの位塩を入れていたかというと一升瓶に対して五合塩である。一升瓶とはコップ３杯でで五合とはドラム缶一本ぐらいか…。

だから、ものすごく塩辛い。でも三年ぐらい十分に持つ。色は褐色を超えて徐々に黒味を帯び、香りはエナメルが腐ったようになる。でも十分喰える。
だから、「柚の酢」と書けば塩が入っていなければいけない。
伝統の言葉だけを用いて中身は全然違うものを似非文化という。入れてないものは唯の柚子果汁であって「柚の酢」と呼んではいけないのだが…。

柚の酢の場合、柚子馬鹿幼稚園のころは一升瓶に対して五合塩、日本で始めて父親が小瓶につめて当時の灘生協にこれまた日本発の実生ゆずというネーミングで売り出したころの塩分濃度が約15％前後。賞味期限10ヶ月（当時は製造年月日だけだったが）、父親とはショッチュウブツカッテいるが、実生ゆずということばを製品名にしたのは天才的だと尊敬する。小学生高学年の頃で10％前後で賞味期限8ヶ月。今は5％を切るぐらいで賞味期限6ヶ月。と変化してきている。塩分を控えようといった時代背景もある。
で、そろそろ気づくと思うがヤタラ柚子馬鹿「塩」に執着しているのが判ると思う。「柚子」を制するためには「塩」を制しなければならないのだ。だから信玄も塩を送った、いや関係ない。三国清三先生に伺って思わず膝を打ったことがある。俗に酸味、甘み、苦味…と五味というのがあって、柚子には殆どの要素があるのだが「塩味」だけがない。だから、バランスからいっても柚子に塩を加えることは理にかなってる。合わせ酢を柚子果汁を用いて塩梅をうまくしたちらし寿司の旨さったない。だからこそ、ぽん酢には砂糖も塩も極力使わないとなるのだが…解らないだろうなぁ…。

さっき土間の話がでたが、現代のラベルでは「直射日光さけて、冷暗所に保存」と表記されるが、考えて見れば妙な表記である。冷蔵庫に保存なら潔い。このあたりの事情も気が向いたらまた書くキリがない。
そう、柚子酢は風通しが良くて薄暗いところに保存したものだ。田舎、民家の場合、風呂、便所、台所は距離のある場所にあった。都会でなくとも今のマンションのように風呂場の横に、便所があったり、便所のすぐ傍に食卓があったりということはない。でドアに鍵を欠けるという発想は少なくて、間仕切りは襖に、障子に全部取り外せるツクリになっている。
真っ暗な中、蜘蛛の巣貼ってる厠に行くのが怖いという感覚があったけど、今のトイレは怖い場所でもないだろう。どうもソルフェージュから流れがよくない…。

柚子というのは柑橘に分類される。人間は分類するのが大好きだ。
柚子は柑橘に分類されるけど、まったく他の柑橘とは、いや果物とは違ったものであるのだ、ということをまた…

8.音痴

前回のつづき。

例えば、我が家以外でものを食べたことのない子供がいて、知らない場所で出たカレーライスをみて、「何これ？」「カレーを知らないの？」「えっ、これはカレーじゃないよ」なんて表現は別に珍しいことでない、いやむしろ自然な発想だと思う。野菜の生っている所を、魚が泳いでいるところを、ピアノという楽器を見たことがなければ、それらを始めて経験すればそりゃもう驚くだろう。指揮者のあの棒は何だろうと思うよなぁ。考えてみれば、ウチのカレーと隣のカレー、レストランのカレーとレトルトのカレーを全部まとめてカレーと理解する力は尋常ではない。物凄い。

で、これがどのぐらい凄いかというと、
鯨を哺乳類に分類し、調味料という分野を創り、地球と火星をおなじ星と理解し、ある会社の年間の売上げと、橋の移転費用が同じであったり、新幹線も路面電車も同じ電車と認識する。ゲームでリセットできると知って飼ってるペットをリセットしたり、同じ単価であれば株というものを介して、会社の価値を同じと評価し、しかもお金という概念を使って売買したり儲けたりする。…いくらでも考えられる。

一方、今したばかりの屁の音をドミソで表現し、和音を聞いてそれをレファラと呼ぶソルフェージュの分野や、絶対音感というのがある。リズム感もそうだ。ちなみに柚子馬鹿、味に対する記憶が割合よくて、一度喰ったものは大概忘れない。で、音の違いが判らずに、いや当人は同じつもりで表現しているのだが他人にとっては全く別物であることを俗に音痴とよぶ。音痴は譬えて云えば、お金や株を使いこなせる能力とおんなじで、人間特有のもの凄い能力であり、経済人としてその音痴の最終段階が「お金儲けは悪いことですか？」と公での表現になるのではないだろうか。人間特有のこういう力、豊かになればなるほど全ての分野で人間「音痴」になっていくような気がする。ん、ちょっと違うか、繋がりが切れていくようなことか…。文明は人間を”音痴”にするのかもしれない。

例えば、アンケート一つとっても、
お正月を知っていますか？お雑煮を食べますか？お雑煮を自分で造りますか？お節の中身とその由来を5つ書いてください。お盆の送り火を知っていますか？自分で送り火をした事がありますか？問い方ひとつで結果は変わる。お雑煮を食べますかの質問に仮に「食べる」が90％だからといって、日本人には昔と変わらず雑煮を通じてお正月という行事が浸透している、ほかの行事もそうだろう、なんて結論を導き出していいものか？各々の内容が断絶せずにどういう風に繋がっているか？ということが重要なはずだ。
「知ってる？お正月って雑煮を喰うことでしょ…。」「クリスマスはバレンタインチョコレートなのよ…」

まあいい。最近「食育」ということばがあって、不勉強であるが、その中に、酸っぱいものを酸っぱいと表現し、どう酸っぱいのか、どう辛いか…五味に対する感性か。この味に対して違いを感じない能力を「味覚音痴」と呼んでみた。こう考えてくると専門家というのは自分の専門に対して子供のような感性があるということか…。
と考えると柚子馬鹿のこの文章、専門家には読むに堪えないよなぁ…。

なんでも喰えるというのは大変に凄いし偉い。

だから（飛躍を承知で）人間細かなことに執着しないといけない。

7.麻痺

催事でのこと、
子供は試食を割合すぐに喰ってくれる。
照れくささや、親に対する気兼ねを除けば、香りや見た目、雰囲気で美味しそうだなぁ、と水面下で思っていりゃ、切欠さえあれば食べてくれる。それに、旨いと思えば、言葉を使って質問するより、こっちが説明を云わぬ先から、たとえ言っても聞かずに勝手に喰っている。そう、見て、触って確かめる。だから、子供は楽しい。
おまけのストラップなんかウチの連中にも余裕があったら子供にはプレゼントするように言っている。

「喰いもの」は口に入れ、舌で歯で味わうものだ。
目で、耳で、鼻で感じ、時に応じてことばも関わりイメージが豊かになる。

ところが、大人になるにつれ、ちょっと事情が変わってくる。
人前で喰う照れというよりもよりも、まずは、目的にまっしぐらで全く余裕のないタイプ。譬えてトンネルを抜けると決めれば途中に花が咲いていようが気がつかぬ、売上げと利益しか気にしない事業家のような感じ。次に、喰うと買わされたり、面倒に巻き込まれるのではないか？変な業者ではないか？と疑ってくるタイプ。他にも、「それ知ってる」、「興味がない」、「重いんでしょう？」「後でまた」「ちょっと一回り」、などと決まった断りのパターンを持っていてそれで対応してくるお客様。ま、いろいろ…。
別にどうってことはないが、柚子馬鹿そういうことに引っ掛かる。

現実に、どうかといえば、基本的には会話や他にもいろいろと駆使してそれらを解き放ち、ようやく試食ということに相成る。大人になればなるほど、”常識的な”言葉に頼る比重が高くなるような気がする。尤も最近はこっちのことを多少知って来て下さる方が増えたのはありがたい。
　あるイメージをまとめたり、交換したり、置き換えたりそういう能力は圧倒的に大人が発達している。
だから余計、相手がいいお客だなと感じると、感じなくてもか…、柚子馬鹿「ことば」に対して非力であるから基本的に無言で瞳で試食を薦めることが多い。
「何？」に対して「さあ」「何でしょう」などと云っている…。

こういうことを考えているときに、
「バカの壁」、養老孟司さんが何かで仰っていたことでヒントを得た。

売り場でこんな会話がある。
「いかがでしょうか？」、
「それ柚子でしょ、知ってるからいい。」
自分にとって嫌な種類の会話である。既に柚子というイメージがあって一纏めにしてしまうのだ。柚子馬鹿にとっては、ウチの柚子と他のユズは全く別物、別の果実、別の品種と感じるが、興味や関心がないと纏められてしまう。仕方がないことも知ってはいる。柚子については追々書いていく。

いか程にこらえてみても時鳥、鳴かねばならぬ村雨の空

長いから二回分にしよう。

6.素材

乙な文句に、うしろ姿を主人と見れど呼ぶに呼ばれぬ人の前。
横に這ってるあのカニでさえ、よしとあしとは分けて出る。

よし、ヨ～シ、これまで素材の良し悪しについては書いていない。
味は脳みそなのだからオリジナリティーを要求される世界ならハッキリ書けば、素材はそれほど重要ではない。
というと云い過ぎになるが、重要なのも承知でいい過ぎるぐらいが解りやすい。素材屋さんそれぞれが、是非これを使って下さいという。実はよい物を使いこなすにはソリャもう想像を絶するセンスと技量、経験がなきゃできるものではない。逆に、そういう感性があればなにも良過ぎるものを使う必要もない･･･。いや人間の好奇心や欲望を満足させるという意味では使う意味もあろうか。不足を補えば、さりげない素材、あるいは素材でしか勝負できない場所というのがあって、みる者になれば、そこで店の主人の姿勢を量るから怖い。不足ついでに素材に業者に学ぶことも多いのだけど、こういう蛇足を書けば書くほどセコすぎてつまらない。と書いている自分に気がついた。

「水臭い」という言葉、品がよすぎると物足りなくなるものだ。この意味で柚子馬鹿は塩梅と使う。俗に、昆布やカツオが良過ぎるとこういう現象が起こる。醤油にみりん、酢も個性が強すぎると、ぽん酢の味が纏まらないどころか、餡子のない、もちゃっとただベトベトしたお餅のようになってしまう。なんだか良く判らないと思うが、味の話を判るように書こうというのは多少無理がある。おーロミオ。
とくに、思わず　う、旨い！と叫びたくなるようなキレ味は出ない。

この部分、この感覚をなんとかしようと考えると「塩」のコントロールという厄介な問題につきあたる。一般のお椀のダシの場合、醤油はほんの香り程度に使うから塩梅が大変重要になるのであるが、ぽん酢は最初からあまりにも醤油の量が多い。（念のために醤油の基本原料は大豆、小麦、塩。）で、塩を使わない。何年もやっているのは塩そのものを足さないで塩の甘みを引き出そうということだ。ま、個性ある枯木柚子を存分に引き出すためにやってきたことではあるのけれど。こっから先は流石に企業秘密で悪しからず。

パンチの効いた濃くて酸っぱいのが今のお客様が望むぽん酢ではあるが、ダシの加減に塩梅のキレのある薄味のぽん酢もまたよいものなのだが。後者はまずウケない。こういうツマラナイ話は短いのに限る？最後はプライドを選ぶ。

噺は変わるが、バーというのは止まり木という意味なのだそうだ。
ロックで高級なものを酔いを足すために飲むのは苦手で、
頭を麻痺させるには安いものをソーダで割り、また薄めて飲むのに限る･･･で乾杯。

脳みそを麻痺させるといえば、
次は味覚音痴は凄いんだ、ということを

5.ダシ

6をさっき載せたらあやまってココを消してしまったことに気がついた。上書きしてしまったのだ。面倒だが別に驚かない。柚子馬鹿その時の気分、流れで即興で書いてるから同じものはもう書けないがどうにでも書ける。そこで別のものとなる。

ダシのことを書く。基本はダシと考える。
一般的に多くの会社はダシに力を入れるということを放棄することから始める筈である。正確には力を入れてはいるが、それはエキスを駆使したりするのであって、昆布や鰹、場合によって塩でダシを取るということを諦めるところから始まるといってよい。ダシは技術と修練であるからラインを造り少人数で数値管理をしてつくる工業品にはダシは不向きなのである。
柚子馬鹿は力の入れどころが違う。しょうがない。ココからはウチの特殊な話になるが結論を先に書けば「ダシに手を抜いちゃ絶対に駄目」である。
もし例えば、製造部門全部を丸投げしていたら、そこだけで云えば、それはぽん酢を造っているのではなくて金儲けをしているのだ。その関りの度合いが会社の姿勢である。

ところが、ダシほど厄介なものはない。
まず最初は安定しない、辛すぎたり、重かったり、鈍いと感じるもの全部駄目。
もしもぽん酢が透明だったとして濁っていると感じるものはアウト。
もっとも柚子馬鹿修行を積んだ料理人ともダシの専門家とも違うから試行錯誤の狭い経験範囲で学んだことであって、あくまでぽん酢、ドレッシング、ゆず製品に関しての話になる。虎ノ門の名店つる壽に5度通って盗み観たこともある。直接の会話で教えて頂いたのは、手間を惜しまないということと”姿勢”の大切さであった。茲に柿澤さんに心から感謝を申し上げたい。ウチのドレッシングの三杯酢に関してはご子息直伝を柚子馬鹿風にして量をこなせるように高々二年間ではあるが格闘の末の現在である。

そこで製造、一釜や二釜であれば、力任せにも、あるいは手先で要領よくやってできないこともない。ダシ、攪拌、充填･･･何釜も何釜もやるとなるとこれはもう重労働。間合い、いや何より体の真で造らないと持たない。攪拌ぐらいは機械化したいと思うが「どうしてお腹は減るのかな」と相成る。
そう、「ぽんずは腰でつくるもの」なのだ。

料理は空間なのだから、所詮ぽん酢。脇役は主役を立たせ、場をうまく纏める”見事な”「逃げ噺」如きものが必要で、そういうものもちゃんと造っている。
同じ味を要求される世界にあって、一年毎の想いをブツけて、毎年値段も味も変わる製品もある。造らないと飽きちゃうし、持たない。昨年の「ぽんず」を知っている人に、さあどうだと勝負を挑み、驚かせたいという思いは大変強い。妥協を嫌うからギリギリのところでやっている。うちの限定製造品枯木ゆずぽん酢がそれで、柚子馬鹿の生き様みたいな製品だ。

で、この台詞、製品を通じで己を出すなどと、製造者ごときが、これほど横柄で傲慢で無礼で迷惑な話もなかろう。これをやり過ぎて惨敗するのか、出来るようになるのが人生と逃げるのか…。現実は限定品は文字通り限られた世界での製品となろう。結局柚子馬鹿人間の喰うぽん酢を分をわきまえて造るということか。同じ失敗するならやり過ぎるほうがいいや。早い話が柚子馬鹿”力”がない、ないないないないない…。ということだ。

己に嘘をつかないためには、書いた瞬間からこれ違うんじゃないかな、なんんとかしようと思うから誠に厄介である。梅干に昆布にお湯注ぎ、コンソメの元でスープをつくり、本ダシに醤油入れて美味いじゃないか。炊き立てのご飯に塩振って喰う旨さはない。喰いものを友達だと思えばもうちょっと大事にするよなぁ。
一般にいうグルメというのは殆ど嘘をついていると思っていた方がよい。味は脳みそなのである。喰えないとしたら、というところに基準を持ってこないと駄目になる。

カレー、焼肉、焼魚、それにハンバーグ
日本人によく似合い。

4.ジャンル

もう一つ書いちゃおう。

さて、果汁半分、醤油半分を基本として
今から、360ｍｌのぽん酢を造ることにして、果汁に柚子を選び50％使用したらどうなるだろうか。
市販の一般的な柚子果汁でも400円/100ｍｌはする。半分の180ｍｌ使えば果汁だけで流通価格を考え少なく見積もっても4～500円。これに醤油だ、瓶だ、製造手間だ云々入れていたらあっという間に売値は1,000円、2,000円になってしまうことがお判り頂けるであろう。高いと云われるぽん酢でも500～700円程なのだから努力の程は理解できよう。

そこで、柚子がカンキツのなかで最も高いから、好みもあってスダチ、ユコウ、ダイダイ、レモン、場合によっては野菜果汁を用い、さらに、果汁の代用品として米酢、醸造酢を用いる。
また醤油も国産丸大豆、有機から脱脂加工大豆、伝統的本醸造、から醸造工程を短くしたもの。旨みを加えたもの、昆布や鰹で出しをとった高級なものと多種多様である。瓶の形状からラベル、キャップ、リサイクルと細部を書けばキリがないし、趣旨じゃない。

因みに、ボトルの上部に沈殿する上がり部分が多いと果汁を沢山使っていると思う向きもあるが、野菜果汁なんて使えば大量になるし、ダシの用い方、果汁の搾り方でもかなり変わる。多ければいいというものではないということを書いておく。また本来工業品なんだから沈殿せず一様にする方法を考えることこそ技術と思うが、そこまでしないのがぽん酢の世界のいいところで、油を用いたドレッシングと違いちょっと振ればすぐ混ざる。
ところで、搾るという字、絞るを使う方が多いので一言だけ「止めてもらいたい。」

ま、味が似てて―美味しくて、安心なものであればなにも実際の果汁を用い昆布そのものでダシを取ることはない、香料を用い、アミノ酸、ダシエキス、甘味料を用いて悪いわけもない。だって安くて美味しくて、便利なんだから。…

ぽん酢なるものがないころ、皆おウチで果汁を醤油を用い時にはそこに大根おろし、唐辛子など好みで加え使っていた。鍋をすればそのカンキツの堪らなさに薄まれば薄まるほどタップリ使いたいと思い、料亭のぽんずを持ち帰りたいと思ったはずだ。ミツカンさんの味ポンが出たのは小学生のころか。そういえば、柚子馬鹿の生い立ちと柚子の歴史は完全にシンクロしている。
で、20年ちょっと前ぐらいか高級ぽん酢というものが出るわけだが、業界では「板前ぽんず」がその最初ではないかと言われている。
高級とは何かといえば、果汁をちゃんと使うということが一つ。そしてダシの味をしっかりあるということがもう一つである。あとはオブション。俗にいうパンチと旨さに後味を問題にし始めたということだ。

え、なに？つまらない？
ゴメンナサイ。

噺は変わるが、食品の世界で食欲増進の色といえば、ダイダイ、赤、黄色、緑であって殆どのラベルはこの色使いの筈である。タブーとされるのは青。因みにうちは真っ青なラベルの製品を一品だけ関西のニッショーストアさんというところで使って頂いている。
大根やにんじんのような野菜にラベルを貼って出荷する人はいない。将来その可能性は大かな。ここを消費者は考えておかなければいけない。神戸牛、松坂牛とその旨さのブランドではなくて、牛肉のトレーサビリティに代表されるように、肉や卵、野菜にラベルをつける時代になるということは食の原料がモハヤ工業品になっていくということに他ならない。金を積んでも喰いものが手に入らない時代もあり得ると…。

噺が全くまとまらない、まとまらないついでに、
今年度末の限定の「枯木ゆずぽんず」原点に戻って本節を削って造ろうと考えている。値段は30円上げさせて頂く。朝削ってすぐに使用する。今年の現場は朝にシャッシャッという音を響かせるのだ。
ワクワクするではないか。
告知したので7月10日から事前の注文を受付ます。

そうだ、基本のダシのことを書かなくちゃ。ダシ腰を強くしよう。

3.ゆずぽんず

ストレートに云えば、スーパーに並ぶぽんずは現代調味料である。
30年以上前は「ぽんず」なる品は事実上なかった。形式的には自動車や洗濯機、DVDに味の素と同じ文明のものだ。うちのは内容的には違うと思いたいが、そこまでは流石にずうずうしい。
因みに味の素は美味い。
妙なプライドがあって柚子馬鹿もスタンスとしては無添加にコダワル。面白くないからまず使わない。けど、本丸をつけば「味の素」を認められるか認められないか、これが現代グルメの試金石だと言っても良い。ベトナムでは物凄くデカイ缶で売っていたっけ。はっきり云えば旨いのだ。使う使わないは別にして無条件に味の素を毛嫌いする人は考え直した方が良い。

ところで、キリがないほど「ぽんず」だけで書くことがある。これだけで100話は軽い。ま、いい。

さて、店舗に行けば、山のようにぽん酢があり、馴染みあるなしに関らず1000社はおろか、5000社、6000社、もっとあろうか。各々製品の多さはいうまでもない。
それはその筈で、ぽん酢は工業的に造る製品のなかで誰もがもっとも参入しやすい分野なのだ。
そう、醤油屋も味醂屋も柚子屋も酢だち屋も自分の持つものを有効に使えるからまず考える。その上レストランや飲食店、旅館に、帰りのお土産にと切がない。例えばお酒の蔵元だけでも日本に2000はあるのだから、それはそれは競争の激しい分野である。安易にぽん酢を造りたいと思うなら無理は言わない止めたほうがいい。
もし、例えば醤油屋でありながら自分の醤油を使わずにぽん酢を造っているところがあるとすれば、それこそ一見の価値ありである。
結論を言えば品質と分量と単価と原料の構成上もっとも高いものを所有する処は、他の原料に対して余力があるから同じ値段でも良いものができる。またタップリ使用することもできる。因みに、柚子は最初は入れれば入れるほど酸っぱさが強調されるが、ある程度超えてくると甘味が加わる。そのある程度はとてもじゃないが殆ど使えるものではない。

朝も昼も晩もテレビにでている芸能人が居る。物凄い忙しさでプライベートの少なさか。三澤社長から伺った話で、欧米のベンチャー企業の経営者は1％に満たない上場の可能性のために平均5年間無休、一日14時間労働しているそうだ。因みに柚子馬鹿も社会人に成り立てのころ、一日18時間労働2年間ほとんど無休でやっていたが、こういうことは日本人に反するのであまり書くものはないと思うが柚子馬鹿平気で書く。病気を覚悟で舞台をし、ほぼと云いながら毎日取り組み、人知れず素振りをする。上には上がいるということか･･･。それだけやるのは本質はセコイ。でも、やらずに居れぬということか。努力と呼ばない。みな云わないだけでやっている。…これを冷やかしという。
我が柚子に関して本当に「仕事」と呼んでいいのか･･･まあいいじゃないか。世の中至る所に無理がある。会社という組織も、お金という仕組みも、その無理を承知でどうするか、無理やり世間に常識に引きずり込まれてしまう　―　非常識、無理、人間らしさ、どうすりゃいいのか思案橋…。

話をもどして、酢をあて字にしてポン酢、ポンズ、ぽんず…ココではあえて表記にも統一性もなく使わせて頂く。今のポンズは新しい調味料と思っていた方がいい。ポンズはパンチでスッポンポン、ではなくて、ぽんずの語源がオランダ語や、サンスクリット語で、フルーツポンチのパンチでヒンディー語から来ているというようなことはネットでも検索できることなのだが、あれ、ヒンズースクワットってインドが発祥の地なのかな？違うような気がするが、
結論だけいえば、果汁半分に醤油半分が我が国のポンズの基本である。

自分がいいと思うものがない、こうならいいのに、という顧客の観点で造る会社がすくなかったから、同じ思いの人を集めて、そいう話を聴いて働きかけて実現し、広めていくという流れがここ最近の企業のスタンスで多い。喰ってないと解らぬことがあると同様、自ら造ってないと判らぬこともある。どうせならいい物、旨いものを喰い、造ろう、というのは同じか。物事バランスである。本当はそのもっと奥と取り組まなければいけないはずなのだが…。製造者は顧客志向でなくて、己の都合だけで造っていると思い込むのはコンサルタントに任せておいて、少なくとも一線の店舗で競っているものは、なかなかどうして本当によく考えられている。いや本当はその都合を大事にせねば…じゃないのかな。

餃子につける酢醤油の酢と醤油の分量にラー油にテレメンテイカにマンテイカの分量は好みであって、塩で喰おうが、カラシで喰おうが本来しったことじゃない。酢と醤油とラー油を既に合わせたものがあって「これで喰え」と云われると「大きなお世話だ」といいたくなろう。そう思わないならかなり感覚は麻痺している。
まあまあ、そうは云っても「世話のし甲斐もあるんだよ」というのが此方の言い分になるのだが、

このあたり、ぽん酢は腰で造るものだ、ということはまた･･･。

2.ぽんず

さあ、酒だ。
いや、違った、最初はやっぱり酒について書かなきゃと思うが、タイトルにぽんずと書いたし―ハイ。

で、ぽんず。
もしも自分がぽんず屋になったら、どんなぽんずを造りますか？
なんて野暮な書き出しも苦しいけれど、どうしますか？

「えー、興味も関心もない。」と云われたら。とても偉い。
関心のないことには関心がない、知らないことは知らないって大事だと思うが置いといて、

やっぱりお客様に聞かなくちゃ、と市場調査アンケートつくって、売値は幾らがいいですか？容量は？ネーミングは？カンキツは何が好き？五味のバランスは？なにに使いますか？家族は何人ですか･･･、それを解析して･･･。

でね、それらの集大成を製品にしたらどうなのか？或いは売れると思いますか？と問うてみれば、そうは簡単に問屋は卸さない。
ちょっと考えれば、日本の国会を、あるいはベスト9、ベスト11をアンケートだけで創ってみたら面白いと思う反面、見事に駄目だろうと思うが、こういう発想でさえあまり云えない。

どうせ聞くなら、酒に、男女、昔観た映画について、それらをどう受け止め、どう応えるのかそういうものを聞くほうがずっといい。いや、むしろそのラリーをどう捉えるかが重要だ。ぽんずを造るために線香10万本に火を燈してその上で寝る修行をしましたなんて人いないかね。オットセイの口に手を突っ込むぐらいならこの柚子馬鹿やるが･･･。

アンケートで出来上がったものは、確かにいいものには違いなかろうが一寸足りないんだよネ。うん。
なぜなら、誰かにとってのいいぽんずなのだ。”人がいいというだろうもの”なのである。お客様の笑顔が見たいという決まり文句があればまだよいが、市場調査は売れるか売れないかであろう。
まてよ、やりたい事がないと云うとカッコが悪いからと思うだけで、本当にやりたいことなんてないんじゃないのか？金を儲けたら働きたくなくなっちゃったなんていう方が人間らしいような気もするが。そういう冗談を云いたくなる今日である。

簡単で、さあ1憶円なにに使うかと聞かれても、グルメに旅行に住宅にと一般の人がいいと思う、今ならマスコミに影響された応えになるだろう。本当に自分が使いたいことに金を使い、造りたいものを造るのは大変なことなのだ。俺に預けりゃ見事に使って見せるがなぁ･･･。

けどね、伝統なら伝統、形式なら形式、そういう型を踏まえ技術を修練せずに無茶苦茶されたらタマッタものじゃぁない。所詮ぽんずなのである。

いい、悪いではなくて、世の中いろんな観方があってよい筈で、売れる売れないということでの結果はもちろん出てくるが、少なくとも本音と建前の向こう側でやりたい事をやろうとしている面白い製品をもっと評価しないといけない。というわけでイキナリ脱線してしまった。ぽん酢についてはまた今度。

1.はじめに

今日、メールを頂いた。あり難いメールである。

で、10年ほど前のことを思い出した。
震災直後、会社のオープン初日店舗を失い、実家も失った柚子馬鹿は、
何を考えたのか事業云々よりも2ヶ月に一度、苦しいなかから交通費と宿泊費を捻出し新幹線に乗って緒先輩に混じり、当時ミサワホーム監査役にしてアマチュアマジシャンズ協会会長の川崎利明先生の勉強会に無理やり参加。時には手品の世界に触れ、論語に大学といった古典を学び、四患、六然といったものを教えて頂いていた。

さて、そこで、その内容、
学んだこと覚えてますか？といわれれば不勉強な小生、全然、さっぱりではあるし、むしろそのあとの打ち上げの雰囲気の記憶の方が大きいような気がする。けど、今おもえば大いにボディーブローのように役立ってきているような気もする。

人間苦しい時に、明らかに辛いときに、どう考え、どのような一手を繰り出していくか大切な気がする。というより関心ある今を少しずつでも前進しようじゃないかと思う。ま、所詮柚子家がどうのこうのハナにつくようなことを云うつもりもサラサラない。

川崎先生が80を過ぎてはじめられたパソコン、励ましの言葉であった。
「吉田松陰は「一日世に在れば、一日為すあり」、孔子は「君子、一日生きれば、一日世に利あり」と説いています。お互いにこの気概で日々チャレンジして行きましょう！」

このホームページ、本当は柚子や、販売することや、金儲けということからどこまでもどこまでも遠くに行きたいという思い出はじめたものであるが、柚子家である以上柚子に関していろいろ書いておかねばならねぇよな。
とも思うので･･･

と威勢良く書いてはみたものの、この柚子馬鹿、脱線しまくって何処に向かうか見当がつかず、当初の趣旨とはまた違ったものになる可能性大ではあるが、
―うん。言い訳はやめて、柚子馬鹿一日頑張ってなんのプラスがあるかしれないが、と、こういう表現の柚子馬鹿と、

うるせぇ、他じゃ書けないことを書いてやる心して聞け、俺は柚子馬鹿だ文句あるか。常識あちらにまわして一人になっても逃げないぞ。
なんて、こういう柚子馬鹿どっちがいい？
冗談はさておき、
ま、いいや、やるだけやってみようじゃないか。